長崎県が強行しようとしている石木ダム建設の是非に関する公開討論会の開催を求める署名5万筆が長崎県に提出されたことを各社が報道しています。
5万筆の署名のうち3万筆は、長崎県外から集まったそうです。アウトドア用品を扱うパタゴニア日本支社による反対運動への支援、ダム予定地住民を描いたドキュメンタリー映画「ほたるの川のまもりびと」の全国上映などもあり、人権と自然環境を踏みにじる石木ダム事業への批判の声は、県外にも広がっています。
石木ダムに反対する「石木川まもり隊」のブログに、記者会見を模様を伝えるレポートがさっそく掲載されています。これまでのダム反対運動とは一味も二味も異なる石木ダムの運動の柔軟性が伝わってくるようです。
http://ishikigawa.jp/blog/cat03/5232/
「署名提出、高校生も参加」
◆2019年8月28日 NHK長崎放送局
https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/20190828/5030005154.html
ー石木ダム討論求め5万人署名提出ー
石木ダム建設の是非を巡り、公開討論会を開くよう求めて署名活動を行っている市民団体のメンバーが県庁を訪れ、県の担当者におよそ5万人分の署名を提出しました。
県と佐世保市が川棚町に建設を進めている石木ダムを巡っては、今年5月に県の収用委員会の裁決が出て、ダムの建設に必要な全ての土地を強制的に収容できるようになりました。
ダム建設の是非を巡り、県に対して公開討論会を開くよう求める署名活動を行っている市民団体のメンバーが県庁を訪れ、河川課の浦瀬俊郎課長に5万947人分の署名を提出しました。
浦瀬課長は「石木ダムの事業認定の取り消しなどを巡る裁判の途中なので、今は公開討論のタイミングではない。今回の要望を中村知事に伝え、引き続き県民に石木ダムの意義を分かりやすく広報していきたい」と述べました。
このあと、記者会見で市民団体のメンバーの1人でアウトドアショップ「パタゴニア」の日本支社の支社長を務める辻井隆行さんは「透明性のある話し合いの場をきっかけに、今の社会的要請を反映した社会全体に求められる計画に生まれ変わることを願っている」と話していました。
◆2019年8月29日 長崎新聞
https://this.kiji.is/539626668653167713?c=39546741839462401
ー石木ダム建設問題 公開討論求め署名5万筆 県外3万筆 市民団体が県に提出ー
石木ダム問題の啓発活動に取り組む市民団体「いしきをかえよう実行委」は28日、長崎県庁を訪れ、県に公開討論の場を求める署名約5万筆分を提出した。同実行委は2017年10月に街頭やホームページなどで署名活動を開始。県内から約2万筆、県外から約3万筆が寄せられた。
この日は環境保護に積極的な米アウトドア衣料大手「パタゴニア」日本支社長の辻井隆行さんや、建設予定地の東彼川棚町川原地区の住民の日々を描いたドキュメンタリー映画「ほたるの川のまもりびと」の山田英治監督ら約10人が参加。長崎県河川課の浦瀬俊郎課長に署名を手渡した。
浦瀬課長は「昨今の災害を考えると、行政の責任として事業を進めていかないといけない。公開討論はタイミングとして違う」とした上で、「事業の広報に力を入れていく」とした。母親と参加した県立佐世保西高3年の荒岡梨乃さん(17)は「人口が減っているのにどうして水源が必要なのか疑問。子どもたちにも分かりやすく教えてほしい」と要望した。
実行委は同日、県庁で会見。山田監督は「石木ダム問題を知って切ない気持ちになった。多くの人に知ってもらおうと映像にした」、辻井さんは「建設推進派、反対派の溝が深まることは望んでいない。国連の『持続可能な開発目標(SDGs)』の理念を踏まえて対話すべき」と訴えた。
◆2019年8月29日 朝日新聞長崎版
https://digital.asahi.com/articles/ASM8X4712M8XTOLB00D.html
ー公開討論求める署名5万筆 石木ダム巡り県へ提出ー
長崎県と佐世保市が川棚町で進める石木ダム建設を巡り、賛成・反対・中立の人たちが意見を出し合う公開討論会の開催を求める署名が5万筆を超えた。署名活動をした市民団体は28日、「確かな民意だ」として県に提出した。
署名活動は、米アウトドア衣料品メーカー・パタゴニアの日本支社(横浜市)などが支援する「#いしきをかえよう実行委員会」が2017年6月に開始。27日までに5万947筆を集めた。佐世保市や長崎市などで街頭署名も43回実施。県内から約2万筆、県外からは約3万筆が集まったという。
署名の賛同者からは「佐世保市民だが、水不足を感じない」「長崎県には旧態依然の政治を感じ幻滅する」「40年も前の計画なら、もう一度議論をやり直してもいい」といった声が寄せられたという。
県河川課の浦瀬俊郎課長は、署名を知事に確実に届けるとしたうえで「これまでも意見交換は重ねている。建設計画についての訴訟が進むなか、公開討論会はそぐわない」と答えた。
同社の辻井隆行支社長(51)は県庁で記者会見。「石木ダムは一つのダム建設を超え日本中の注目を集めている」としたうえで、「大事なのは立ち止まって考えること。これはアウトドアでも経営でも一緒だ」と話した。(横山輝)
◆2019年8月29日 毎日新聞長崎版
https://mainichi.jp/articles/20190829/ddl/k42/010/245000c
ー石木ダム 建設事業 反対派住民ら公開討論求め 署名5万人、県に提出ー
県と佐世保市が川棚町で進める石木ダム建設事業について、事業に反対する住民らでつくる「いしきをかえよう実行委」が28日、事業に関する公開討論会開催を求める5万947人分の署名を県に提出した。
署名集めは、2007年に県民2500人を対象に実施した無作為抽出のネットアンケートで約8割が石木ダム事業について「説明が不十分」とした結果を踏まえ、17年10月から始まった。
県によると記録が残る09年以降、石木ダムの事業中止などを求める署名は県に6回提出されたが、約5万人分の規模は初めて。実行委は「推進派、反対派、専門家による議論を通じて県民に十分な説明をすることを求める」などとし、公開討論会が終了するまで建設工事を一時中止することなどを求めている。
メンバーでアウトドア用品「パタゴニア」日本支社長の辻井隆行さん(51)は「建設推進派の人も『議論と理解は必要』と署名をしていただいている。改めて考える場を」と求めた。一方、県河川課の浦瀬俊郎課長は「裁判で係争中でもあり公開討論会は難しい。理解促進については広報啓発をしっかりしていく」と回答した。【浅野翔太郎】