八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

ダムの事前放流についての協議

 一昨年7月の西日本水害で、愛媛県の肱川上流では国直轄の野村ダムと鹿野川ダムの緊急放流により、8人の流域住民が犠牲になりました。さらに昨年10月の台風19号でも各地でダムの緊急放流が行われ、緊急放流の恐ろしさが少しずつ知られるようになってきました。
 こうした経緯から、国は緊急放流を行わなければならない事態にならないよう、洪水が来る前に事前放流を行いやすくする補償制度を創設することとなり、各地のダムを巡って事前放流を行うための協議が始まっています。
 もっとも、事前放流をしても、緊急放流を避けることができるとは限りません。西日本豪雨では肱川上流の二基のダムはそれなりに事前放流をしていましたが、短期間で大量の雨が降ったため緊急放流を行わざるを得ませんでした。
 また、ダムによっては構造上、事前放流ができないダムも少なくありません。

◆2020年1月29日 毎日新聞佐賀版
水害対策にダム活用強化 利水も洪水調節利用検討 筑後川・矢部川水系、佐賀など4県管理者

 水害対策で筑後川・矢部川水系のダム全18基の活用を強化していくための協議会の初会合が27日、福岡県久留米市高野の国土交通省筑後川河川事務所であった。福岡、佐賀、大分、熊本の4県のダム管理者や河川管理者らが参加。大雨で水害が予想される場合、治水容量だけでなく利水容量も事前放流して洪水調節に利用することを検討する。6月の運用開始を目指す。

 2019年の台風19号の被害を受けて、政府が定めた方針に基づく取り組み。初会合では3月に河川管理者やダム管理者、利水者が治水協定を結ぶために協議を進めるとした。治水協定には洪水調節に利用可能な利水容量や、事前放流の判断条件や量などを盛り込むことを検討している。

 協議会の会長の平井新太郎・筑後川河川事務所副所長は「近年筑後川、矢部川水系では毎年のように洪水被害を受けている。これ以上の降雨が発生することを想定した場合、堤防決壊などのリスクに向けたダムの洪水調節機能の強化は有効な対策になる」と述べた。

 筑後川水系にはダム16基、矢部川水系には2基あり、管理者は国や県、独立行政法人水資源機構などに分かれる。農業や発電用などの利水ダムは10基で、8基は治水と利水の機能がある多目的ダム。有効貯水容量は筑後川水系16基で約1・8億トン、矢部川水系2基で約2400万トンで、いずれもそのうち約6割が治水容量となっている。【高芝菜穂子】

◆2020年1月27日 九州朝日放送
ダムの事前放流で筑後川水系の氾濫防止を

 毎年のように全国各地を襲う記録的な大雨。筑後川・矢部川水系でダムの事前放流で洪水を防ぐ国の方針が説明されました。

 27日、久留米市の国土交通省筑後川河川事務所で開かれた会議には、江川ダムなど筑後川・矢部川水系の18のダムを管理する自治体や企業が出席しました。

 全国のダムでは現在、洪水を防ぐ事前放流に農業用水や発電用水は使われていませんが、政府は去年の台風19号などの被害を受け、これらの水も対象するなどの方針を先月まとめています。

 2018年久留米市で起きた下流の内水氾濫や、堤防決壊のリスクについても減らす狙いがあります。

 放流した水が戻らなかった場合の補償など課題もありますが、筑後川河川事務所は3月までにダム管理者や利水者と協定を結びたいとしています。

◆2020年1月30日 宮崎日日新聞
ー事前放流 協定目指す 県内ダム管理者ら初会合で合意ー

 国土交通省宮崎河川国道事務所などは29日、国が管理する大淀、小丸、五ケ瀬川にあるダム31基の管理者や利水者らでつくる協議会を3水系ごとに設立した。宮崎市の同事務所で各水系の初会合を開催。大雨が予想される場合にダムの水位をあらかじめ下げていく「事前放流」の実施方針などを盛り込んだ「治水協定」の締結を目指し協議していくことで合意した。今後、協議を重ね3月までの締結を目指す。

 災害の激甚化を踏まえ、国は昨年12月にダム機能の強化に向けた基本方針を発表。水系ごとにダムの運用方法を見直し、「事前放流」ができる場合はその実施方針も盛り込んだ「治水協定」を関係者間で締結することなどを求めている。

 会合は大淀と小丸は合同で、五ケ瀬川水系は単独で開催。行政関係者や発電事業者ら計約110人が出席、非公開で協議された。

 同事務所によると、3水系の出席者は治水協定の締結に向けて協議していくことに合意。今後はダムごとに利水者との調整などを進めて結果を協議会の場で取りまとめ、協定締結を目指す。5月までに今後進めていくソフト・ハード対策の工程表も策定する。

 同事務所の岩崎征弘副所長は「大きな水害を防ぐためには、ダムの機能強化は有効な対策になる。住民の安心・安全のため関係機関と連携して進めたい」と話している。

◆2020年1月30日 茨城新聞
ー国や茨城県が協議会、ダム洪水調節の方針検討 利水容量も事前放流へー

 那珂川・久慈川水系の既存ダムの洪水調節機能を強化するため、国土交通省関東地方整備局は29日、関係省庁が連携する協議会を設置した。水戸市千波町の同整備局常陸河川国道事務所で同日、両水系のダム管理者や河川管理者が参加して第1回会議を開き・・・(以下略)

◆2020年1月22日 新潟日報
大雨に備えたダム「事前放流」 6割不可能

新潟県内 構造改修に多額の費用
 新潟県内の治水ダムや多目的ダム(上水道や発電など)22基のうち、約6割の14基=表参照=は、大雨に備えた「事前放流」が構造上できないことが21日、分かった。事前放流を行うためには構造を変えなければならず、工事に多額の費用が必要となる。国は…(以下略)