長崎県の石木ダム予定地では、13世帯の住民が今も不要なダム建設に反対しており、ダムの受益者とされる佐世保市民をはじめ多くの人々が住民を支援しています。しかし、国土交通省は、住民の土地と家屋を強制的に取得する権利を事業者である長崎県に与える事業認定(土地収用法に基づく行政処分)を行ったため、ダム予定地のすべての土地と家屋は、住民が住み暮らし続けたまま、国に強制的に取り上げられる法的手続きが行われました。
この事業認定の取り消しを住民が国に求めた裁判で、福岡高裁が11月29日、敗訴の判決を言い渡したのを受け、12月10日、住民側が最高裁に上告しました。
関連記事を転載します。
◆2019年12月10日 NHK
https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/20191210/5030006225.html
ー石木ダム訴訟 原告側が上告ー
川棚町で建設が進められている石木ダムについて、建設に反対する元地権者の住民などが国に事業認定の取り消しを求めた裁判で、住民側の訴えを退けた福岡高等裁判所の判決を不服として10日、原告側が最高裁判所に上告しました。
石木ダムは、長崎県と佐世保市が水道水の確保や洪水対策を目的に、285億円をかけて川棚町に建設を進めているダムで、反対する住民など100人余りが「ふるさとが奪われる」などとして、国に事業認定の取り消しを求める訴えを起こしています。
1審の長崎地方裁判所は「石木ダム事業は水道用水の確保や洪水調整のため必要がある」として訴えを退け、2審の福岡高等裁判所も「国の事業認定の判断に裁量を逸脱し、乱用した違法はない」などとして住民の訴えを退けました。
この判決を不服として10日、原告側が最高裁判所に上告しました。
◆2019年12月11日 長崎新聞
https://this.kiji.is/577296855209296993?c=39546741839462401
ー石木ダム 認定取り消し訴訟 住民側が上告ー
長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業を巡り、建設に反対する住民らが国に事業認定取り消しを求めた訴訟で、住民側が10日、請求を棄却した福岡高裁判決を不服として、最高裁に上告した。
訴訟で住民側は、同ダムの目的である佐世保市の利水や川棚川の治水は合理性を欠き、建設予定地に暮らす13世帯の土地を強制的に収用するだけの公益性はないと主張。一審の長崎地裁は昨年7月、ダムの必要性を一定認め、事業認定は適法と結論付けた。福岡地裁も今年11月、原判決を支持した。
同日、代理人弁護士らと上告状などを提出した住民の岩下和雄さん(72)は「控訴審判決は、長崎地裁の判決をそのままなぞっただけ。最高裁でしっかり審理してもらわないといけない」と話した。