八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

「ダム事業のあり方は」(東京新聞インタビュー記事)

 ダム事業のあり方をめぐり、国土強靭化を推進する自民党の福井照衆院議員と、民主党政権時に八ッ場ダム事業に関わった馬淵澄夫衆院議員にインタビューした東京新聞の記事を紹介します。

 記事の中で、福井氏は「私たちはピーク時の水位を1センチでも下げるのを治水の根幹としてきた」と語っています。これは、台風19号による洪水の直後に、元・国交省河川局長の竹村公太郎氏が公表した論考でも強調されていることですが、水位を下げることが治水上必要であるのは当然のことです。問題は、水位を少しでも下げるために、68年の歳月と巨額の税金と多くの水没住民の犠牲を必要とした八ッ場ダム事業を推し進めたことが国の政策としてふさわしかったかということです。水位を下げるのであれば、河床の掘削など、他にはるかに短時間で、お金のかからない、住民の犠牲を伴わない治水対策があるからです。
 福井氏は「八ッ場ダムによる効果分析を行うのか」とのインタビュアーの質問に対して、「ダムは明治時代からやってきたことで間違っていない。今回ことさらにダムの正当性を主張する必要性を感じていない」と答えています。

 馬淵氏は八ッ場ダムにおける利根川の洪水調節効果を検証している最中の2011年に、突然、国交大臣を解任されました。その後、民主党政権はなし崩しに八ッ場ダムの事業継続を容認してしまいました。このインタビュー記事では、馬淵氏がこのたびの台風19号における八ッ場ダムの洪水調節効果について、次のように語っています。

「七千五百万立方メートルの貯留があった。河川に流れる水量がそれだけ減った。だがその一点をもって、氾濫を食い止めたという話にはならない。国交省も検証できないと言っている。」
 

◆2019年10月31日 東京新聞
https://www.tokyo-np.co.jp/article/kakushin/list/CK2019103102000144.html
ーダム事業のあり方はー

 台風19号による豪雨災害で、群馬県長野原町の八ッ場(やんば)ダムが注目されるなど治水事業のあり方が問われている。自民党・国土強靱(きょうじん)化推進本部の福井照(てる)事務総長と、「コンクリートから人へ」を掲げた民主党政権で国土交通相を務めた馬淵澄夫衆院議員(無所属)に考えを聞いた。 (坂田奈央、井上峻輔)