中止となった丹生ダムめぐり、地元住民組織と関係機関の合意成立

 淀川水系で中止が決定している水資源機構の丹生ダムの買収済み用地などの対応方針について、関係機関が合意したことが報道されています。 

◆2020年6月3日 毎日新聞滋賀版
https://mainichi.jp/articles/20200603/ddl/k25/010/357000c
ー丹生ダム元予定地、整備対応方針で関係5者が合意 /滋賀ー

 三日月大造知事は2日、2016年7月に建設の中止が決まった「丹生(にう)ダム」(長浜市)の買収済み用地などの対応方針について、地元住民でつくる丹生ダム対策委員会と国土交通省近畿地方整備局、県、長浜市、水資源機構の5者で合意したと発表した。

 5者による協議会は16年から継続的に開催されているが、20年は新型コロナウイルス感染拡大に伴い、5月20日に書面で開催し、同25日に合意した。

 ダムの建設中止に伴う措置として、買収済み用地(351ヘクタール)▽残存山林(3159ヘクタール)▽付け替え県道(1・9キロ)――の3点について合意した。ダムとして利用される予定だった買収済み用地と、ダムが完成した時に使うため工事途中だった付け替え県道は、県が水資源機構から引き継ぐ。買収済み用地の上部に位置する残存山林については、水資源機構が所有者に補償金を支払うなどして対応する。【諸隈美紗稀】

~~~転載終わり~~~
 滋賀県に建設予定地があった丹生ダム中止とダム予定地の住民への対応については、他の淀川水系ダムと同様、前滋賀県知事の嘉田由紀子氏(参院議員)の尽力が大きな力となりました。丹生ダム中止のきっかけとなったのは、嘉田氏が2006年の知事選で丹生ダム凍結を選挙公約に掲げたことでした。
右図=水資源機構 丹生ダム建設所ホームページより

 嘉田氏はご自身のブログで、丹生ダムから見えてくるダム計画そのものの問題について詳しく報告しています。丹生ダムは「国が計画したダムのうち、住民の立ち退き移転後に中止になった」初めてのダムだそうです。それだけに、国のダム事業を受け入れ、立ち退かざるを得なかった住民、地域への対策が合意に至ったことは大きな意味があります。ダム事業用地からの移転者は八ッ場ダム(470世帯)よりはるかに少なかったとはいえ、40世帯ありました。

〈参考記事〉
〇日本経済新聞「滋賀の丹生ダム建設中止へ 近畿整備局など方針」(2014年1月17日)
https://www.nikkei.com/article/DGXNZO65427930X10C14A1LDA000/

〇かだ由紀子ブログ「伊勢湾台風被害と丹生ダム計画」(2018年10月12日)
https://go2senkyo.com/seijika/15638/posts/83246

 なお、2003年に淀川水系流域委員会が原則中止を提言した国直轄5ダムのその後の状況は次の通りです。

〇余野川ダム(大阪府) 2008年に中止決定。
〇丹生ダム(滋賀県) 2014年に中止決定。
〇川上ダム(三重県) 本体工事中で、2022年度に完成予定。伊賀市民が反対運動に取り組んでいる。
〇天ケ瀬ダム再開発(京都府) 工事中で2021年度に完成予定。京都地裁で公金支出差し止め訴訟の係争中(結審)
〇大戸川ダム(滋賀県) 凍結中。三日月大造・滋賀県知事は推進に方向転換したが、京都府と大阪府がダム建設に同意していない。

◆丹生ダム建設事業 再評価 平成26年7月 国土交通省近畿地方整備局 独立法人水資源機構関西支社
 https://www.kkr.mlit.go.jp/plan/ippan/zigyohyoka/ol9a8v000000cnxy-att/8.pdf