駿河湾のサクラエビの不漁を契機に、富士川支川・早川(山梨県早川町)の雨畑ダムの堆砂が問題になりましたが、他にも問題があります。早川の中流にある砂利プラントから運び出された不要土砂が河川内に野積みされ、早川の濁りの一因になっていたということです。
◆2019年12月29日 静岡新聞
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191229-00000001-at_s-l22
ー山梨・早川河川敷、土砂野積み 濁り一因?住民危惧ー
サクラエビの不漁を契機に、静岡と山梨両県が濁りの実態調査を進める早川(山梨県早川町)で、中流にある砂利プラントから運び出され河川内に野積みされた土砂がたびたび確認されている。台風など大雨時には土砂が浸水し、下流に向かって流出。周辺住民から「(濁りの)原因の一端は河川内の砂利プラントでは」と河川管理のあり方を問う声が相次いでいる。
地元では雨畑ダムの放流や台風などによる増水で、野積みされた土砂が浸水する様子が何度も目撃。10月の台風19号では孤立被害など周辺集落に大きな被害をもたらした。この時も土砂が直前に見られ、増水で一気に流されたという。
静岡新聞社は28日までに、読者からこの様子を撮った写真と動画を入手。撮影は9月下旬に始まり、台風19号で増水した10月12日まで。土砂の形が経過とともに変化し、増水であっという間に流された様子が分かる。
写真や動画を見た河川管理者の山梨県峡南建設事務所の担当者は28日までに「川から採取した原石のうち、使わないものを元に戻すことは許している」と回答。河川法では河川敷内の盛り土や占有には許可が必要だが「一連の採石作業の中で置いている。条文には該当しない」と判断した。
ただ、首をひねる砂利業界関係者は多い。「土砂が砂利洗浄後に出る汚泥(ヘドロ)の場合、産業廃棄物だ。川は自由に使用できるのに作業場になっていれば川遊びもできない。占有そのものでは。管理体制が問われている」と言う。
早川の川幅は狭く、場所によっては川幅の半分以上が砂利プラントだ。砂利業者の存在感は大きく、同県治水課は「疑念が生じないよう管理の有り様を考える」と話す。
■不法投棄防止「山梨対応甘い」
早川本流では3社が計五つの砂利プラントを運営中。南アルプスの隆起により早川は土砂供給が盛んで採石業が栄えた。
支流の雨畑川では5月にニッケイ工業による大量の汚泥の不法投棄があった。地元では「早川でも汚泥が濁りの原因では」との見方が根強い。
写真や動画に収められた土砂は業界内で「ガラ」と呼ばれるものとされる。河川から原石を採取し、砕くなどした後不要になったもの。通常汚泥などは混じっていない。
大井川上流では1970年代から、採石業者がお金をかけ護岸工事にガラを再利用するなどして河川敷に放置しないようにしてきた。早川下流の富士川では不法投棄防止のため、地元の採石業組合と国が協定を結び、汚泥の改良土を防災拠点に再利用できるスキームを実践中だ。こうした事業には河川管理者の意向が大きく働くといい、関係者は「山梨県の早川における対応は甘い」と話す。