福島県・高の倉ダムの緊急放流で、被災住民が検証行う協議会設立

 高の倉ダムは福島県の総貯水容量600万㎥の農業用水専用ダムです。高の倉ダムの緊急放流により、ダム下流の高倉地区の住宅が全壊や浸水の被害を受けたとして、地区住民が放流や避難誘導の在り方を検証する協議会を設立したとのことです。

◆2019年11月10日 河北新報
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201911/20191112_63018.html
ー高の倉ダムの緊急放流検証へ 住民が協議会 南相馬ー

 台風19号と10月25日の大雨で、福島県南相馬市原町区にある「高の倉ダム」が緊急放流を2回行ったため高倉地区の住宅が全壊や浸水の被害を受けたとして、地区住民が放流や避難誘導の在り方を検証する協議会を設立した。今月14日、ダムを管理する市から説明を受ける。市は規定に基づいた放流だったと主張している。
 協議会は高倉行政区の役員や被災者14人で構成。菅野秀一区長によると、緊急放流のために地区の10世帯が被災したほか、道路や橋の損壊、農地被害などがあった。
 今後、緊急放流の実施や避難誘導を住民に周知する市の対応が適切だったかどうか、生活支援、農地復旧の在り方など6項目を検証していく。
 ダムの近くに住む大工小野栄さん(71)は、台風19号が通過した10月12日夜の緊急放流によって自宅が全壊したと訴える。母屋は床上1メートルの高さで濁流が西から東へ突き抜け、作業場や納屋は倒壊した。
 長女から「緊急放流の可能性がある」と電話連絡を受け、午後8時すぎに車で避難した。「家にいたらどうなっていたか。先祖代々100年以上暮らしてきたが、もうここには住めない」と話す。
 福島県から委託を受けてダムを管理する市は「高の倉ダムは農業用の利水ダムであり、事前放流などの洪水調整ができない」(経済部)と説明する。
 市によると、ダムの洪水ゲートは貯水率が73%を超えないと機能しない。今回は2回の放流時ともピークには95%を超え、12日は最大で毎秒約190立方メートルの流入と放流、25日には同約120立方メートルが流入して同59立方メートルを放流した。

◆2019年11月15日 朝日新聞福島版
https://digital.asahi.com/articles/ASMCG51RQMCGUGTB009.html
ーダム緊急放流で被災 南相馬市の住民、市側と協議ー

 台風19号と10月25日の大雨で南相馬市原町区にある「高の倉ダム」では緊急放流が行われ、下流の高倉地区の住宅や橋が大きな被害を受けた。住民は「緊急放流は対応の誤りであり、被害は人災だ」と反発する一方、ダムを管理する市は「ルール通りの対応」との立場だ。14日夜、市長による初めての住民への説明会があった。

 市によると、台風19号の大雨により、ダムの貯水率は最大で約96%に達し、緊急放流を決定。10月12日午後7時から最大毎秒189トンを放流し、約12時間続いた。平常時のダムの放流量は毎秒1トン弱で、最大で200倍近い放流が行われた計算になる。市は事前に防災メールや防災無線、市のホームページで放流を知らせたという。

 市経済部の担当者は「高の倉ダムは農業用の利水ダムで、構造上、事前の洪水調整ができない。放流は満水が迫る中、ダム本体を守るための措置で、規則にのっとったものだ」と説明する。

 一方、高倉地区の菅野秀一行政区長によると、ダムの下流2キロまでの地域に約65世帯が住み、今回の緊急放流で1世帯が全壊、11世帯が浸水したほか、橋二つが完全に流失し、道路や農地も広く被災した。今回の被災を受け、住民約150人が協議会を結成。ダムの管理や緊急放流、放流時の避難誘導のあり方の検証や、被災者への今後の対応策を市側に求めている。

 ダムから約300メートル下流の水無川沿いに住む大工の小野栄さん(71)は12日午後8時すぎ、市内に住む長女から緊急放流を知らせる電話を受け、自宅から車で急いで避難した。平屋の自宅は床上1メートル以上の水が襲い、全壊したと訴える。川から流れてきた土砂で庭が埋まり、作業場や納屋も被災し、小野さんは「大雨が来ることは前々から予想されていたのだから、ダムが満水近くになってから大量に放流するのではなく、あらかじめ少しずつ放流してダムの水位を下げることは出来なかったのか」と訴える。

 緊急放流は10月25日の大雨の時も実施された。

 14日夕には高倉地区の集会所で説明会があり、市側から門馬和夫市長や経済部の担当者らが出席し、住民側からは協議会の幹部ら16人が参加した。門馬市長は「放流のいきさつをきちんと説明し、今後の住民の生活再建に向けた支援についてしっかりと対応していく」と話した。(江川慎太郎)

◆2019年11月15日 河北新報
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201911/20191115_61002.html
ー高の倉ダム緊急放流 南相馬市が協議会住民に説明 市長「新ルール必要」ー

  台風19号と10月25日の大雨に伴う南相馬市原町区の高の倉ダムの緊急放流によって住宅や農地、道路などが被害を受けたとして地区住民の協議会が検証を求めている問題で、市は14日、高倉公会堂で説明会を開いた。
 会合には門馬和夫市長が出席。高倉行政区の役員ら16人が集まった。協議会があらかじめ質問していた緊急放流や避難誘導の在り方のほか、生活支援、農地復旧など8項目について市が説明した。住民とのやりとりは非公開で行われた。
 終了後、門馬市長は取材に「緊急放流に違法性はなく、やむを得なかった。ただ、被害が出たので事前に水位を下げられないかどうか新たなルールを作っていきたい」と言及。県などと協議しながら、記録的な短時間大雨に対応する規定作りを急ぐ考えを示した。
 高倉行政区の菅野秀一区長は「かつて緊急放流の際は地元に連絡があり、住民立ち会いの下で行っていたが今回はなかった。地元住民の生命と財産に関わる」と語った。今後、市の対応策を待って年内にも地元としての判断をまとめる。
 協議会の説明では、緊急放流によって住宅1棟が全壊し、10戸余りが床上浸水した。