八ツ場ダムの効果称賛、専門家は疑問視「冷静に検証を」

 台風の通過とともに吹き上がった八ッ場ダム礼賛とダム反対へのバッシングが一段落し、新聞では冷静な検証が必要との専門家の意見が紹介されています。

◆2019年10月17日 朝日新聞
https://digital.asahi.com/articles/ASMBJ6F0GMBJUHNB01Q.html
ー八ツ場ダムの効果称賛、専門家は疑問視「冷静に検証を」ー

 記録的な大雨をもたらした台風19号で、試験貯水中に満水となった八ツ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)の治水効果をめぐり、称賛と批判が渦巻いている。こうした状況について、治水の専門家の今本博健・京都大名誉教授(河川工学)に話を聞いた。

  台風19号に関する八ツ場ダムの治水効果は今後、データをそろえ冷静に検証する必要がある。私たちは洪水と共存しながら人命を守っていかなければならない。私はダム推進派でも反対派でもないが、効果を過大評価せずに見つめていかなくてはならないと思う。

 今回は試験貯水中で、たまたまダムの容量に通常以上の余裕があった。

 ダムが運用中なら下流の利水のために容量の余裕は少なく、7500万立方メートルの水が来れば緊急放流となっていただろう。

 国土交通省の予想を超え、今回も緊急放流がたくさんの場所(5県6カ所)で実施された。堤防強化など治水ではあらゆる対策が考えられ、ダムも一つの選択肢だが、計画以上の水が来ると下流に流すしかない欠点があり、造るのに金もかかる。さらに、本当に洪水を抑えようとするならもっと多くのダムが必要になる。

 八ツ場ダムに利根川水系の流量を調節する効果がないことはない。ただ、広大な利根川水系で上流の八ツ場ダムが、遠く離れた下流域の水位を下げるのにどれだけ効果があったのかは疑問視される。

 治水対策はこうした様々な条件や手段を検証し、費用、時間、効果で優先順位を決め、住民の命を守るにはどうすればいいかを考えるべきだ。(聞き手・丹野宗丈)

◆2019年10月17日 東京新聞特報面
https://yamba-net.org/wp/wp-content/uploads/2019/10/0d3e656e0fb7f08187e8243b7587de7c.pdf
ー検証 台風19号で八ツ場ダム スーパー堤防で本当に役立った?ー

 ネット賞賛■首相は意義強調「後世の人救う」
 実際は 八ッ場 水位17センチ下げただけ 緊急放流で被害の可能性も
 堤防 現時点で効果分からず/「壊れない」はウソ
 巨大事業に頼らず すぐ対策を

写真=右の尾根の林の中にあった川原湯温泉跡も水没。湖面すれすれに町道・川原湯温泉幹線街路を建設。

写真=写真奥に丸岩。右手の斜面は、地すべり対策で押え盛土を行った林地区・勝沼。

写真=JR長野原草津口駅前はダム湖上流端とされるが、駅の上流側でも樹木がなかば水没。右手の長野原地区の代替地は、2安全対策の対象とされながら、2017年に対象外とされた所。写真はいずれも10/14撮影。