来夏の五輪に向け、国交省が渇水対策発表(八ッ場ダムと矢木沢ダム)

 国土交通省が東京五輪・パラリンピック期間中に懸念される水不足への対策をまとめました。

 国土交通省の発表は次の通りです。

 記者発表資料2019年08月26日
「東京2020オリンピック・パラリンピックに向けた水の安定供給のための渇水対応行動計画を策定」

 その本文資料に具体的な内容が書いてあります。

 八ッ場ダムについては以下のように7ページに、「洪水期(7月1日~ 10月5日)で2500万m3の利水容量に貯留した水が活用できます。」とあります。
 八ッ場ダムは総貯水容量が1億750万㎥ありますが、夏期は洪水対応のため、貯水位を28メートルも下げるので、利水容量は2500万㎥しかありません。日経新聞の記事では、「19年度中の八ツ場ダム完成で首都圏のダム容量は当時の約5倍に膨らむ見込み」とありますが、利根川の全利水容量は八ッ場ダムによって5.6%増えるだけです。首都圏では荒川や多摩川も利用していますので、首都圏のダム容量に占める八ッ場ダムの割合はさらに少なくなります。

 12ページには以下のように、利根川で最も貯水容量の大きな矢木沢ダムについて、東京電力に活用を要請すべきものとして、発電専用容量3820万㎥が記されています。
 夏場、利根川が渇水になると、矢木沢ダムがしばしばテレビ画面に映し出されます。視聴者は矢木沢ダムの水が今にもなくなりそうなイメージを抱き、八ッ場ダムが必要だという理由づけにもなっているのですが、実際には渇水年であっても、矢木沢ダムには最低でも、この発電専用容量の3820万㎥が確保されています。

 矢木沢ダムの発電専用容量3820万㎥は、八ッ場ダムによって開発される利水容量2500万㎥よりはるかに多いわけです。国土交通省が説明するように、本当に利水(都市用水の開発)が八ッ場ダムの主目的であったなら、半世紀以上の歳月と多額の税金を費やして八ッ場ダムをつくるよりも、矢木沢ダムの発電専用容量3820万㎥の活用をもっと早くに考えるべきでした。

◆2019年8月26日 共同通信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190826-00000120-kyodonews-soci
ー五輪渇水対策へダム貯水増量 期間中の安定供給図るー

 国と関東の1都6県は26日、東京五輪・パラリンピック期間中に懸念される水不足への対策をまとめた。

 ダムの貯水水準を平年よりも増量するほか、複数の河川で水を融通し合うことなどが柱。

 国土交通省によると、東京都の主な水源である利根川、荒川両水系などで利用できる水が最大で2割増える見込みで、大会期間中の安定的な水供給につなげる。
 1964年の前回大会直前には最大5割の給水制限を実施するなど、厳しい水不足に見舞われた。当時と比べてダム整備が進んだものの、近年は猛暑や少雨による取水制限が発生している。

◆2019年8月26日 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO49010840W9A820C1CR8000/
ー五輪期間中、ダムの貯水多く 国交省が渇水対策ー

 国土交通省は26日、2020年東京五輪・パラリンピック期間中に懸念される水不足への対策をまとめた。首都圏のダムの水を通常より多くためたり、修繕工事を大会後に先送りして水を減らさないようにしたりする。渇水が予想される場合でも水を安定供給し、大会や市民生活に影響を与えないようにする。

 対策では大会前から利根川、荒川、多摩川、相模川の各水系のダムで、大雨に備えて空けておくダムの容量を圧縮するほか、河川をつなぐ管で水を融通し合い、水量確保を図る。水不足が深刻になった場合は各都県に噴水の自粛などの節水を呼びかける。断水の可能性がある場合は東京電力に要請し、発電用の水を飲料用に回してもらう。

 1964年の東京五輪では開催前から渇水となり、昼間の断水などを実施した。当時は東京都内の水源が多摩川だけだったが、現在は利根川と荒川も活用しており、19年度中の八ツ場ダム完成で首都圏のダム容量は当時の約5倍に膨らむ見込みだ。ただ、貯水は気候に左右される面も大きく、17年には荒川水系で取水制限を行っている。