八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

八ッ場ダムカレー、グリーンに変身

 八ッ場ダムができる吾妻川は、雨が降ると赤茶色になったり、土色になったりしますが、流れが静かな時は、青緑色を帯びていることが多いようです。
(写真右下:水没予定地を流れる吾妻川。旧国道の久森隧道付近。2019年9月8日撮影。)

 吾妻川に建設された八ッ場ダムは、強酸性河川である吾妻川の中和事業なしには成り立ちません。ダム予定地の上流域には、多くの観光地や酪農地帯、畑作地帯があり、ダム予定地を流れる吾妻川には多量の栄養塩類(窒素とリン)が流れ込んでいます。
 国や群馬県がこれまで示してきたダム湖のイメージ図は、満々と青い透明な水をたたえていますが、八ッ場ダムの完成にともなって出現するダム湖は、イメージ図とは異なる色になることが予想されます。

 ダム湖予定地では、道の駅「八ッ場ふるさと館」のダムカレーが脚光を浴びていますが、ドライブインとしては先輩格の浅間酒造では、八ッ場ダムの水質の特異性を逆手に取って、グリーンカレーを売り出しています。
 浅間酒造のドライブインも道の駅も、関東地方から草津温泉など吾妻川上流域の観光地を訪れるドライバーが利用する国道沿いに立地しており、浅間酒造はダム湖の上流端のあるJR長野原草津口駅のすぐ上流側にあります。
 
 
◆2019年9月4日 朝日新聞群馬版
http://www.asahi.com/area/gunma/articles/MTW20190904100580001.html
ー八ツ場ダムカレー グリーンに変身ー

 全国各地にダムカレー多しと言えど、エメラルドグリーンのカレーは珍しい。来春完成予定の八ツ場(やんば)ダム(長野原町)のダム湖をイメージしたという一品は、町内の浅間酒造観光センターが今春から売り出した。

 その名もずばり、「八ツ場ダムグリーンカレー」。今秋、ダムに水をためるテスト「試験湛水(たん・すい)」が始まるのを前に、完成後のダム湖のイメージに合わせ、従来の一般的なブラウン系の色みのカレーを一新させた。

 ダム上流では強酸性の水を石灰で中和しており、その水をためた品木ダム(中之条町)の湖面は緑と白を混ぜたような独特の色合いに見える。品木ダムの下流に位置する八ツ場ダムのダム湖も同様の色みになるとみられている。こうした特徴をカレーで表現しようと、色を出すのに試行錯誤を重ねたという。

 ダム本体に見立てたご飯が、吾妻渓谷を表す素揚げの野菜とカレーを分けている。日本酒「秘幻」などで知られる浅間酒造の桜井武社長は「ここでしか食べられない商品を作りたかった」と説明する。

 昨年4月には八ツ場ダムの「八」の字を刻んだ自家製の酒まんじゅうで地元産のやまと豚などを挟んだ「八ツ場ーガー」(税込み550円)を発売。今年7月からは、10月末までの期間限定の予定で八ツ場大橋で楽しめる高さ106メートルのバンジージャンプにちなんだ「八ツ場バンバンジー」も売り出した。106ミリの幅広麺が入っている。

 カレーとバンバンジーは「八ツ場」にかけて、いずれも税込み880円。高原正紀支配人は「見た目と味の両方にこだわった。センターを訪れたらぜひ食べて下さい」と話す。(丹野宗丈)

—転載終わり—

 上記の記事に書かれている品木ダム。以下の写真はいずれも2019年8月24日撮影。酸性河川である吾妻川に八ッ場ダムを建設するため、吾妻川上流の中和事業の一環として1965年に完成。草津白根山麓の中和工場で石灰ミルクを投入した湯川、矢沢川、大沢川が品木ダムに流入するため、品木ダムには半世紀以上の間に中和生成物と土砂がたまり、堆砂量は総貯水容量の85%以上(平成28年度国交省資料)に達している。現在、浚渫作業が行われ、浚渫物は周辺の土捨て場に処分されている。
【参考ページ】国土交通省品木ダム水質管理所 「河川の中和」


写真下=品木ダム直下。品木ダムの上澄みが白砂川を経由して、八ッ場ダムが建設された吾妻川に流れ込む。吾妻川と白砂川の合流点は、ダム湖の上流端となるJR長野原草津口駅のすぐ上流側。