アユの遡上妨げ、水害引き起こす瀬戸石ダムめぐり、市民団体が国交省に要請行動

 わが国初の本格的なダム撤去(荒瀬ダム)が実現した熊本県の球磨川ですが、球磨川には瀬戸石ダムがあり、今もアユの遡上を妨げています。
 瀬戸石ダムはアユの遡上を妨げているだけでなく、上流から流れ込む土砂の堆積により、ダム上流で水害を発生させているという問題もあり、流域住民はダム撤去を求める運動を粘り強く続けています。
 近年はダム湖への土砂の堆積により、上流の水位が上がり、県道が冠水するようになり、嵩上げ工事が必要になりましたが、ダムを管理する電源開発は工事費用の負担を拒否しており、県民が反発しています。さる16日、市民団体「瀬戸石ダムを撤去する会」は、球磨川を管理する国交省に対して、電源開発が工事費用を負担するよう指導することを求める要請書を提出しました。4月16日付の熊本日日新聞によれば、工事費用は9億560万円が見込まれているとのことです。
(参考ページ:facebook「瀬戸石ダムはいらん!」)

 「瀬戸石ダムを撤去する会」の提出した文書は、以下のページでお読みいただけます。
 http://kawabegawa.jp/setoishi/20200416kokoushomoushiire.pdf

 アユの稚魚放流と瀬戸石ダムの堆砂による工事費用の負担問題に関する記事を転載します。
 

◆2020年4月18日 朝日新聞熊本版
https://digital.asahi.com/articles/ASN4K7D16N4JTLVB00P.html?iref=pc_ss_dat
ー稚アユ放流、大きく育て 球磨川ー

 球磨川漁業協同組合は16日、熊本県人吉市五日町で球磨川に約3万6千匹の稚アユを放流した。大きさは5センチ前後で重さは平均3・6グラム。6月1日にアユ釣りが解禁となる。

 アユは3月から5月にかけて八代海から球磨川を遡上(そじょう)するが、瀬戸石ダムなどが障害物となって自力で上ることができないため、同漁協が下流ですくい上げて上流で放している。

 期間中に計約250万匹の放流が目標だが、遡上するアユは減少傾向にあるという。(村上伸一)

◆2020年4月19日 毎日新聞熊本版
https://mainichi.jp/articles/20200419/ddl/k43/040/285000c?pid=14613
ー瀬戸石ダム 県道かさ上げ費用、電源開発負担を要請 九地整に市民団体ー

  熊本県の球磨川上流にある瀬戸石ダム(球磨村、芦北町)のために川の水位が上がり、降雨時に県道の冠水を起こしているとして、市民団体「瀬戸石ダムを撤去する会」が16日、河川管理者の九州地方整備局八代河川国道事務所に対し、県道かさ上げの工事費用を、ダムを管理する電源開発(東京)が負担するよう指導することを求めた。

 2019年7月、ダム上流の芦北町箙瀬(えびらせ)地区などの球磨川左岸側県道で冠水被害が発生。熊本県は県道を約1・7キロにわたって1~4・6メートルかさ上げする工事の24年春完了を目標に続けている。工事費は約9億5600万円。

 同会は、冠水被害はダム湖と堆積(たいせき)土砂による水位上昇が原因として、20年2月19日、電源開発に工事費を負担するよう求めた。しかし、同社は同3月12日に「道路行政に関して言及する立場にない」と回答。このため、九地整八代河川国道事務所に指導を求めた。

 要請書を渡した出水晃共同代表らは、電源開発が箙瀬地区などの土地や建物のかさ上げ工事費を「ダムによる浸水被害」の防止名目で補償している点を指摘し、「浸水被害はダムが原因であることを電源開発は認めている。県道工事に、県民のお金を使ってほしくない」と強調した。

 対応した九地整八代河川国道事務所の渡辺繁城副所長は「要請については担当部署、局長に伝えたい。電源開発は地元の意見に真摯(しんし)に対応すべきだと考える」などと述べるにとどめた。【山本泰久】