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石木ダム完成、3年延期で長崎県調整

 長崎県が石木ダムの完成予定時期を2022年度から2025年度に延長することを検討していると報道されています。
 長崎県ではさる19日、中村知事とダムに反対する住民らが県庁で面会し、マスコミ各社が「強制収用しないでほしい」と訴える住民の声を大きく取り上げたばかりです。
 NHKは、中村知事がこの面会後、「令和4(2022)年度の完成スケジュールの中で、一刻も早く完成を目指していく必要がある」と述べ、完成予定時期を延期しない方針を示したばかりでした」、「石木ダム事業で完成予定時期が延長されるのは、これで9回目になります。」と伝えています。

 石木ダム予定地に暮らし続ける13世帯の住民は、強制収用となっても住み続けるとしており、支援者とともにダム事業の関連工事の現場で座り込みの抗議活動を続けています。こうした抵抗により、石木ダムの関連工事は事業者である長崎県の思惑通りには進んでいません。2022年度のダム完成はもともと無理でした。

 八ッ場ダムの完成は、当初計画では2000年度でしたが、その後、2010年度、2015年度、2019年度と三回延長されてきました。最初の工期延長(2000年度→2010年度)の手続きは、工期を過ぎた2001年9月に行われ、この時点ではまだ水没予定地などダム事業用地の住民との補償交渉すら始まっていませんでした。
 このようにダム事業では、計画通りに事業が進まず、工期の延長が繰り返されることがしばしば起こりますが、石木ダム事業における9回の延長は、まさに住民らの抵抗の成果であり、前例がありません。

〈参考ページ〉「石木ダム工期延長に関する長崎県事業評価監視委員会の開催ー9/30」

◆2019年9月21日 NHK
https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/20190921/5030005429.html
ー石木ダム完成3年延期で県が調整ー

 長崎県川棚町に建設が進められている石木ダムについて、長崎県は関連工事に遅れが出ていることなどから、ダムの完成予定時期をいまの令和4年度から3年延期し、令和7年度に見直す方向で調整を進めていることが分かりました。

長崎県と佐世保市が令和4年度の完成を目指し、川棚町で建設を進めている石木ダムをめぐっては、ことし5月、県の収用委員会がダム建設に必要なすべての用地を強制的に収用できるようにする裁決を下し、19日用地の所有権が地権者から国に移りました。

ただ、ダム建設で水没する県道の付け替え工事では、建設に反対する地権者らによる座り込みの影響などで遅れが出ているほか、ダム本体の工事も予定通り始まっていません。

こうした中、県はダムの完成予定時期をいまの令和4年度から3年延期し、令和7年度に見直す方向で調整を進めていることが分かりました。

県は、今月30日に有識者らが公共事業の妥当性を評価する「県公共事業評価監視委員会」を開いてこうした方針を説明し、意見を聞くなどしたうえで、国と計画の変更を協議することにしています。

長崎県の中村知事は、19日、建設に反対する地権者らと5年ぶりに面会したあと、記者団に対し、「令和4年度の完成スケジュールの中で、一刻も早く完成を目指していく必要がある」と述べ、完成予定時期を延期しない方針を示したばかりでした。

完成予定時期の延期は、これで9回目になります。

 

◆2019年9月21日 西日本新聞
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/544942/
ー石木ダム完成3年遅れへ 長崎県、住民との交渉時間確保ー

 長崎県と佐世保市が同県川棚町で進める石木ダム建設事業で、県側が2022年度とする完成目標を3年程度遅らせる方向で検討していることが分かった。1975年度に国の採択を受けた事業は予定地の住民が反対し、着工に至っていない。県側は、完成時期の変更について関連工事の遅れを理由に挙げるが、交渉に時間をかけて理解を得たい考えがあるとみられる。

 30日に長崎市内で開かれる県公共事業評価監視委員会に諮問し、答申を踏まえて正式に決定する予定。

 石木ダム予定地は79万3千平方メートルで、うち反対住民らが持っていたのは約12万平方メートル。県収用委員会の裁決で20日午前0時に所有権は消滅し、国が取得。今後は県や佐世保市に移る。

 11月18日には予定地に暮らす13世帯の宅地や田畑など全土地が明け渡し期限を迎え、県が強制的に建物を撤去する行政代執行が可能になる。県は完成時期をずらし、代執行の判断を猶予したまま交渉を続ける意向だ。 (岡部由佳里、竹中謙輔)

◆2019年9月22日 長崎新聞
https://this.kiji.is/548329216971457633?c=174761113988793844
ー石木ダム完成目標変更 3年程度遅らせ 長崎県が検討ー

  長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業を巡り、県側が2022年度とする完成目標年度を3年程度遅らせる方向で検討していることが21日、関係者への取材で分かった。30日に開く県公共事業評価監視委員会に諮問する見通し。

 事業着手から40年以上がたつ同事業を巡っては、これまでも完成目標時期の延期を繰り返している。15年には、16年度としていた完了年度を6年延長する工程表変更案を県公共事業評価監視委に示していた。

 同事業では今月、土地収用法に基づき県と佐世保市が未買収地約12万平方メートルの権利を取得。家屋など物件を含まない土地が対象だった19日に続き、物件を含む土地の明け渡し期限が11月18日に設定されているが、反対13世帯は応じない構えだ。

 関係者によると、県側は現状では22年度に完成が間に合わないとして、目標年度の変更を検討していた。中村法道知事は反対住民との約5年ぶりの面会後、報道陣に「改めて将来について(住民と)話し合う機会をいただければありがたい」と話しており、住民との交渉を進めたい考えもあるとみられる。