凍結中の淀川水系・大戸川ダム再開をめざす滋賀県の”勉強会”最終回

 建設凍結中の大戸川ダム(大津市)について、滋賀県の勉強会の最終回が開かれたとのことです。
 淀川水系の大戸川ダムは国の直轄事業です。2005年、有識者からなる国交省関東地方整備局の淀川水系流域委員会によって中止が妥当とされ、同局が中止方針を表明したダムですが、ダム見直しを施策の柱に据えた嘉田由紀子前知事が退いたのち、大戸川ダム再開を促す推進の力は高まる一方です。

 三日月大造・滋賀県知事は大戸川ダム再開に舵を切るために勉強会を開催しました。報道でも明らかなように、今回の最終回では、大戸川ダム再開を是とする姿勢を強く打ち出しています。今後、三日月知事は大戸川ダムの凍結解除を大阪、京都、三重の府県知事に求めていくと思われます。

 勉強会の最終回では大戸川ダムの効果についての計算結果が報告されました。その報告の資料は滋賀県のホームページに掲載されています。

◆今後の大戸川治水に関する勉強会
http://www.pref.shiga.lg.jp/ha04/kouikikasen/daidogawa/benkyoukai.html#(3)

 第3回勉強会 資料2
 http://www.pref.shiga.lg.jp/ha04/kouikikasen/daidogawa/files/03siryou-3.pdf

 嘉田由紀子・前知事が敷いた凍結路線を三日月知事が解除するための勉強会ですから、その計算結果は、大戸川ダムはかなりの効果があるというものになっています。

 三日月氏は民主党出身です。2009年の民主党政権発足時に、ダム問題担当の国土交通政務官(後に副大臣)でしたが、河川官僚による事業推進のためのダム検証を容認しました。民主党政権によるダム見直し政策が腰砕けに終わり、現在、八ッ場ダムをはじめとする全国のダム事業が粛々と進められていることについて、河川官僚の言いなりになってきた三日月氏には責任がありますが、2009年当時と同様のことが大戸川ダムをめぐって繰り返されようとしています。

◆2019年3月26日 中日新聞滋賀版
https://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20190326/CK2019032602000008.html
ー県の勉強会「治水に一定の効果」 建設凍結中の大戸川ダムー

 県は25日、国が建設を凍結している大戸川ダム(大津市)についての勉強会の第3回会合を、県庁隣の県危機管理センターで開いた。県はダムを建設した場合、瀬田川下流の天ケ瀬ダム(京都府)への流入量が低減し、瀬田川洗堰(ぜき)から下流に注がれる流量をゼロにする「全閉操作」の時間を短縮できるとする検証結果を報告した。勉強会はこの日が最後で、大戸川ダムに一定の効果があると結論付けた。

 県は第二回会合と同様に、二〇一五年の関東・東北豪雨や一八年の西日本豪雨などと同程度の雨が、大戸川流域に降った場合を想定して検証。これらの豪雨の場合、全閉操作にかかる時間が、大戸川ダムを建設した場合は四~六時間短縮され、琵琶湖の最大水位が五センチほど低下するとした。

 勉強会のまとめでは、大戸川ダムは大戸川流域の氾濫を抑制したり、氾濫を遅らせたりする効果があるとし、瀬田川洗堰では全閉操作の時間を短縮できる場合が多いと指摘。今後の課題では、ダムを建設した場合、被害を減らすために瀬田川や天ケ瀬ダムとの連動の検討が必要あるとした。

 三日月大造知事は閉会のあいさつで「勉強会を通して、ダムの効果とともに、これからの課題や取り組みに向け、貴重な視座をいただいた。近く検証結果を公開し、県民から意見をいただいた上で、できるだけ早期に知事として政策判断したい」と述べた。

 大戸川ダムを建設する場合には、下流府県の知事らの賛同と、国の河川整備計画の変更が必要となる。三日月知事は会合後、報道各社から、政策判断する前に他府県の意向を聴くかどうかを問われ「あくまで県として勉強会を開いてきた。よほどの必要性がない限り考えていない」と述べた。

 勉強会は、三日月知事が凍結見直しの可能性に言及して企画。一八年の五月と十二月に会合を開き、座長の宝馨・京都大大学院教授ら四人と議論した。三日月知事は一八年十一月末、大戸川の水源地域の大鳥居集落跡地も視察し、元住民らと意見交換した。

◆知事「結果咀嚼し、早期に判断」
 三日月知事は勉強会後、報道各社の取材に応じた。主な一問一答は次の通り。

 -勉強会のとりまとめに対する知事の受け止めは?

 検証結果を咀嚼(そしゃく)し、知事としてできるだけ早期に政策判断したい。国や下流府県に、滋賀県の立場を伝えていきたい。

 -勉強会ではダム建設に否定的な意見は出なかった。そうすると答えは一つじゃないか?

 ダムの治水効果については、どなたも一定認めてきた経緯がある。どのような影響、効果があるか、県民の安全安心にとってどういうものが必要なのか、数量やデータで示すとどういう説明ができるのかを判断する必要がある。検証結果を咀嚼したい。

 -お金や環境への影響も政策判断に影響するのか?

 治水効果を主に見てきたので、その観点で判断することになると思います。

 -県議会への対応は?

 勉強会のとりまとめについて、一定確認しなければならないと思います。

 -嘉田由紀子前知事と意見交換する予定はあるか?

 現時点の知事は私なので、最終かつ最大の責任は私にある。私が判断することになる。一般論として、いろんな人と必要な意見交換はしたいと思っています。  (成田嵩憲)

<大戸川ダム> 大津市南部の大戸川に国が計画し、1968年に予備調査を開始。水需要の低下を受けて2005年に建設を凍結。07年に事業はいったん復活したが、08年に嘉田由紀子前知事や京都、大阪、三重の2府2県の知事が「国の河川整備計画に位置付ける必要はない」とする共同意見を発表し、国は再び建設を凍結した。総貯水容量は2210万立方メートル。総事業費は約1163億円で、滋賀県の負担額は約8億8000万円。

◆2019年3月25日 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42870280V20C19A3LKA000/ 
ー建設可否 「早期に判断」 滋賀知事、国凍結の大戸川ダムー

 滋賀県は25日、国が建設を凍結中の大戸川ダム(大津市)の「治水に関する勉強会」(座長・宝馨京都大学大学院教授)の第3回会合を開いた。瀬田川洗堰(あらいぜき)の操作などに与える影響を議論した。勉強会は今回が最終回で、三日月大造知事は建設の可否について「できるだけ早期に政策判断したい」と話した。

 洗堰は琵琶湖から流れる瀬田川の上流に位置し、そのすぐ下流で大戸川が合流している。大戸川にダムを建設すれば、瀬田川の下流域の洪水対策につながる。洗堰を完全に閉める全閉時間の短縮や、琵琶湖のピーク水位を抑えるなど滋賀県内の治水にも利点があるという。

 県は勉強会の結果をホームページを通じて県民に周知していく。三日月知事は「国や京都・大阪府などに県の考え方を伝えていきたい」としている。

 大戸川ダムは2008年に滋賀と大阪、京都、三重の4府県の知事が凍結を求めて合意し、国が09年から事業を凍結している。

◆2019年3月25日 琵琶湖放送
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190325-00010006-bbcbiwakov-l25
ー建設凍結の大戸川ダム 三日月知事が下す判断は/滋賀ー

 建設が凍結されている大津市の大戸川ダムについて、県は25日大雨の際にはびわ湖の水位上昇を抑え、浸水や氾濫を抑える効果があるとする検証結果を報告しました。
 大戸川ダムは必要か、必要ないのか、今後、三日月知事が下す判断が注目されます。

 大戸川ダムをめぐっては、2008年の4府県知事合意を受けて国が事業を凍結したものの、去年2月、三日月知事が合意見直しの可能性を示し、県は、ダムの効果を検討する勉強会を去年から開いています。

 25日は、3回目となる最後の勉強会が開かれ、大戸川ダムが、瀬田川洗堰の操作に与える影響について県側から検証結果が発表されました。

 瀬田川洗堰から流れ出る水は、大戸川と合流し下流へと向かいます。25日の発表ではダムがあった場合、大雨でも大戸川からの水の流れが抑えられ、氾濫を防ぐために瀬田川洗堰を閉める「全閉」の時間を短くできることが示されました。

 これにより、びわ湖の水位上昇を一定程度抑えることができ、前回も報告された大戸川流域への影響と合わせ、勉強会では、「大戸川ダムに治水効果がある」と結論付けられました。

 「ダムが無駄・不必要との観点の人もいるが県民の安全・安心にとってどんなものが必要か。データでどんな説明ができるか結果をいただいたので、咀嚼して判断したい」

 三日月知事はこのように述べ、今後、県民の意見を改めて聞いたうえで大戸川ダムの必要性について判断し、県として、国や近隣府県に伝える方針を示しました。