シラスウナギ(ウナギ稚魚)の漁期は12月から4月までですが、産地からはこれまで以上に深刻な不漁との情報が発信されています。
◆2019年4月11日 静岡新聞
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190411-00000012-at_s-l22
ーウナギ稚魚不漁、さらに深刻 終盤、改善の兆しなしー
漁獲量が激減しているニホンウナギの稚魚「シラスウナギ」が、さらに深刻な不漁に陥っている。漁期の最終盤を迎えた国内の水揚げは「過去最低の水準」(水産庁)で推移している状況。静岡県内の採捕も前年度を大きく下回り、漁師や養殖業者は頭を抱えている。
シラスウナギの漁期は12月から翌年4月まで。同庁によると、全国の漁獲量は2月末時点で1トン弱と前年同期に比べ半減した。3月以降も改善の兆しは見られず、「過去最低だった2013年度の5・2トンに届かない可能性がある」という。詳しい原因は不明だが、約2千キロ離れた太平洋・マリアナ諸島沖で生まれた稚魚が海流変化などの影響で、日本沿岸にたどり着かなかったとの見方もある。
県水産資源課によると3月20日までの県内の水揚げは337キロで前年同期の約3分の2に落ち込んだ。前年度は漁期後半に大きく回復し、最終的には1231キロになった。主漁場の天竜川水系で採捕する70代の男性漁師は「今期は4月に入っても、まったく上向かない。近年にない厳しさ」と打ち明ける。県内の採捕総量は上限1805・4キロに定められているが、現状では遠く及ばない。
県内の1キロ当たりの仕入れ価格は現況95万円。一時130万円を付けた前年度に比べると、不漁にかかわらず、抑えられている。
養殖団体最大手の浜名湖養魚漁業協同組合(浜松市西区)の幹部は「前年度のような高値では、われわれの経営が成り立たない。漁師も苦しく、価格はぎりぎりの線で折り合っている」と話す。日本ほど不漁が深刻ではない中国から輸入を増やし、不足分を補っているという。
消費者にとって気掛かりなのはウナギの値段。店頭価格は高騰し、採捕漁師、養殖業者とも「これ以上の転嫁は消費者離れを引き起こす可能性がある」と取引価格の抑制に努めている。
<メモ>シラスウナギ 大回遊を終え、河川に入る前のニホンウナギの稚魚。半透明で体長は5センチ前後。黒潮に乗り、東アジアまで北上する。乱獲の影響で、1960年代のピーク時に年200トンを超えていた国内の漁獲量は2013年度に5・2トンまで激減した。静岡県内では19団体の930人が採捕している。養殖業者は仕入れた稚魚を育てて出荷する。
◆2019年4月25日 みなと新聞
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190425-00010000-minatos-bus_all
ーシラスウナギ漁が過去最低の恐れ 3月末わずか3トン 挽回見込み「薄い」ー
国内のニホンウナギ稚魚(シラスウナギ)採捕量が過去最低となる可能性が高まってきた。水産庁がまとめた2019年漁期(18年11月~19年10月)の3月末時点の国内採捕量は3トン未満とみられ、極端な不漁となっている。採捕シーズンは例年4月にほぼ終わるため、このまま回復しなければ過去最低だった13年の5・2トンをさらに下回る記録的な凶漁となる。
シラスウナギの採捕量は減少傾向にあり、ピークだった1963年の232トンと比べると、2018年は96%減の8・9トンまで落ち込んでいる。前期は春に採捕量が上向いたが「今期は中国、台湾で採捕量が増えたという話は聞いていないため、日本だけ採捕量が回復する見込みは薄い」という。
なお、実際のニホンウナギ生産量に大きく影響する3月末までの池入れ実績(養殖池に入れた稚魚の量)は前年同期比25・6%増の13・7トン。ほとんどが香港経由の輸入物という。直近の発表だと、2月末時点の香港からの累計輸入量は前年同期比5・7倍の8・2トンだった。水産庁によると「中国では一定量の採捕があったと聞いている」という。香港からの輸入は例年3月まで。 [みなと新聞2019年4月25日付の記事を再構成]