駿河湾のサクラエビ不漁と日軽金の雨畑ダム(ニュース続き)

 駿河湾のサクラエビ不漁問題と日本軽金属・雨畑ダムの堆砂問題について、その後の記事をお伝えします。

◆2019年8月28日 静岡新聞
https://www.at-s.com/news/article/special/sakura_ebi/008/674317.html
ー漁師ら雨畑ダム視察 由比港漁協、新たな要望書検討ー

 日本軽金属蒲原製造所(静岡市清水区)の放水路から駿河湾に濁水が流れ、サクラエビ漁師らが不漁との関係を危ぐしている問題で、由比港漁協の宮原淳一組合長ら関係者約20人は27日、濁水の発生源とされる雨畑ダム(山梨県早川町)を視察。堆砂率9割超のダム湖と周辺を見て回り、濁りの深刻さを実感した。
 漁協は、日軽金にダム管理の現状について現地での説明を申し入れていた。宮原組合長は取材に、濁水による生態系への影響調査などを盛り込んだ6月に提出済みの要望書に加え、「放水路沖の汚泥除去やきれいな水を海に流すよう求める新たな要望書の提出を検討する」と述べた。
 漁協職員らの現地視察は初めて。同社社員らの案内で、アーチ状の堤体の上を歩きながらダム湖の濁りを確認。上流の雨畑川の濁り具合を視察し、駿河湾に注ぐ放水路も見て回った。
 参加者によると、同社社員は「濁水は周辺の山が崩れ川に流入しているため」と説明。宮原組合長は視察後、「濁水の原因はダムなのか、周辺の崩れやすい地質なのか、日軽金との認識の差を改めて感じた」と話した。
 漁協によると、6月に提出した要望書に対し、日経金は27日までに文書で回答した。しかし、内容は「必要に応じて行いたい」と述べるにとどまり「実質ゼロ回答」(宮原組合長)だったという。
 雨畑ダムは駿河湾サクラエビの不漁を受け、静岡、山梨両県が濁りの実態調査を進めている。ダム湖の濁水は水力発電用の導水管をなど経てサクラエビの産卵場のある駿河湾奥部に注いでいる。

◆2019年8月29日 静岡新聞
https://www.at-s.com/news/article/special/sakura_ebi/010/674802.html
ー不透明感増す漁の将来 議論いまひとつ、漁師や加工業者危機感ー

 不漁が顕著となって1年以上が経過した駿河湾サクラエビ。将来の漁の在り方を検討する動きが乏しく、漁師や加工業者から「何も議論しないでいいのか」と不満の声が上がっている。漁業者組織の県桜えび漁業組合(実石正則組合長)が、由比、蒲原、大井川の3地区がそろった役員会や船主会を最後に開いたのは5月末。サクラエビ漁の将来像が描かれないまま、漁の行方は不透明感を増している。
 「県などの関連機関も関わる話。漁業者だけで議論はできない」
 実石組合長は取材に対し、早期の議論開始に慎重姿勢を崩さない。一方で例年10月下旬に始まる秋漁の操業方針は「ある程度の調査結果を待ってから」とし、駿河湾での産卵調査の結果を踏まえて話し合うと強調。議論は具体的なデータを基にすべきとした。
 漁業者から「秋漁だけでなく、5年後、10年後について今から話し合うべき」と、中長期的な漁の在り方も早急な課題と指摘する声がある。ただ、組合役員からは「あえて議論を避けているのでは」との声が漏れる。この役員は、将来展望を議題にすれば、事実上タブー視してきた減船や休漁に踏み込まざるを得ないとみる。
 今後の漁の在り方や現状に対し、別の漁業者は由比・蒲原と大井川の漁師の認識の違いも挙げ、「3地区が満足いく合意形成は難しい。物別れに終わってしまう可能性もある」と懸念する。
 県桜海老加工組合連合会も危機感が強い。ある役員は「漁師の危機意識は甘い部分がある。深めるべき議題がテーブルにすら上がっていない」と批判。「資源回復を本気で考えるなら、思い切って休漁の議論も必要」と訴える。
 昨年秋漁は自主規制を敷いたが水揚げは一度も行われず終了。今年の春漁では主な産卵場となる富士川沖や沼津沖を禁漁区に設定、過去最低の85・3トンの水揚げ量だった。

 

◆2019年8月30日 静岡新聞
https://www.at-s.com/news/article/special/sakura_ebi/008/675275.html
ーサクラエビ 異変 早川水系 強い濁り 5~6月と同じ 静岡、山梨 7月調査ー

 駿河湾サクラエビの深刻な不漁などを受け、早川水系(山梨県早川町)の濁りの実態調査を進める静岡、山梨両県は29日、7月に計3回実施した水質調査結果を発表した。早川中、下流部と、堆砂が著しい日本軽金属の雨畑ダム上流部で強い濁りを確認した。5~6月の調査結果と同じ傾向だったことが明らかになった。
 調査は山梨県内13カ所、県境1カ所で、7月3、22、29日の3日間実施した。
 調査日の直前3日間にほとんど降雨がなかった22日、早川中、下流部の計4カ所の観測点で浮遊物質量(SS)は1リットル当たり110~200ミリグラムと極めて強い濁りを記録。雨畑ダム上流の雨畑川でも同日は同410ミリグラムだった。いずれも早川が合流する富士川本流の環境基準(同25ミリグラム)を超えた。
 早川中、下流部では複数の砂利プラントがある。また、中部横断自動車道やリニア中央新幹線工事で出た土砂が河川敷に積まれている。このため、両県では濁りが人為的なものの可能性があるかどうか今後見極める。
 5~7月に実施した濁りの実態調査は計10回程度。両県は9月中にも調査結果を分析したうえでとりまとめを公表する方針。