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安威川ダム訴訟 住民側訴え却下 大阪地裁判決

 大阪府が建設中の安威川ダム(同府茨木市)は治水効果がなく、崩落の危険性が高いとして、住民らが府に公金の支出差し止めを求めた訴訟の判決が大阪地裁で昨日(6月3日)ありました。残念ながら住民側の敗訴でした。
 ダムに関する裁判は住民側の敗訴が続いています。判決文は被告側(大阪府)を勝たせるという結論が先にあって書かれており、どれほど住民側が問題を指摘しても門前払いです。

〈参考記事〉「安威川ダム事業(大阪府)の愚かしさ」

 関連記事を転載します。

◆2020年6月3日 共同通信 (建設地のビデオ映像)
https://www.47news.jp/video/kyodo-video/4876091.html
ー安威川タム訴訟、住民敗訴公金支出差し止め請求ー

 大阪府が建設中の安威川(あいがわ)ダム(同府茨木市)は治水効果がなく建設計画は違法だとして、住民らが府に公金の支出差し止めを求めた訴訟の判決が3日、大阪地裁であり、三輪方大(まさひろ)裁判長は請求を退けた。

 住民側は予定地周辺には複数の活断層があり、岩盤の強度がもろいなどと主張していた。

 府によると、安威川ダム本体工事は平成26年に着手し、令和4年に完成予定としている。国の補助金対象で、全体事業費は約1536億円。平成21年、当時の橋下徹知事が建設を凍結したが、有識者による府の委員会が計画通り着工すべきだと判断した。

 判決を受け、府は「主張が認められたものと考えている。府民の安心安全のために今後も安威川ダムの完成に向け、着実に工事を進めていく」とのコメントを出した。

◆2020年6月3日 NHK 関西
https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20200603/2000030559.html
ー安威川ダム建設中止の訴え退けるー

 大阪府が茨木市に建設を進めている安威川ダムについて、反対する地元の住民が地震などで崩壊する危険性があるとして建設の中止を求めた裁判で、大阪地方裁判所は3日、「安全性を欠くとはいえない」と判断し、訴えを退けました。

 安威川ダムは、大阪府が府北部の安威川流域の洪水を防ぐため、1536億円をかけて6年前から建設を進めている、総貯水容量が京セラドーム大阪およそ15杯分の1800万立方メートルのダムで2年後(令和4年)に本体が完成する予定です。
 このダムをめぐり、大阪・茨木市の安威川流域に住む住民4人がダムの周辺には多くの断層が入り組み、地盤も弱く地震などでダムが崩壊する危険性があるなどとして、建設の中止を求める裁判を起こしていました。
 3日の判決で大阪地方裁判所の三輪方大 裁判長は、「断層についての府側の専門家の調査手法は適切で、建設するうえで注意は必要ないという判断は不合理ではない。ダムの地盤も弱い部分は補強工事が行われていて、安全性を欠くとはいえない」と述べ、訴えを退けました。
 判決について原告の1人、江菅洋一さんは、「こちらが主張した活断層の危険性などにきちんと触れられていないと思うので控訴する」とコメントしています。
 一方、大阪府は、「府民の安心・安全のため今後もダムの完成に向け着実に工事を進めていく」というコメントを出しました。

【安威川ダムとは】。
 安威川ダムは、茨木市を流れる安威川の流域で53年前の昭和42年に起きた豪雨災害をきっかけに、洪水対策と生活用水の確保のため大阪府が建設を計画しました。
 その後、府の水の需要見通しが少なくなったため、洪水対策のみを目的としたダムに計画変更されました。
 10年前(平成22年)、国のダム事業見直しの対象となりましたが、ほかの洪水対策より費用面や完成時期などからもっとも有効として事業が継続されました。
 そして6年前(平成26年)からダムの本体工事が始まり、これまでに総事業費の8割にあたる1224億円が使われました。
府によりますと、ダムの本体工事が始まったあと、地盤の風化が発見されたり、大雨によるひび割れが発生したりしているということですが、それらの対策工事を行ったうえで、2年後の完成を目指して工事を進めているということです。

◆2020年6月3日 毎日放送
https://news.yahoo.co.jp/articles/bed9a28c528de0266b676b49d773b246f6b1eef9
ー安威川ダム建設中止の訴え 大阪地裁退けるー

 大阪府茨木市で建設途中の安威川ダムの建設差し止めを求めて地元住民らが大阪府を提訴していた問題で、大阪地裁は住民らの訴えを退けました。

 大阪府は府北部を流れる安威川流域の洪水を防ぐため、1536億円をかけて大阪府茨木市で安威川ダムの建設を進めていて、再来年に完成する予定です。

 この川の下流に住む大阪府茨木市の住人ら4人が2014年、ダム周辺の地盤は脆弱で地震が起きると崩落の危険性が高いとして大阪府に建設費の支出差し止めなどを求め大阪地裁に提訴していました。

 6月3日の判決で、大阪地裁は「大阪府は事前に断層や地形について適切に調査していて、ダム周辺が複数の断層帯に囲まれていて地震により崩落する危険性があるとはいえず、地質もダム建設に不適であるということはできない」などとして住民らの訴えを退けました。住民らは判決を不服として控訴する方針です。

◆2020年6月4日 毎日新聞大阪版
https://mainichi.jp/articles/20200604/ddl/k27/040/258000c
ー安威川ダム訴訟 住民側訴え却下 地裁判決ー

 府が治水対策として建設を進めている安威川(あいがわ)ダム(茨木市)を巡り、地元住民らが府に公金支出の差し止めを求めた訴訟の判決で、大阪地裁の三輪方大裁判長(森鍵一裁判長代読)は3日、住民側の訴えを却下した。

 府によると、ダムは貯水量1800万トンで2024年の完成を見込む。総事業費は約1536億円に上り、既に約8割分を支出している。

 判決は、終了した事業の公金支出について「差し止めの対象を欠く」として訴えを不適法と判断。住民側はダムが断層に囲まれて地震で崩壊する危険性があると主張したが、「断層の評価は不適切と言えず、基礎地盤などは安全性に欠くと認められない」と退けた。【伊藤遥】