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国交相、国会で八ッ場ダムの貯水効果を強調

 関東地方を直撃した台風19号による大雨で、八ッ場ダムが「治水」の役に立ったのどうかが議論されています。
 地元紙、上毛新聞では、赤羽国交大臣、国交省の有識者会議の常連である清水義彦群馬大学教授、そして八ッ場ダムに反対する市民運動の理論面でのリーダーである嶋津暉之さん(元東京都環境科学研究所研究員)の意見を紹介しています。

◆2019年10月17日 上毛新聞
ー「八ッ場ダム 氾濫防いだ」国交相、貯水効果を強調ー

 赤羽一嘉国土交通相は16日の参院予算委員会で、試験湛水中の八ッ場ダム(長野原町)などに台風19号の大雨がたまった結果、下流の利根川での大きな氾濫を防ぐのに役立ったとの認識を示した。貯水容量の大きさなどに触れ、「利根川流域の住民の安全な暮らしに大きく寄与する」と述べた。

 これに対し、識者から多様な声があがっている。
 群馬大大学院の清水義彦教授(河川工学)は「八ッ場ダムによって利根川の水位低下効果が発揮されたことは間違いない。検証の必要はあるが、試験湛水中でダムの水位が低かったことを考慮すると計画以上に効果が生まれた可能性がある」と指摘。本格運用開始後についても、「今回のように上流域で大雨が降った場合に、治水効果は十分に期待できる」と話す。

 一方、水源開発問題全国連絡会共同代表の嶋津暉之さん(76)=埼玉県=は、「本格運用されていれば、今回の台風で緊急放流せざるを得ず、下流で氾濫を起こす可能性もあった」との見方を示す。ダムの治水効果は下流になるほど減衰するとし、「利根川中下流の水位を抑えるには河床掘削の方が効果的」と指摘している。


上記の記事の下に掲載されていたコラム記事も紹介します。

◆2019年10月17日 上毛新聞一面コラム 三山春秋
https://www.jomo-news.co.jp/feature/miyama/167166
ー河川があふれて家が水浸しに…ー

▼河川があふれて家が水浸しになった被害に加え、水が引いたら断水が待っていた。こんな二重苦に見舞われた住民もいるようだ。水の恐ろしさと大切さを一遍に再認識させられた台風19号である

 ▼人間の生活に切っても切り離せない水のことを考えながら、ダムを思い浮かべた。川をせき止めてためた水を飲料水や農業用水、発電などに利用する側面と、洪水を防ぐ機能が期待されている

 ▼ただ、近年は従来の想定を超える大雨が降り、重大な災害が頻発する。大雨に備え空けておくダムの「洪水調節」の容量を超える流入があり、緊急放流に踏み切るケースもみられる

 ▼今回、驚かされたのは八ツ場ダム(長野原町)が一気に満水になったことだ。今月から試験的に水をためていて、3、4カ月かけて満水にする計画だった。台風19号の大雨で1日に貯水池の水位が50メートルも上昇したといい、そのすさまじさを物語る

 ▼来年の東京五輪・パラリンピックに備え、国と関東の7都県は水不足への対策をまとめた。その中には利用できる水を確保するため、県内を含む9ダムの洪水調節容量を圧縮する対策も入っている

 ▼大会期間中は夏の最も暑い時季で台風シーズンでもある。猛暑や少雨による渇水が懸念される一方で、台風などによる豪雨も考えられる。水確保か、洪水への備えか。何とも悩ましい。