昨年7月の西日本豪雨では、岡山県を流れる旭川でも支川が決壊して、岡山市内で約6000棟が浸水被害を受けました。
この西日本豪雨を受けて、国交省中国地方整備局が旭川水系河川整備計画を変更することになり、その変更原案がまとまりました。
変更原案の内容は下記のURLでご覧ください。
http://www.cgr.mlit.go.jp/okakawa/kouhou/seibi/asahi/asahi/asahomepe.html
旭川水系河川整備計画【大臣管理区間】(変更原案)
変更原案の説明資料の18ページによれば、河川整備計画の目標値が次のように引き上げられます。
目標 昭和47年7月豪雨 → 年超過確率1/70
目標流量(下牧) 4800㎥/秒 → 6500㎥/秒
河道配分流量(下牧) 4700㎥/秒 → 5000㎥/秒
ダムによる洪水調節量(目標流量から河道配分流量を引いた流量)が100㎥/秒であったのが1500㎥/秒に引き上げられます。新規のダム計画はありませんが、旭川水系には次のように旭川ダム、湯原ダムという大きな県営ダムがあるので、それらを改造して洪水調節容量を大幅に増やすことが考えられています。洪水放流管を設置して、発電容量を洪水調節容量に転用しようということだと思います。このような既設ダムの改造がほかの河川でも進められていくことが予想されます。
岡山県のダム http://www.pref.okayama.jp/uploaded/life/3663_4233062_misc.pdf
総貯水容量 有効貯水容量 洪水調節容量 利水容量(洪水時)
旭川ダム 5738万㎥ 5177万㎥ 2300万㎥ 2877万㎥(大半が発電)
湯原ダム 9900万㎥ 8600万㎥ 1550万㎥ 7200万㎥(発電)
関連記事を転載します。
◆2019年5月21日 山陽新聞
https://www.sanyonews.jp/article/900790
ー洪水調整へ旭川ダム活用を計画 中国地方整備局が変更案まとめるー
国土交通省中国地方整備局は21日、旭川水系の国管理区間(百間川を含む河口から30・4キロ)で策定している河川整備計画について、西日本豪雨を超える大
雨に対応するため、旭川ダム(岡山市北区建部町鶴田)の洪水調節機能を高める変更案をまとめた。
想定する水害規模は、現行の「30~40年に一度の大雨」から豪雨を上回る「70年に一度の大雨」に設定。旭川ダムにバイパスとなる放流用の水路などを設置す
る「既存ダム有効活用」▽旭川支流の宇甘川流域にダムを設ける「新規ダム建設」▽岡山市中心部で堤防を整備し、市街地の橋を高い位置に付け替える「河道掘
削」―の3案の中から、コストや用地買収の有無などを比較し「既存ダム有効活用」を採用する。
この日、岡山市内で開かれた有識者による「明日の旭川を語る会」で変更案が示され、了承された。座長の前野詩朗岡山大大学院教授は「被害を防ぐには川の流
量を減らし、水位を下げることが重要。ダムを再生して事前放流するのは有効な手段だ」と述べた。
変更案は県、関係省庁との協議を経て、6、7月ごろに正式決定。その後、具体的な手法などを検討した上で整備に着手する。