政府が令和2年版「水循環白書」を発行しました。
2014年4月2日に水循環基本法が公布され、内閣府に水循環政策本部事務局が設けられました。2015年7月には水循環基本計画が閣議決定され、毎年度、水循環白書が発行されるようになりました。
しかし、水循環基本法や水循環基本計画が実際にどのような意味があるのか、どうもよくわかりません。水循環基本計画は水循環に関する施策に関して一通りのことが書かれていますが、その内容は課題を網羅した総花的なものであって具体性がありません。現在の水行政、河川行政を形成している法制度の仕組みを変えていくことについて具体的な記述が何もないのですから、水循環基本法は理念法で終わっています。
◆内閣官房水循環政策本部事務局
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/mizu_junkan/index.html
「令和元年度水循環施策」(令和2年版水循環白書)を取りまとめました
~前回東京オリンピックから現在までの水を取り巻く状況の変化を振り返る~
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/mizu_junkan/r01_mizujunkan_shisaku.html
・水循環白書の概要 令和2年版 水循環白書について(PDF/758KB)
・水循環白書 令和元年度 水循環施策(PDF/49,255KB)
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内閣官房のサイトには、上記のように、東京都の小河内ダムと群馬県の八ッ場ダムが利水施設として取り上げられていますが、小河内ダムと八ッ場ダムでは利水容量が大きく異なります。
1957年に完成した小河内ダムは、総貯水容量1億8910万㎥の利水専用ダムです。一方、八ッ場ダムは総貯水容量も1億750万㎥と小河内ダムよりかなり小規模ですが、治水目的もあるため、渇水と洪水がくる夏期の利水容量は僅か2500万㎥です。
オリンピック渇水のあった1964年以降、利根川上流では矢木沢ダム、下久保ダム、草木ダム、奈良俣ダム、荒川上流の浦山ダム、滝沢ダムなどの水源開発事業に参画した結果、今ではあり余る水源を確保しています。
関連記事を転載します。
◆2020年6月16日 産経新聞
https://www.sankei.com/life/news/200616/lif2006160020-n1.html
ー河川施設、戦略的管理を 令和2年版「水循環白書」ー
政府は16日、令和2年版水循環白書を閣議決定した。ダムや水門など河川施設の老朽化が加速しているとして、点検やメンテナンスの工夫で長持ちさせるなど、戦略的な維持管理が必要だと指摘している。
白書によると、国管理の河川施設は平成30年度末時点で約1万カ所。建設から50年以上が経過した施設は約4割だったが、令和20年度末には約8割に増加する見込みという。
高度経済成長期に集中的な整備が行われたためで、更新が重なるとコスト面で対応が難しくなるほか、大災害で損壊し長期間、機能が停止する恐れもある。
ダムなどのインフラは定期的な点検と補修により長寿命化できる。白書では、国土交通省がダムの点検に小型無人機ドローン、水中ロボットなどを活用していることを紹介している。