佐世保市は石木ダム事業の9度目の工期延長(2022年度→2025年度)に伴い、厚労省から補助金を得てダム事業に参画し続けるため、水需要予測について改めて再評価を行いました。
事業継続という結論ありきの「再評価」ですから、客観的な検証を行うことはもともと期待できませんでしたが、現実離れした水需要予測を容認したことが報道されています。
わが国のダム行政にとって最も大きな問題の一つは、事業評価を行う仕組みが形式でしかないことです。
なお、石木ダム事業に異議を唱える科学者らは、佐世保市の水需要予測の異常性について、このほど意見書を提出しました。
(参照ページ➡「石木ダム事業の水需要予測「科学性が欠如」 科学者の会 佐世保市に意見書」)
関連記事を転載します。
◆2020年2月7日 長崎新聞
https://this.kiji.is/598341764493231201
ー石木ダム事業再評価第三者委 継続妥当 方針案を了承ー
県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業を巡り、市水道局が進める利水面の事業再評価について第三者の意見を聴く、市上下水道事業経営検討委員会(武政剛弘委員長)の2回目の会合が6日、市役所で開かれた。水道局はダム以外の代替案や費用対効果を検証した結果として「事業継続が妥当」とする方針案を示し、検討委は了承した。検討委は次回以降の会合で結論をまとめ、答申する予定。
市水道局は国の補助を受けるため、2012年度以来となる事業再評価を進め、本年度中の完了を目指している。
この日の審議で市水道局は、石木ダムで賄う水源量(1日4万立方メートル)の代替となる可能性がある14の案を検証したことを報告。このうち、地下水を取水する案は「有力な地下水を発見できていない」と説明した。海水淡水化施設を整備する案も技術面などで課題が多く「立案困難」と分析。いずれの案も実現性などで、「石木ダム以外に有効な方策がない」と結論づけた。
費用対効果については、石木ダムの建設費と50年間の維持管理などの総費用は約757億円と試算。ダム整備で得る便益額(渇水時の給水制限による被害額)は約4026億円と算定し、効果が大きいとした。
検討委では、水道局の方針案に異論は出ず、「妥当」とする意見で一致した。
一般傍聴は別室で受け付け、中継映像が途切れて審議をやり直す場面もあった。ダム建設に反対する市民団体「石木川まもり隊」の松本美智恵代表は「住民に丁寧に説明しようという姿勢を感じない。代替案も具体的な数字が示されず、形だけの審議だ」と批判した。
◆2020年2月7日 読売新聞
https://www.yomiuri.co.jp/local/nagasaki/news/20200206-OYTNT50061/
ー佐世保市「事業継続が妥当」 石木ダム検討委会合ー
県と佐世保市が川棚町に計画する石木ダム建設事業を巡り、利水面から再評価する市上下水道事業経営検討委員会の2回目の会合が6日、同市役所で開かれ、ダムの代替案はなく「事業継続が妥当」とする市の方針を了承した。委員会は次回会合で答申をまとめる予定。
審議で、市は石木ダム以外のダム建設や地下水取水といった14案と、地下水の取水と海水の淡水化施設の建設を組み合わせる案の検討結果を説明。いずれも問題点や課題があるとし、「石木ダム以外に有効な方策はない」とした。
また、費用対効果については、石木ダムと関連施設の建設から供用開始後50年間にかかる維持費の総費用が約757億円(現在の物価に換算)となるのに対し、新たな水源の開発により避けられる渇水被害額が約4026億円に達するとの算定結果を示した。
◆2020年2月6日 テレビ長崎
http://www.ktn.co.jp/news/20200206295611/?fbclid=IwAR1Gf8_10OMZsiwY4AaaMjWJ66SwkzPGZulb6WzxbJZGhj0lPy_mA9T6Ywc
ー石木ダム事業の再評価で佐世保市の第三者委 水源確保に「ダム以外に代替案なし」ー
川棚町に計画されている石木ダムをめぐり、利水面で事業の必要性を評価する佐世保市の第三者委員会の2回目の会合が開かれました。
委員会では石木ダム以外に水源を確保する方法はないとの結論を出し、とりまとめに入りました。
佐世保市の上下水道事業経営検討委員会は石木ダム事業の再評価を進めています。
2回目となる2月6日は佐世保市の水源確保で石木ダムに頼らない代替案を検討しました。
佐世保市側は14の案を示し、場所を変えてダムを建設しても地形や地質面で難しいとしたほか、今あるダムのかさ上げや掘削でもすでに下の原ダムで実施していてさらなる再開発は不可能などと説明し、石木ダム以外に有効な方法はないとしました。
委員は「代替案はない」との意見で一致していて、武政 委員長は「事業継続となる方向で良いのでは」と述べています。
次回の委員会で答申案をまとめる方針です。
石木川まもり隊 松本 美智恵 代表 「思ったとおりの結論。一応代替案は出すけど根拠のない説明でとにかく、これも無理あれもできないと言って石木ダムしかないという結論に持っていっている」
委員会をめぐっては学識者などで構成する「ダム検証のあり方を問う科学者の会」が4日、佐世保市側が前回説明した水需要予測について「科学性が欠如している」として意見書を提出しています。