長崎県が強制収用手続きを進め、行政代執行も辞さないとして強行しているい石木ダムの予定地では、今も13世帯50人の住民の暮らしがこれまでと変わらず続いています。
ダム建設地の「こうばる」でとれる米はとりわけ美味しく、昨年も「石木ダム強制収用を許さない県民ネットワーク」などを通して全国の支援者がこうばる米を注文しました。
これまでは田植えのイベントも行われてきましたが、今年はコロナウイルスの影響が見通せない中で、イベント開催は見送るそうです。コロナ禍でもダムの関連事業は止まりません。
◆2020年6月6日 朝日新聞長崎版
https://digital.asahi.com/articles/ASN6572SQN64TOLB00F.html
ーコロナ禍でも石木ダム工事着々 反対派も抗議継続ー
長崎県川棚町の石木ダムの建設予定地では、新型コロナウイルスに対する緊急事態宣言下でも連日、工事が続いた。これに対し、反対住民らも「3密」回避に苦慮しながら抗議の座り込みを続けてきた。一帯では、昨年の土地・家屋の強制収用手続き後、初となる田植えも始まる。
ダム予定地では、県が本体工事に先立ち、水没する県道の付け替え道路建設を進める。この工事に抗議して2016年夏から続く座り込みが連続850日(土日などを除く)となった4日。石木川に架かる新たな橋がほぼ姿を現した。県道との合流地点に位置し、ここが付け替え道路の起点となる。
大型連休以降、工事は一気に進んだ。この日も、各所でショベルカーがアームを上げ下げし、ダンプカー数台が砂煙を巻き上げ行き交っていた。左岸の高台では、マスク姿の住民ら約30人が、付け替え道路建設のための運搬路をふさぐ。
「コロナで工事をやめるぐらいなら、県はとっくに我々と向き合っているでしょう」「県がいう話し合いは、ダムの必要性の議論ではなく、補償交渉だ」。そんなあきらめに似た言葉も聞かれる。「コロナ対策で予算の組み替えが必要になるほどの事態なのに石木ダムは特別枠ですか? これほど不要論もあるのに……」と、工事を続ける県の姿勢を問う人もいた。
水没予定地・川原(こうばる)地区の宅地や農地は昨年、国に強制収用され、所有権はすべて国に移った。それでも5月末から田植えの準備が始まっている。座り込みの合間を縫って田に水を張り、土を細かく砕く代(しろ)かきの作業をしてきた。今週末、親族の手も借りての田植えがピークを迎える。(原口晋也)
◆2020年6月7日 朝日新聞長崎版
https://digital.asahi.com/articles/ASN6700FBN66TOLB005.html
ーダム建設予定地で田植え 立ち退き反対「住み続ける」ー
長崎県などが洪水防止や水道水供給のため川棚町に計画する石木(いしき)ダムの建設予定地で6日、田植えが始まった。土地収用法に基づき、一帯の土地の所有権が昨年すべて国に移って初めて迎えるシーズン。立ち退きを拒む川原(こうばる)集落13世帯の住民らは、父祖の開いた田で親族の手も借りながら汗を流した。
水を張った田んぼの周りにはダム反対の決意を記した看板が立つ。周りには草が生い茂った荒れ地も点在。立ち退いた住民の田や畑だったところだ。
県は家屋の強制撤去などの行政代執行も辞さない構えでいる。川原集落の総代、炭谷(すみや)猛さん(69)は「『ここに住み続ける』と言い続けている私たちにとって、田植えは当たり前の日常だし、住んでいるあかし。みんな気負いはない」と語った。(原口晋也)
◆2020年6月1日 共同通信
https://news.yahoo.co.jp/articles/ffd8bbc9acb74247fa275b3b7142b41b109d7785?page=1
ーまるでゾンビ、45年間本体未着工のダム計画 徹底抗戦13世帯、長崎県「実力行使も選択肢」ー
45年前に建設が決まったが、いまだに本体の着工すらしていないダム計画が長崎県で生き続けている。まるでゾンビのような公共事業は、石木ダム計画だ。県と佐世保市が川棚町の石木川流域に予定。ダム建設に伴う移転対象の約8割に当たる54世帯が既に転居した一方、水没予定地の13世帯約60人が残り「死んでもふるさとを離れない」と徹底抗戦の構えだ。住民は見直しを含めた対話を求めるが、県側は住民や家屋を撤去して強制的に土地を取り上げる〝実力行使〟の行政代執行を「選択肢の一つ」と言い放つ。両者の深い溝は埋まりそうにもない。(共同通信=石川陽一)
・・・(以下略)