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雨畑ダム土砂撤去へ 日軽金

 1967年から運用が開始されている日本軽金属の雨畑ダム(山梨県)は、上流から流れ込む土砂で満杯状態となり、ダム上流の水害や下流の河川環境にも影響を与えてきました。
 雨畑ダムは駿河湾のサクラエビ不漁をきっかけとして、下流の静岡県の地元紙が精力的に取材を行ったことから、大きな社会問題として注目されるようになりました。今夏には、国土交通省が雨畑ダムの堆砂問題について抜本的な解決策を講じるよう行政指導を行い、11月には山梨県知事が、そして今月15日には静岡県知事が現地を視察しました。
 日本軽金属は費用の負担が大きいことから、すぐには回答しませんでしたが、このほどはじめて、今後行う土砂対策について明らかにしたと報道されています。

◆2019年12月21日 静岡新聞
https://www.at-s.com/news/article/politics/shizuoka/718734.html
ー雨畑ダム土砂撤去へ 日軽金、5年かけ堆積4割分ー

 駿河湾産サクラエビの不漁を契機に注目される雨畑ダム(山梨県早川町)の堆砂問題で、ダムを管理する日本軽金属は20日、甲府市で開いた2回目の雨畑地区土砂対策検討会で、同地区の水害対策を念頭に5年ほどかけ堆積土砂の4割に当たる600万~700万立方メートルの土砂を撤去する方針を示した。同社が堆砂対策を明示したのは初めて。ただ、土砂の搬出先は「探している状況」(敷根功蒲原製造所長)とし、将来的なダムの維持管理の具体策には踏み込まなかった。

 ダムは日軽金の自家発電用。取水した水は導水管を通り、複数の水力発電施設を経て静岡市清水区の蒲原製造所放水路から駿河湾奥に注ぐ。放水路周辺の海域はサクラエビの産卵場で、漁師から不漁とダムの濁りの関係を危惧する声がある。

 会議の冒頭、杉山和義常務が「住民に多大なる損害を発生させたことをおわび申し上げる」と国や山梨県の関係者らに謝罪した。
 会合は非公開で行われ、同社は▽雨畑地区に梅雨までに堤防を造る▽2021年度末までに湖面から露出した土砂300万立方メートルを撤去▽24年度末までに湖内を300万~400万立方メートル掘削-などの計画を示した。約5年間で東京ドーム5杯分の土砂を搬出する計画という。

 ダムには、年間数十万立方メートルの土砂が流入するとみられ、同社側はこれについても撤去する意向を示したが、土砂の搬出作業について山梨県の幹部は「ダンプの往来は住民生活に支障を来す。日軽金の100%負担で新たな搬出用道路を造成する必要があるかもしれない」と指摘した。

 国は8月、同社に対して堆砂状況を抜本的に改善するよう行政指導。同社はこれまで対応を明らかにしてこなかった。

◆2019年12月21日 毎日新聞山梨版
https://mainichi.jp/articles/20191221/ddl/k19/040/097000c
ー雨畑ダム 日軽金が土砂撤去へ 600万立方メートル 第2回会合で合意ー

  早川町の雨畑ダムに土砂が堆積(たいせき)し、上流の雨畑川の河床が上昇している問題で、ダムを所有する日本軽金属(東京)は甲府市で20日、第2回雨畑地区土砂対策検討会を開いた。2025年3月までに、日軽金がダム湖と上流部の土砂600万~700万立方メートルを撤去する方針が合意された。来年2月上旬に開催予定の次回会合に日軽金が具体的な計画を示す。

 日軽金によると、2018年11月時点で、ダム湖と上流部で土砂1561万立方メートルが堆積しているという。

 会合は冒頭以外非公開で、国土交通省関東地方整備局、県、早川町の担当者も出席。国交省によると、国は事前に日軽金に対策例として、(1)22年3月までに上流部の土砂300万立方メートルを撤去(2)25年3月までに、さらにダム湖の土砂300万~400万立方メートルを撤去(3)30年3月までにはダム湖内の土砂を600万立方メートルまで減らす――の3段階の排出目標を提示。会議後、日軽金の杉山和義常務執行役員は、2段階目まで進める方針を示し、将来的には最終目標も検討するという。

 このほか会合では、10月の台風19号で土堤防が崩壊し、上流の本村地区に浸水被害が出たことに対し、日軽金は来年6~7月までに台風19号と同等の被害に耐えられる堤防を応急的に設置する方針も公表した。杉山執行役員は「台風19号で甚大な被害が出て責任を感じている。地元の皆様が安心して暮らせるよう対策工事を進める。土砂の堆積に関しても会社一丸となって対応する」と話した。

 県の清水宏治水課長は「地域住民の安全確保のため最低限の方針が示された。抜本対策が第一だが、水害が繰り返されないよう応急対策を最優先してほしい」と述べた。【高田奈実】

◆2019年12月16日 静岡新聞
https://www.at-s.com/sp/news/article/politics/shizuoka/716567.html
ーサクラエビ「壊滅的不漁へ影響当然」 雨畑ダム、知事初視察 ー

 駿河湾産サクラエビの不漁を契機に注目される雨畑ダム(山梨県早川町)の堆砂問題について川勝平太知事は15日、不漁問題の深刻化後初めて現地視察した。目的について「サクラエビのためだけに来た。濁りは壊滅的不漁に当然影響している」と述べ、県として事態打開に全力を挙げる考えを示した。

 川勝知事は同町の辻一幸町長の案内で早川本流や支流の雨畑川にある日本軽金属管理の同ダムなどを訪れた。砂利プラントやリニア中央新幹線工事など人の手が多く入る本流は降雨後1週間たっても濁り続けることがある。ただ、渇水期の晴天続きで濁りが薄く「見たところ清流だ」と述べた。

 この日、ダム湖や台風19号で被災したダム上流の濁りは著しかった。川勝知事は「下流の濁りはダム上流から来ているようだ。周囲の山の大規模な土砂崩れや最近の集中豪雨で目も当てられない状況になった」との認識を示した。一方、台風被災前から続くダム上流の濁りについては地元住民の間で「雨畑川最上流部から取水する東京発電の水力発電施設用導水管が工事で稼働しておらず、長年水に漬かっていなかった川岸などに水が触れ続けているから」との見方があった。

 川勝知事は「濁りはサクラエビの餌の植物プランクトンの光合成に影響を与える」と指摘。ダム湖にたまった堆砂を静岡県内の防潮堤に利用することが可能か検討する意向を示し、「運搬費は管理者の日軽金に出してもらう」とした。

◆2019年12月20日 産経新聞
https://news.livedoor.com/article/detail/17555044/
ー東京ドーム5個分の土砂撤去へ 沿岸浸水の山梨のダムー

 土砂の堆積率が9割を超え、沿岸が何度も浸水被害を受けている山梨県早川町の雨畑ダムについて、設置者のアルミ圧延大手、日本軽金属(日軽金、東京)は20日、5年間で東京ドーム約5個分の600万~700万立方メートルの土砂を撤去する計画を国土交通省や県などに示した。

 雨畑ダムは日軽金の工場で使う電力の発電用ダムで、総貯水容量1365万立方メートルのうち1200万立方メートル以上が土砂で埋まっているほか、上流に近い湖岸などでは湖面より高い位置に400万立方メートル近い土砂が堆積している。

 計画は甲府市内で開かれた国や県、町との対策検討会で提示された。応急対策として、浸水が起きた地区に来年夏までに堤防を建設。令和3年度末までに湖面より高い約300万立方メートル、6年度末までに湖底の300万~400万立方メートルを撤去する。国などは当面の計画として了承した。

◆2019年12月20日 日本テレビ
http://www.news24.jp/nnn/news16503997.html
ー雨畑ダム 5年以内に土砂4割を撤去へー

 早川町の雨畑ダムに、土砂が溜まり浸水被害がたびたび発生している問題で、ダムを管理する日本軽金属が5年以内に土砂の4割程度を撤去する方針を示した。

 日本軽金属が管理する「雨畑ダム」は、土砂の堆積量が総貯水量の9割以上を占め、上流部の本村地区では2年で3度の浸水被害が発生、国が対策の取りまとめを会社に指導している。

 国や県を交え非公開で開かれた20日の会議で日本軽金属は、ダム上流部で湖面より高い位置にある土砂300万立方メートルを2年かけて除去するほか、湖面より下の土砂300万~400万立方メートルを5年以内に撤去する方針を示し了承された。

 ダムに堆積した土砂は、去年11月時点で1561万立方メートルで、計画通り進めば5年間で堆積する土砂の4割程度が撤去されることになる。

 このほか、日本軽金属は当面の対策として、来年の出水期までに本村地区の周辺で浸水を防ぐ堤防を整備する方針も示した。