千曲川の治水対策、長沼の住民集会 一層強化を 国へ注文

 昨年10月の台風19号で決壊した千曲川の治水対策についての記事を二つ紹介します。
 被災地の住民集会では、国土交通省の千曲川河川事務所が「堤防を復旧して住宅側をブロックなどで補強するとした。その上で「絶対に壊れない堤防を造る技術は確立されていない」」と説明したところ、住民から「破堤しない技術(による堤防)にしてほしい」との注文が出たとのことです。
 千曲川の復旧工事では、堤防の住宅側(裏のり面)を補強するのはのり肩だけです。国交省は住宅側ののり面全体を補強する耐越水堤防工法を確立していますが、この工法の導入がダム反対運動に利用されるのを恐れてひっこめた経緯がいまだに尾を引いているのか、頑なに導入を拒否し続けています。

◆2020年2月3日 信濃毎日新聞
https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20200203/KT200202FTI090003000.php
ー治水対策 一層強化を 長沼の住民集会 国へ注文ー

 台風19号による千曲川の堤防決壊現場に近い長野市長沼地区の住民自治協議会が2日、2回目の住民集会を市東北中学校で開いた。国土交通省千曲川河川事務所(長野市)の担当者が、決壊現場や流域で行う改良復旧事業などについて説明。住民からは堤防のかさ上げや利水ダムを活用した流量調整など、一層の対策を求める声が相次いだ。

 約400人が出席。同事務所は、越水で堤防の住宅側が浸食され決壊したとし、現場では被災前と同様に堤防を復旧して住宅側をブロックなどで補強するとした。その上で「絶対に壊れない堤防を造る技術は確立されていない」と説明。住民からは「破堤しない技術(による堤防)にしてほしい」との注文も出た。

 「堤防をかさ上げしないのか」との質問も複数出た。事務所は1月公表の「緊急治水対策プロジェクト」を示し、千曲川下流の中野市立ケ花や飯山市戸狩地区の河道掘削などによって水位を下げ「堤防の中で安全に流す」とした。

 自宅が半壊し、アパートで暮らす長野市穂保の女性(67)は終了後「二度と堤防が決壊しないよう、もっと具体的な見通しを聞きたかった。今後も意見を言える会をこまめに開いてほしい」と話した。

 住民集会では、長沼地区の各区代表者らが復旧・復興策を話し合う「復興対策企画委員会」の設置を確認。専門家や国、県、市担当者のオブザーバーを含む18人で構成し、委員長に同地区住民自治協議会の柳見沢(やなみさわ)宏会長が就いた。

◆2020年2月1日 毎日新聞長野版
https://mainichi.jp/articles/20200201/ddl/k20/040/234000c
ー台風19号 掘削や遊水池設置 千曲川緊急治水対策 北陸整備局ー

 台風19号による甚大な被害を受け、国土交通省北陸地方整備局は31日、千曲川で遊水池の設置や川幅が狭まる部分の河道掘削などを盛り込んだ緊急治水対策を発表した。洪水時の水量調整や流下能力の強化が狙い。新潟県も含めた信濃川水系の総事業費は1227億円で、うち千曲川流域が9割弱を占める。

 緊急治水対策案は、河川▽流域▽まちづくり、ソフト――の3本柱で構成。河川対策では、川幅が狭い中野市立ケ花(120~450メートル)や飯山市戸狩(150~300メートル)の河道掘削を行う予定。中野市立ケ花は台風19号で堤防が決壊した長野市穂保の約7キロ下流に位置する。専門家からは、穂保の川幅は約1キロで下流の川幅と差がある地形のため、水が逆流する「遡上(そじょう)流」が入り込みやすかったことが決壊の一因になったと指摘されていた。

 河道掘削で下流の水量が増えるため、氾濫防止策として遊水池も新設し、上下流全体のバランスを保つ。千曲川流域の長野市や中野市、佐久市などの周辺4カ所が候補地。農地を利用して洪水時に水が流れ込むようにし、一時的に洪水を貯留して水量を低減させる。

 流域対策では、市町村と連携し、災害復旧用資機材や車両を備えた堤防沿いの防災拠点「河川防災ステーション」を整備する。平常時はコミュニティースペースや防災学習などに活用。災害時には、現地対策本部▽ポンプ車▽ヘリポート▽土砂保管――などに転用する。長野市が整備する意向を示している。

 北陸地方整備局は今後、被災地域は5年間、それ以外は10年間で緊急治水対策を実施する。【島袋太輔】

◆2020年1月25日 中日新聞長野版
https://www.chunichi.co.jp/article/nagano/20200125/CK2020012502000033.html
ー濁流ためる「遊水池」を 国交省、千曲川の治水対策プロジェクト案ー

 昨年十月の台風19号豪雨で氾濫した千曲川の治水対策を検討している「信濃川水系緊急治水対策会議」が二十四日、長野市内で開かれ、国土交通省は、洪水発生時に一時的に濁流をためる「遊水池」の整備、河床の掘り下げや川幅の拡幅などに今後五年程度で取り組んでいくプロジェクト案を提示した。阿部守一知事は会議の冒頭「治水対策には今後も国や市町村などと一体になって進めていきたい」と述べた。

 同会議は、豪雨によって大規模な浸水被害が発生したことを受けて同省と県、千曲川流域の市町村で設置。昨年十一月に初会合を開き、緊急治水対策を検討してきた。

 遊水池は洪水時に計画的に濁流をためるのが目的で、上流から新潟県内の下流まで複数の場所に設けるほか、市町村も公立学校といった公共施設に雨水貯留施設を設ける。大雨などの際に住民への情報発信方法の改善などにも取り組む考えだ。

 この日の会議では、市町村が作る洪水ハザードマップで必要な浸水想定区域図に関し、佐久市の柳田清二市長は国が「千年に一度の豪雨」を想定しているのに対し、県は「百年に一度」になっている浸水想定区域図もあると指摘。県側は新年度から改善していくとした。

 このほか、佐久穂町の佐々木勝町長は地元消防団が積極的に活動したことを報告した上で「消防団のなり手不足は深刻」として、小学校での放水体験などで消防団を身近に感じてもらうことから取り組んでいることを紹介した。(渡辺陽太郎)

◆2020年1月27日 信越放送
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200127-00369112-sbcv-l20
ー千曲川の氾濫対策で北信2か所の「狭窄部」掘削へー

 千曲川の氾濫対策として、川の幅が急激に狭くなる中野市と飯山市の2か所の「狭窄部」について、国が、川底を掘って深くする「掘削」を行う方針であることが分かりました。

 「狭窄部」の掘削は、去年の台風災害を受けた千曲川を含む信濃川水系の緊急治水対策プロジェクトで国が対策の一つとして示しました。
 関係者によりますと、県内では中野市の立ヶ花付近と飯山市の戸狩地区の2か所が対象になっています。
 このうち、立ヶ花は、堤防が決壊した長野市穂保から下流に5キロほどの場所にあります。
 川の幅は穂保付近が1キロ余りあるのに対し、立ヶ花橋の近くでは、260メートルほどと急激に狭まっていて、決壊の一因になった可能性も指摘されています。

 県は長年「狭窄部」への対応を国に要望していて、年度内に決定される見通しのプロジェクトに盛り込まれれば、5年以内に工事が行われることになります。