八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

国交省の概算要求、10年ぶり7兆円超 

 例年通り、今年も8月末に来年度の概算要求が各省庁から財務省に提示されました。
 国土交通省のサイトにも概算要求についての資料が掲載されています。
 https://www.mlit.go.jp/page/kanbo05_hy_001854.html
 「令和2年度国土交通省予算概算要求概要」
 
 災害が起きると、国土交通省の公共事業予算が増えていきます。本当は公共事業予算の中身が問われるべきなのですが。

 ダム事業を含む河川行政を担う水管理・国土保全局の概算要求の概要は以下の通りです。
 https://www.mlit.go.jp/page/content/001304299.pdf
 令和2年度 国土交通省 水管理・国土保全局関係予算概算要求概要

 国土交通省が河川行政をどのように進めていこうとしているかがおよそ分かりますので、参考になさってください。

上記より、一部引用

 気候変動による豪雨の頻発化・激甚化を見据えた 「事前防災対策」の加速化  4~7ページ
 4,601億円(河川事業1,814億円、ダム事業1,834億円、砂防事業839億円、海岸事業114億円)

〇頻発化・激甚化する水害に対する治水安全度の向上を図るため、放水路やダム等の事前防災対策を重点的に実施

〇気候変動に伴い頻発・激甚化する豪雨による土石流、土砂・洪水氾濫等の大規模な土砂流出から、人家、 公共施設、インフラ・ライフライン等を保全するため、砂防堰堤、遊砂地等の事前防災対策を重点的に実施。

〇津波、高潮、侵食による被害に対する安全度の向上を図るため、事前防災対策を重点的に実施。

ダム再生事業 31~35ページ
〇 藤原・奈良俣再編ダム再生事業(建設事業へ移行)

〇 大町ダム等再編事業(建設事業へ移行)

〇 九頭竜川上流ダム再生事業(実施計画調査に着手)

〇 旭川中上流ダム再生事業(実施計画調査に着手)

〇 小見野々ダム再生事業(実施計画調査に着手)

◆2019年8月28日 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO49087820Y9A820C1EAF000/
ー公共事業費、2割増の6.2兆円 国交省概算要求 防災対策に重点 ー

 国土交通省は28日、2020年度予算の概算要求を発表した。公共事業関係費は19年度当初予算と比べて19%増の6兆2699億円を求めた。豪雨や台風など自然災害が相次いでいることを踏まえ、水害や地震、土砂災害に備える防災対策に重点を置いた。非公共事業を加えた一般会計全体では18%増の7兆101億円を求めた。

 自民党の国交部会関係合同会議に示した。計画的な堤防のかさ上げや早期復旧のための排水対策といった水害への備えに30%増の5623億円を盛り込んだ。巨大地震対策では港湾を活用した海上からの復旧支援や公共施設の耐震化を進める。

 整備新幹線の関連には今年度と同額の792億円を盛り込んだ。北陸新幹線の金沢―敦賀間、九州新幹線の武雄温泉―長崎間は着実な開業に向けた追加費用を別途求める。佐賀県との調整が難航している九州新幹線の新鳥栖―武雄温泉間の環境影響評価に関する費用は概算要求には盛り込まず、年末の予算編成過程での計上を検討する。

 観光分野では国や地域の特性に応じた広報戦略や人材育成、若者の海外体験などを進める。

◆2019年8月28日 東京新聞夕刊
https://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201908/CK2019082802000253.html
ー国交省 概算要求7兆円 災害対策集中18%増 12年ぶりー

 国土交通省は二十八日、二〇二〇年度予算の概算要求を発表した。豪雨や地震などの被害が頻発する中、自然災害対策を集中的に進めるため総額は一九年度当初比18%増の七兆百一億円とした。うち公共事業関係費は19%増の六兆二千六百九十九億円。〇七年以来十二年ぶりに総額が七兆円を超えた。

 西日本豪雨や北海道地震など一八年に相次いだ大規模災害を受け、政府は陸海空の交通網や防災関連施設、病院や電力など国民生活に関わる施設の緊急点検を実施。二〇年度までの三年間に七兆円を投じ、百六十項目の対策を進める計画を定めた。

 一九年度当初予算では、これらに充てる「臨時・特別の措置」として九千三百九十三億円を計上した。二〇年度も今回の要求とは別枠で確保し、年末の予算編成までに財務省と規模や使途を調整する。

 分野別では、水害対策は30%増の五千六百二十三億円。堤防の強化や河川改修といった洪水対策を推進し、住民の早期避難に役立つ情報の提供も充実させる。西日本豪雨や九州北部の豪雨の被災地では再発防止に力を入れる。

 豪雨や火山噴火に伴う土砂災害対策に23%増の千百六十七億円、南海トラフ巨大地震や首都直下地震の対策に42%増の千九百九十九億円を盛り込んだ。

 地方自治体向けの支出も拡充し、インフラ老朽化対策などを支援する防災・安全交付金は21%増の一兆二千六百十一億円、通常のインフラ整備に充てる社会資本整備総合交付金は20%増の一兆三十七億円を求める。このほか東京五輪・パラリンピック後の景気後退対策として、三大都市圏の環状道路など物流ネットワークの強化に取り組む。自動運転の普及に向け、重大事故の原因究明に当たる外部機関を二〇年度中に発足させる。

 〇九年八月に自民党政権下で国交省がまとめた一〇年度予算の概算要求は総額七兆六千二百五十九億円だったが、民主党が政権交代後の同年十月に組み替えた要求は六兆一千九百四十三億円に圧縮された。

 

◆2019年8月29日 朝日新聞
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14156470.html?iref=pc_ss_date
ー国交省の概算要求、10年ぶり7兆円超 水害対策強化ー

 国土交通省は28日、防災・減災対策の強化などをうたった2020年度予算の概算要求をまとめた。公共事業費は、19年度当初予算比で19%増の6兆2699億円。豪雨や地震が相次いでいるため、水害対策などを中心に予算を要求する。

 公共事業費を含めた国交省の一般会計の総額は、同18%増の7兆101億円を求める。政権交代前の自公政権が求めた10年度予算の概算要求以来、10年ぶりに7兆円を超えた。

 水害対策の要求額は同30%増の5623億円。昨年の西日本豪雨で被害が発生した岡山県倉敷市の高梁川と小田川で合流点を下流に付け替える工事の予算を求めたほか、浸水被害の恐れのある川の拡幅工事、ダム建設費などを要求する。

 子どもが巻き込まれる交通事故を防ぐため、通学路や未就学児が散歩で使う道の交通安全対策も進める。踏切や通学路における交通安全対策費は同20%増の1619億円。防護柵設置のほか、幹線道路への抜け道として通る車の進入を抑制するなどの対策を進める。(南日慶子)

◆2019年8月30日 NHK
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190830/k10012056111000.html
ー来年度予算 概算要求提出へ 過去最大105兆円程度にー

 国の来年度予算案の編成で各省庁が概算要求を財務省に提出します。一般会計の総額は、高齢化を背景に社会保障費が膨らむことなどから、6年連続で100兆円を超え、過去最大の105兆円程度となる見通しです。

 要求額が最も多い厚生労働省は、医療や介護といった「社会保障費」がさらに膨らみ、過去最大の32兆6234億円を要求します。

 防衛省は、宇宙やサイバーといった領域の防衛能力を強化するため、過去最大の5兆3000億円余りを求めます。

 国土交通省は、南海トラフの巨大地震や首都直下地震への対策として、津波に備えた堤防や、帰宅困難者を受け入れる施設などを整備する費用を盛り込み7兆101億円を要求します。

 このほか、国債の償還や利払いのための「国債費」は、今年度の予算より1兆4000億円余り多い24兆9746億円となります。

 この結果、来年度予算の概算要求は一般会計の総額で6年連続で100兆円を超え、過去最大の105兆円程度となる見通しです。

 これは最終的に初めて100兆円の大台を超えて過去最大の規模となった今年度予算の概算要求をおよそ2兆円上回る見込みです。

 来年度はさらに要求額が増えるうえ、消費税率の引き上げに伴う対策などは年末までに別途決めることにしていて、歳出への圧力が強まる中、今後の予算編成で歳出をどう抑制していくかが課題となります。