八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

11月の現地見学会の写真

 さる11月24日、あしたの会では試験湛水が進む八ッ場ダム貯水池周辺の見学会を行いました。
 10月1日に試験湛水を開始した八ッ場ダムは、10月12日に来襲した台風により一気に水位が上がり、10月15日には満水位の標高583メートルに達しました。その後、毎日1メートル以内の範囲で水位が下げられ、国土交通省八ッ場ダム工事事務所がネット上に公開している「過去の試験湛水状況」によれば、この日、11月24日午前9時時点の水位は標高552.7メートルに低下していました。試験湛水では、水位を最低水位(標高536.3メートル)まで下げることになっており、その後も水位は下がり続けていきましたが、11月24日の時点でも満水の時より約30メートル低下していましたので、ダム湖の風景は随分と変化しました。

 見学会に参加された東京水道労働組合の国谷武志さんのお写真を提供していただきましたので、紹介します。

写真下=ダム堤ではまだ工事が続いている。

写真下=八ッ場大橋よりダム堤の右岸側の川原湯地区の打越代替地と左岸側の川原畑地区の代替地を望む。

写真下=打越代替地の温泉街ゾーンとダム湖に沈んだ温泉街跡周辺。 

写真下=ダム堤前の山と川原畑地区代替地(三平)。一旦水に沈んだ場所には、流木などが残され、地表が抉れている所もある。三平の斜面では縄文、平安時代の集落跡が出土。

写真左下=川原湯温泉の共同湯・王湯跡周辺。川原湯温泉の元の湯源泉(旧源泉)は王湯跡周辺に自然湧出しており、試験湛水開始前に井筒で湧出口を保護する工事が行われた。温泉の湧出口は標高574メートル。周辺では、JR川原湯温泉駅のある上湯原と打越代替地を繋ぐ町道の建設工事が進められている。 写真右下=温泉街跡を上流にある不動大橋から望む。

写真下=横壁地区の白岩沢周辺。満水時には沈んでいた下田橋が水面に出てきた。ダム湖観光の目玉とされる水陸両用バスの発着所は、下田橋のたもとにつくられるという。

台風19号は上流から大量の土砂を流し、ダム湖上流端のJR長野原草津口駅前の吾妻川の河床には土砂が厚く堆積している。

写真下=長野原草津口駅の300メートルほど上流で、草津白根山麓から流下するエメラルドグリーンの白砂川(写真左下)が吾妻川に合流する。台風19号の豪雨の際は、白砂川が1キロ上流の貝瀬集落まで逆流したという。合流地点には大量の土砂が堆積し、現在も白砂川の流入を妨げている。

写真左下=白砂川沿いには、草津白根山麓から鉄鉱石を運搬するために第二次大戦中に敷設された太子線の鉄橋や線路の跡が残されている。写真右下=吾妻川と並行して走っている東京電力の水力発電用の導水管。八ッ場ダムに水を貯めるときは、水力発電用の水をダム湖に貯めるため、導水管を流れる水量が減少する。