ここ数年、群馬県の上毛新聞は、大晦日の紙面に毎年八ッ場ダムの写真を大きく載せてきたように記憶しています。
今朝の紙面にも大きなカラー写真が掲載されていました。ダム建設地の下流側からダム堤と水没予定地、水没住民の移転代替地を上空から撮影した迫力のある写真です。
記事の本文には、「大雨など異常気象が頻発する中、万一の際、八ツ場ダムが人々の生命や財産を洪水被害から守ってくれると確信している。」と書かれています。
確かに八ッ場ダム建設の第一の目的は治水(利根川の洪水調節)ですが、八ッ場ダムが利根川流域住民の生命や財産を守るという大義名分について、国交省は今に至るまで説得力のある根拠を示すことができないままです。八ッ場ダムが役に立つと「確信している」と地元紙が書くのは、確信が揺らげば世代を継いで八ッ場ダムの犠牲になってきた水没住民や八ッ場ダム事業に湯水のように税金を使われてきた国民に申し訳が立たないからでしょうか?
◆2018年12月31日 上毛新聞
https://www.jomo-news.co.jp/news/gunma/society/102616?fbclid=IwAR2yFc8Sn2KOcWwOjbClWvVTLqsOGFx0uH4ky_Jfc-hXZYaGdSrH2_ohvcU
ー新時代へ一歩 暮れゆく2018年 八ツ場を照らす穏やかな光ー
穏やかな午後の日差しが、来年度の完成に向けて本体工事が進む群馬県長野原町の八ツ場ダム周辺を照らす=写真、石田貞之撮影。1952年のダム建設計画発表から約70年。変わりゆく風景を胸に刻み、それぞれの2018年が暮れていく。
ダム本体のコンクリート打設は16年6月に始まった。現在、完成高の約9割まで工事が進み、来年4~6月には高さ116メートルの堤体が姿を現す見通しだ。その後、水をためる「試験湛水たんすい」を経てダムは完成する。
地域振興施設の整備など生活再建事業も進む。ダムを観光資源と捉える「インフラツーリズム」が人気を集め、長年のダム問題で疲弊した地域は活気を取り戻しつつある。
今年は大阪北部地震や西日本豪雨、北海道地震など全国で大規模な自然災害が相次いだ。県内でも1月、草津白根山の本白根山が噴火し、自然の恐ろしさや備えの大切さを思い知らされた。大雨など異常気象が頻発する中、万一の際、八ツ場ダムが人々の生命や財産を洪水被害から守ってくれると確信している。
やがて日が傾き、住宅が立ち並ぶ代替地に明かりがともり始めた。平成最後の年の瀬が押し迫る。来年は4月30日に天皇陛下が退位し、5月1日の新天皇即位に伴い元号が改められる。新たな時代の幕開けにふさわしい、明るい年となることを願う。