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西日本豪雨 肱川の整備計画変更原案 河道整備を強化

 昨年7月の西日本豪雨を受けて、愛媛県肱川の河川整備計画の変更作業が行われています。

 肱川水系河川整備計画(変更原案)は四国地方整備局のホームページに掲載されています。8月26日までこの原案についてパブリックコメントが行われていました。

【肱川水系河川整備計画(変更原案)の公表について】 
 http://www.skr.mlit.go.jp/oozu/kawa/ks_henkougenan.html

 変更原案の内容を見ると、今後は河道整備(築堤と嵩上げ)にも力を注ぐようになっています。

4章 河川整備の実施に関する事項
http://www.skr.mlit.go.jp/oozu/kawa/henkougenan/genan4.pdf

 国土交通省四国地方整備局は昨夏の水害が起こるまで、鹿野川ダム改造事業と山鳥坂ダム事業を進めながら、肱川の河道整備をおろそかにしてきました。これらダム事業の予算を今回原案に盛り込んだ河道整備に投じていれば、昨年の悲惨な氾濫被害の大半を回避できていたと思います。
 2015年9月の鬼怒川水害と同じです。大水害が起きるまでは河道整備をなおざりにし、大水害が起きると、河道整備を急ピッチに進めるようになるのです。

 肱川では鹿野川ダム改造事業が完了しましたが、本体工事に着手していない山鳥坂ダム事業はまだまだ続きます。肱川水系に山域目の巨大ダムを建設することになる山鳥坂ダム事業には、流域でも反対の声がありますが、国交省がダム事業を見直す気配がありません。

◆2019年8月26日 毎日新聞愛媛版
https://mainichi.jp/articles/20190826/ddl/k38/040/364000c
ー西日本豪雨 肱川の整備計画変更原案 河道掘削実施など追加ー 

 昨年7月の西日本豪雨を受け、国土交通省四国地方整備局と県は、肱川水系中下流圏域の河川整備計画を変更する原案をまとめ、25日大洲市内で公聴会を開いた。河道掘削の実施を新たに盛り込むなどし、大洲第二観測所(大洲市大洲)における目標流量を毎秒5000トンから6200トンに引き上げる。26日まで募集しているパブリックコメントも踏まえ、年内に変更する。

 整備計画は20~30年後の河川整備の目標を示すもので、河川法で策定が義務付けられている。現行計画は2004年策定のもので、戦後最大の1945年9月洪水と同規模の洪水を安全に流下できるよう、野村、鹿野川、山鳥坂の3ダムで1100トンを調節し、河道で3900トンを流せるように整備を進めてきた。

 変更原案では、堤防整備や河道掘削により3ダムで1600トン、河道で4600トンの計6200トンに目標流量を引き上げ、西日本豪雨と同規模の洪水を安全に流下できるようにする。下流域の国管理区間で暫定堤防を完成堤にするほか、大洲市柚木や五郎など9カ所で河道掘削を実施する。

 また県管理区間の西予市野村町地区や大洲市の大川-鹿野川地区を整備区間に追加。新たに堤防を整備するほか、大洲市菅田町地区と西予市野村町地区の2カ所で河道掘削も実施し、野村大橋での流下能力を1300トンにする。【中川祐一】