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雨畑ダムの堆砂対策費触れず 日軽金HD通期予想

 駿河湾産サクラエビの不漁で注目される雨畑ダムの堆砂問題に関して、日本軽金属の姿勢を問題視する記事を紹介します。
 静岡新聞は雨畑ダムの問題をこの間、一貫して追求し続けており、静岡県、山梨県が知事を先頭に雨畑ダムの堆砂問題に積極的に取り組むようになり、昨夏には国土交通省が日本軽金属を堆砂問題で行政指導するという動きに繋がっています。

◆2020年1月31日 静岡新聞
https://www.at-s.com/news/article/special/sakura_ebi/007/732132.html
ー雨畑ダムの堆砂対策費触れず 日軽金HD通期予想ー

 駿河湾産サクラエビの不漁をきっかけに注目される雨畑ダム(山梨県早川町)の堆砂問題で、日本軽金属ホールディングスが30日発表した2020年3月期通期連結業績見通しで、対策費など具体策に触れなかったことが明らかになった。19年4~12月期決算でも「対策費用を合理的に見積もることが困難」との理由から、9月中間決算に続き計上しなかったことが判明。5年間で全ての土砂の4割に当たる600万~700万立方メートルを撤去する方針だが、巨額の対策費の裏付けは依然示されていない。

 国は昨年8月に抜本対策を施すよう行政指導した。同社は今回の決算発表では、国から指示された対策費について「今後、恒久対策に係る支出が見込まれる」とするにとどめた。専門家から「投資家に十分な注意喚起がなされていない」と疑問の声が出ていることに「計画が確定した時点で適切な会計処理を行う予定」と釈明した。

 富士川水系に所有する少なくとも四つの水力発電所で発電した電力を本来の目的のアルミニウム製錬ではなく売電していることが明らかになり、国土交通省が事実関係の確認に乗り出す意向を示していることについては「回答を差し控える」とした。同社の19年4~12月期連結決算は中国経済の減速などから減収減益。通期業績予想は前回公表から据え置いた。

 ■堆砂解決の道筋、最優先に 野口真有美氏(公認会計士、税理士)
 日軽金ホールディングスの2019年4~12月期決算資料には、雨畑ダム問題に対応しているとの記載はあるが、山梨県や国土交通省、報道機関に対し繰り返してきた表面的な説明の域を得ず、投資家に十分な内容とは到底言えない。

 事業のリスクは、特に、国の行政指導や県からの要望を踏まえると、ただ「検討中」と記載するのではなく、損失の発生の可能性、時期、利益に与える影響、執行側の対応策、中期経営計画との関連性など具体的に記載しなければならない。これまで同様、形式的な記載であり、ディスクローズ(情報開示)に後ろ向きな対応と言われてもやむを得ないのでは。

 投資家も、国も県も住民も、いつダムの問題が解決するのか、日本軽金属は本気で解決するつもりなのかを示してほしいと強く要望している。通期決算に向けて最優先の課題と捉え、開示という形で示すべきだ。

 19~21年度の中期経営計画においては積極的な投資と、その結果としての高い株主還元を行うとしている。もし、雨畑ダムに関する巨額の対策費用が生じ、投資計画に影響が出た場合、利益に影響し、当然に株主還元の計画も崩れる。決算のみならず中期経営計画の見直しも行われるのか注目したい。

 さらに、中期経営計画において「持続可能な社会への実現への取り組み」「コンプライアンスの徹底」をうたっているが、いま一度適切な説明を期待したい。

 <メモ>のぐち・まゆみ 独立行政法人監事や上場企業社外取締役、公益財団法人資金管理運用委員などを務める。東京大卒。51歳。

◆2020年2月5日 静岡新聞
https://www.at-s.com/news/article/special/sakura_ebi/007/733774.html
ー雨畑ダム、土砂搬出先決まらず 日軽金、検討会で説明ー

 駿河湾産サクラエビの不漁を契機に注目されている雨畑ダム(山梨県早川町)の堆砂問題で、日本軽金属は4日、甲府市内で雨畑地区土砂対策検討会の第3回会合を開き、国や県の担当者に対して土砂の搬出先がいまだ決まっていないことを明らかにした。
 取材に応じた同社の敷根功蒲原製造所長によると、搬出先候補地を本県内にも拡大して選定を行っているが見つからない状況。静岡県の川勝平太知事は防潮堤への受け入れ方針を表明しているが、本県から同社に対して具体的な提案はないという。
 敷根所長は「一度ダムの外に仮置きし、その後搬出することも一つの案」と述べた。
 ダム周辺の道路は狭く、ダンプカーの往来により住民生活に支障が出る懸念も出た。同社はベルトコンベヤーをダム下流の早川本流などにも設置する案を示したが、山梨県は景観上の問題などがあり、地元の了解が必須との考えを示した。
 同社は今月、昨年の台風で被災したダム上流の雨畑地区の川沿いに高さ6メートル以上、長さ約900メートルの鉄板製の浸水防止堤防を着工する意向も示した。