今朝の上毛新聞社会面に、八ッ場ダムの関連記事が二つ掲載されていました。
そのうちの一つは、昨日19日、八ッ場ダムの堤体上の見学会が行われたことを伝える記事で、記事の前半が上毛新聞のサイトに載っています。
国交省八ッ場ダム工事事務所が発行している広報紙「八ッ場ダムニュース」では、昨年12月号から今年2月号まで、ダム本体工事の進捗状況について「コンクリート打設中(打設高約9割)」と説明してきましたが、ダム堤の上に見学者が上がったということは、コンクリート打設が終了したということなのでしょう。
記事には、ダム堤から水没予定地を見下ろしている見学者らの写真が添えられており、水没予定地から代替地へ移転した住民による、「想像より良い景色。これから多くの人でにぎわってほしい。」との感想が紹介され、タイトルにも採用されています。
ダム堤直下の水没予定地は、吾妻峡の上流端です。白糸の滝や八ッ場大橋のある、ダム事業で無残に破壊されたかつての景勝地です。それより上流に広がるダム湖予定地も含め、水が貯まれば風景が一変しますが、どこを見ての感想だったのか、記事からはよくわかりません。
ネット未掲載の記事後半によれば、昨日はダムのファンによる堤体上の見学会も行われたということです。八ッ場ダム事業ではダムのファンクラブがつくられ、ファンが楽しめるイベントが繰り返し開催されてきました。ダムのファンばかり優遇するわけにいかず、川原湯地区の住民の見学会も同日に行うことになったのでしょう。
記事の最後に、国交省八ッ場ダム工事事務所が「今後は試験湛水へ向けダムの操作室の設置や貯水池内の埋蔵文化財調査などを行う。」と説明したことが記されています。現地では試験湛水に向けて、地すべり対策や代替地の安全対策の工事が各所で行われており、これからも続く筈ですが、なぜそのことに触れないのでしょう?
◆2019年3月20日 上毛新聞
https://www.jomo-news.co.jp/news/gunma/society/119399
ー「想像より良い景色」 地元住民ら八ツ場ダム見学ー
国土交通省八ツ場ダム工事事務所は19日、2019年度中の完成を予定する八ツ場ダム(群馬県長野原町)の地元住民見学会を行った。一部を残しコンクリート打設高がほぼ完了したダム本体に、川原湯地区の住民約20人が初めて上り、完成間近のダムからの景色を感慨深そうに眺めた。
住民らは堤体の上から建設現場を眺め、ダム両岸の地中に掘られたトンネルなどを見学。職員から工事状況や重機の説明を受けた。金子久夫さん(60)は「想像より良い景色。これから多くの人でにぎわってほしい」と願った。
同事務所によると、一般の人が堤体に上がるのは今回が初。川原湯地区以外の残り4地区でも見学会を予定している。
この日は愛好家らでつくる団体「ダムアワード」の見学も行われ、これまで迂回させていた吾妻川を本流と合流させる転流作業の様子を見学。神奈川県から参加した男性は「八ッ場ダムは工事の段階から見学会を開き、地域に開かれたダムという印象。完成後も多くの人に愛されるダムになってほしい」と話した。
同事務所によると、今後は試験湛水へ向けダムの操作室の設置や貯水池内の埋蔵文化財調査などを行う。
—転載終わり—
写真下=川原湯地区の移転代替地にある右岸展望台より、ダム堤を望む。2019年3月12日撮影。
写真下=ダム堤の下流側には名勝・吾妻峡の十勝の一つ、新蓬莱(大蓬莱と小蓬莱)の岩山が聳えているが、小蓬莱はダム堤より低いため見えず、大蓬莱の上の部分がかろうじてダム堤の上に見えている。3月12日撮影。