国立映画アーカイブ「ダム建設記録映画を見る」-2/14~20、東京・京橋

 国立映画アーカイブにおいて、「戦後日本ドキュメンタリー映画再考」と題する企画を開催中です。
 この中で、ダム建設当時に撮影されたドキュメンタリー映画が上映されています。1月の上映は終了しましたが、2月の上映もありますので、2月の上映作品とスケジュールとをお伝えします。

★国立映画アーカイブホームページより
 https://www.nfaj.go.jp/

会場:国立映画アーカイブ 2階 長瀬記念ホール OZU
   https://www.nfaj.go.jp/visit/access/
   東京都中央区京橋 3-7-6 電話03-5777-8600(ハローダイヤル)

「戦後日本ドキュメンタリー映画再考」
https://www.nfaj.go.jp/exhibition/documentary201912/#section1-2

 ダム建設記録映画を見る
 戦後日本のノンフィクション映画界を瞬く間に成長させた原動力は、1950年代からの高度経済成長であった。その勢いに乗った企業や官公庁はPR映画の製作を加速、あらゆる分野において、製造物の価値を訴え、あるいは自社の宣伝を行う映画をこのジャンル専門のプロダクションに発注した。なかでも、この時期のPR映画を象徴する分野が、戦後の電力需要の急増などに対応して全国で建設されたダムの建設記録映画である。人間が自然を大規模に改変し、古くから住む人々に移住などの犠牲を強いながら、現代人の生活を支える立役者となったこの巨大なモニュメントと映画の出会いに注目する。

〇ダム映画1
  深い砂礫層などの障害をアメリカの大型機械を導入して克服、着工からわずか3年あまりで完成に至った日本土木史の金字塔、天竜川佐久間発電所の建設記録『佐久間ダム』。この時代の産業PR映画の興隆を象徴するこの大作は、長期現地滞在の撮影班により、その築造工程を3部作として詳細に記録している。この総集篇は、3部それぞれの原版ネガフィルムを解体して再編集したバージョンである。

2020年2月14日(金) 3:00 PM@長瀬記念ホール OZU

佐久間ダム[総集篇](96分・35mm・カラー)
1958(岩波映画製作所)(監・脚)高村武次(製)吉野馨治(撮)小村静夫、加藤和三、藤瀬季彦(編)伊勢長之助(音)芥川也寸志

〇ダム映画2(計91分)
 関西電力の委託による、黒部川第四発電所建設の記録。佐久間ダムよりも人里離れた土地を舞台としており、初期の工事を記録した第1 部では、危険を顧みない撮影による景観も強く印象に残る。また第2 部では、輸送路となる大町トンネル、アルプスを縦断する黒部トンネルの過酷な掘削工事をドラマティックに描いている。この大工事は、のちに三船敏郎・石原裕次郎共演の『黒部の太陽』(1968、熊井啓)の題材にもなった。

2020年2月18日(火) 7:00 PM@長瀬記念ホール OZU

黒部川第四水力発電所建設記録 第一部 黒部峡谷(38分・35mm・カラー)
1958(日本映画新社)(監)西尾善介(製)堀場伸世、藤本修一郎(撮)林田重男、丸子幸一郎、潮田三代治、藤田正美、今村俊輔(録)国島正男(編)伊勢長之助(音)別宮貞雄(解)藤倉修一

黒部川第4発電所建設記録 黒部峡谷 第2部 地底の凱歌(53分・35mm・カラー)
1959(日本映画新社)(監・脚)西尾善介(製)堀場伸世、藤本修一郎(撮)藤田正美、潮田三代治(録)国島正男(編)伊勢長之助(音)別宮貞雄(解)藤倉修一

〇ダム映画3(計95分)
  奥飛騨の白川郷に建設された御母衣ダムの建設を記録した2部作。岩盤が軟弱なため、日本で初めてコンクリートではなく岩石や土砂を積み上げるロックフィル工法が採用された。第1部は発破で岩石を作り出してゆく建設初期からの模様がスタンダードサイズの画面で、第2部は完成から送電開始までの模様が、横幅のあるロックフィルダムにふさわしく堂々のシネマスコープサイズで撮影されている。

2020年2月19日(水) 3:00 PM@長瀬記念ホール OZU

御母衣みぼろロックフィルダム第一部(47分・35mm・カラー)
1960(英映画社)(監)高木邦治(製)高橋銀三郎(脚)赤佐政治(撮)河合不二雄(録)阿部恒雄(音)陶野重雄(解)和田多吉

御母衣ロックフィルダム第二部(48分・35mm・カラー)
1961(英映画社)(監・脚)赤佐政治(製)高橋銀三郎(撮)河合不二雄(録)田中義造(音)清水脩(解)和田多吉

〇ダム映画4(計112分)
  岩波映画製作所は、『佐久間ダム』のほかにも、電源開発や鹿島建設などから数々のダム建設記録を受注している。このプログラムでは、建設前に反対運動が政治闘争となったことでも知られる東京奥多摩の小河内ダム建設の後期を記録した作品、そして福島県と新潟県にまたがる只見川に建設された奥只見ダムの記録映画を上映する。後者では坑道式発破による大がかりな岩盤破壊の模様を見ることができる。

2020年2月19日(水) 7:00 PM@長瀬記念ホール OZU

小河内ダム(39分・35mm・カラー)
1958(岩波映画製作所)(監・脚)岩佐氏寿(製)吉野馨治(撮)広川朝次郎(録)片山幹夫

豪雪に築く 奥只見ダム建設の記録(40分・35mm・カラー)
1962(岩波映画製作所)(監)伊勢長之助(製)坊野貞男(脚)高村武次(撮)岩波映画撮影部(録)桜井善一郎(音)三木稔(解)田宮二郎

奥只見ダム 第二部(33分・35mm・カラー)
1963(岩波映画製作所)(監)岩波映画演出部(製)坊野貞男(構・編)伊勢長之助(撮)岩波映画撮影部(録)加藤一郎(音)伊福部昭

*1/21更新:奥只見ダムの建設記録の総集篇である『豪雪に築く 奥只見ダム建設の記録』は、『奥只見ダム 第二部』と重複したショットがかなり多くございます。

〇ダム映画5(計131分)
 群馬県と埼玉県にまたがる利根川水系の下久保ダム(重力式コンクリートダム)、長野県松本の梓川に建てられた奈川渡ダム(アーチ式コンクリートダム)、北海道の大河である天塩川に作られた岩尾内ダム(重力式コンクリートダム)、北海道南部を流れる新冠川の新冠ダム(ロックフィルダム)という東日本の4つのダムの建設記録。

2020年2月20日(木) 3:00 PM@長瀬記念ホール OZU

下久保ダム(34分・35mm・カラー)
1968(理研映画)(監)合津進(製)藤田幸雄(脚)富岡捷(撮)小沢健次

総集編 アルプスにダムができた ―東京電力奈川渡ながわどダム―(35分・35mm・カラー)
1970(鹿島映画)(監)池田元嘉(製・脚)岩佐氏寿(撮)入沢甲、橋本正(音)冨田勲

岩尾内いわおないダム その建設の記録 第二部・建設編(40分・35mm・カラー)
1969(読売映画社)(監)井出玉江(撮)竹下公二

日高をひらく 新冠にいかっぷダム建設の記録 第一部(22分・35mm・カラー)
1972(読売映画社)(監)志羽一馬(撮)佐々木達春