駿河湾産サクラエビの不漁をきっかけに注目される富士川水系の環境復元へ向けて、下流の静岡と上流の山梨の両県民がネットワークを発足させたとのニュースです。「川は山と海の架け橋」をスローガンに掲げる活動が河川環境の改善につながることを期待します。
◆2020年4月27日 静岡新聞
https://www.at-s.com/news/article/special/sakura_ebi/008/760891.html
ー富士川水系の環境復元へネット 静岡・山梨県民で発足ー
駿河湾産サクラエビの不漁をきっかけに注目される富士川水系の濁り問題について、静岡・山梨両県民約50人が26日までに、「富士川水系環境復元ネットワーク(富士川ネット)」を発足させた。濁りが続く富士川と、中流でのアユ、河口でのサクラエビやシラスの不漁との関係が危惧される中、あるべき姿を提言する。
活動の第1弾として、山梨県都留市にある地域自然財産研究所の篠田授樹さん(54)に依頼し、魚や鳥類の餌となる底生生物(水生昆虫類)の生息状況を調べていて、今月中にも現地調査が完了する。底生生物の種類や量は河川環境のバロメーターとされる。1994年にも同様の調査を行い、過去との比較が可能だ。
台風15号があった2011年以降、支流の早川の濁りが強くなり、改善されない状態が続いているとされる。一方、早川水系の雨畑川では昨年からことし、採石業者が汚泥(ヘドロ)を長年不法投棄していた実態や、違法に投棄されたコンクリくずのうち8割に相当する約4700トンが下流に流出したことが次々と明らかになった。
富士川ネット代表幹事の青木茂さん(65)=山梨県富士川町=によると、昨年5~7月に実施した静岡・山梨両県による濁りの合同調査では、大量の強アルカリ性のコンクリくずの流出があったにもかかわらず、川の生物への影響には一切触れられていない。「川底の石と石の隙間にヘドロやコンクリくず由来の微粒子が入り込み、出水の度に濁りの原因になっている」と指摘する。
富士川ネットの会員にはサクラエビ漁師、顧問には富士川中流の山梨県側の自治体首長や大学名誉教授らも名を連ねている。「川は山と海の架け橋」をスローガンに今後、学習会やシンポジウムなどを企画する。