IR誘致と石木ダム推進で浮かび上がる、佐世保市の”慢性的な水不足”の実態

 佐世保市は”慢性的な水不足”を理由に、県と共に長年、石木ダム事業を推進してきました。しかし実際は、人口減少と水需要の減少で渇水は過去のこととなり、新たな水がめは不要です。
 佐世保市はIR誘致に名乗りを上げるに際して、ダム推進の大義名分を取り下げるわけにもいかず、「事業者にも水確保の対策を考えてもらうことになるだろう」と長崎県IR推進課は説明していると報道されています。
 

◆2020年1月30日 長崎新聞
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200130-00000010-nagasaki-l42
ーIR誘致の事業者選定 水確保も公募の条件か 佐世保市「渇水のリスク、課題と認識」ー

 長崎県と佐世保市がハウステンボス(HTB)への誘致を目指す、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)を巡り、水の確保が課題として浮上している。世界中から人を呼び込むIRには膨大な給水が必要となるが、佐世保市は“慢性的な水不足”。水源対策に掲げる東彼川棚町での石木ダム建設も、住民らの反対があり見通せない。IRを整備・運営する事業者の公募条件に、水の確保策が含まれる可能性も出ている。

 23日、石木ダム建設の利水面の事業再評価について、識者らの意見を聴く検討委員会が開かれた。市水道局は、2038年度までの水需要予測を説明。渇水などの非常時の備えを含め確保しておくべき水量は1日に約11万8千立方メートルと推計。既存のダムと川では約4万1千立方メートル足りないことを主張した。
 予測では、主な大型施設の1日最大給水量は、HTBが約2700立方メートル、佐世保重工業(SSK)が約6千立方メートル、自衛隊施設が約4100立方メートルと想定している。IRについては「未確定」として含めていない。
 政府は国内で最大3カ所を選ぶIRに対し、「これまでにないスケールとクオリティー」を要求。巨大なホテルや国際会議場などを備え、24時間営業が見込まれる。本県IRの具体的な内容は固まっていないが、膨大な給水量が必要となる可能性が高く、「5千立方メートル程度は必要」という見方もある。さらに周辺の開発や人口増加にも対応しなければならない。水道局は取材に対し「数字的には(IRの水は)まかなえない」との考えを示した。
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 水道法は、水道事業は原則として市町村が担うと規定。IRの水確保は佐世保市を中心に検討している。市企画部は「渇水のリスクが高まりかねない。課題として認識している」。
 IR誘致に伴うインフラ整備については、ほかの候補地も課題を抱えている。大阪府・市が候補地とする人工島の夢洲は、交通や上下水道網が十分に整っていない。このため、昨年12月に公表したIR事業者の募集要項には、鉄道や上下水道などの整備費用の一部として約203億円を事業者が負担する条件を付けた。担当者は「要項は自治体の課題に合わせ設定できる」とする。
 本県のIRは、事業者からコンセプトを聞いている段階。春ごろに募集要項を公表し、正式な公募を始める。県IR推進課は「石木ダム建設を前提に誘致を進めていない」と強調した上で、「公募では環境への配慮などを求める。事業者にも水確保の対策を考えてもらうことになるだろう」としている。