八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

八ッ場ダム湖の水位変動と水陸両用バス

 コロナ禍で運行が先延ばしになっている八ッ場ダムの水陸両用バスがマスコミにお披露目され、各紙が報道しています。
 水陸両用バスはダム湖観光の目玉として、ダム湖を抱える長野原町が約1億3千万円で購入しました。資金は八ッ場ダムの地域振興事業の一環として、ダムの受益者とされる利根川流域都県が負担しています。

 水陸両用バスの運行が開始される7月は洪水期(7月1日~10月5日)となり、八ッ場ダムは洪水に備えて水位を下げる操作を行います。八ッ場ダムは治水容量6500万㎥に対して利水容量2500万㎥と、利水容量より治水容量が大きなダムです。ダム湖の景観は、水位の変動によって大きく変わります。
右写真=ダム湖が満水になった時に水没した所は草木が枯れて白茶けている。水陸両用バス発着所の対岸、林地区久森(くもり)の湖岸。2020年6月10日撮影。

 八ッ場ダムは3月9日に試験湛水を終了し、翌10日から貯水を始め、5月12日に満水位に達しました。その後、5月22日には洪水期に向けて水位を下げ始めました。(⇒国土交通省利根川ダム統合管理事務所HP「洪水期に向けた準備を開始します。(八ッ場ダム)」)

 現在の貯水率は満水貯水量9000万㎥に対して60%を切った程度ですが、洪水期には貯水率が28%以下に下がります。貯水率60%(貯水量5400万㎥)の水位は571mくらいです。これは満水位583mより12m低い状態です。夏期制限水位555.2mまで貯水位が下がります。これは現状より約16m低い状態です。その後、渇水になれば、最低水位536.3mまでの範囲で貯水位が下がります。

【八ッ場ダムの貯水量と貯水位の関係図】(図作成:嶋津暉之)

〈参考ページ〉国土交通省利根川ダム統合管理事務所HPより「八ッ場ダム」
 八ッ場ダムの貯水量、貯水率、流入量、放流量の一時間ごとの観測データが公開されています。

◆2020年6月12日 上毛新聞
https://www.jomo-news.co.jp/news/gunma/society/218724
ー豪快!水しぶき 八ツ場あがつま湖で水陸両用バスが初入水ー

  群馬県長野原町が県内で初めて導入する水陸両用バスの試験運行が11日、八ツ場ダムの「八ツ場あがつま湖」で始まった。水しぶきを上げて勢いよく入水する「スプラッシュ」や湖上での航行速度の調整をしている。

 運営を担う日本水陸両用車協会(東京都)が7月中下旬の営業開始を目指し初めて湖面に浮かべた。水陸での遊覧が計80分、大人1人3500円の予定。協会の須知裕曠理事長は「非日常の体験を安全に楽しんでもらえるように試験を重ねたい」とし、18日まで集中的に試験運行する。

動画=https://www.youtube.com/watch?v=6z4PwWV2ZAM&feature=youtu.be
    

◆2020年6月12日 朝日新聞群馬版
https://digital.asahi.com/articles/ASN6C6WZ6N6CUHNB003.html
ー八ツ場ダム湖 水陸両用バスお目見えー

 今春完成した八ツ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)のダム湖「八ツ場あがつま湖」で11日、県内初となる水陸両用バスの試験運行が始まった。コースの確認や船長(運転士)の訓練をし、7月下旬の営業開始を目指している。

 町のゆるキャラなどが描かれた水陸両用バス「八ツ場にゃがてん号」(定員42人)は、川原湯地区にある管理用道路の坂道から勢いよく湖面に飛び込んだ。波しぶきを上げてプカリと浮かぶとバス後方のスクリューを回し、自転車ほどの速度で湖面を進んだ。

 町は「ダム湖を活用した観光の目玉にしたい」と、同バスを約1億3千万円で購入した。NPO法人日本水陸両用車協会が運行。営業開始後はダム堤体までの約4キロを遊覧する予定で、川原湯温泉などと連係して地域の活性化をはかる。(柳沼広幸)

◆2020年6月11日 読売新聞群馬版
https://news.yahoo.co.jp/articles/2b4f1f42728c7f41b3bedcf209c46be8a7f71ce9
ー水陸両用バスで湖上遊覧いかが…八ッ場ダムで試験運行ー

 4月に本格運用が始まった八ッ場ダム(群馬県長野原町)で11日、新たな観光の目玉となる水陸両用バスの試験運行が行われた。地元の町は安全性を確認した後、湖面を巡るバスツアーを7月下旬にも始める。

 定員40人のバスは全長12メートル、幅2・5メートル、高さ3・7メートル。オレンジ色を基調とした車体には、ダム建設に伴って高台に移転した川原湯温泉の奇祭「湯かけ祭り」の様子などが描かれている。

 11日は、町の委託で運行を担うNPO法人「日本水陸両用車協会」(東京)のスタッフが試乗。バスは管理道路からゆっくりとダム湖に進水していった。ツアー本番では、湖面や湖岸から望む夏の深緑や秋の紅葉などの景色を約80分間楽しめる。

—転載終わり—

写真=水陸両用バスの発着所となる川原湯地区上湯原の代替地。JR川原湯温泉駅に隣接して地域振興施設「川原湯温泉あそびの基地NOA」が間もなくオープンする。JRの線路の山側にNOAの横長の建物、湖岸側にグランピング施設(白いテント)が見える。

写真=水陸両用バスの発着所となる上湯原の下流側に水没した川原湯温泉の旧温泉街跡。水に沈んだ木が枯れてきた。ダム湖岸に新設された町道・川原湯温泉幹線街路から撮影。