国交省河川堤防検討会(第三回)の配布資料、耐越水堤防工法を採用

 さる6月12日、国土交通省では「第3回 令和元年台風第19号の被災を踏まえた河川堤防に関する技術検討会」のWEB会議を開催しました。この会議の配布資料が国土交通省のホームページに掲載されましたので、お知らせします。

★国土交通省 第3回 令和元年台風第19号の被災を踏まえた河川堤防に関する技術検討会の配付資料 
 https://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/gijutsu_kentoukai/dai03kai/index.html

 この技術検討会の審議が重要であるのは、国交省が長年封印してきた耐越水堤防工法を部分的に導入する方向に方針を転換しようとしていることです。
 旧・建設省土木研究所は1975年から1984年にかけて、洪水時に堤防の越水が発生しても破堤しない耐越水堤防工法を研究開発し、その工法が全国の9河川で実施されました。さらに建設省は、2000年3月に関係機関に「河川堤防設計指針(第3稿)」を通知し、耐越水堤防工法を全国に広めようとしました。

 ところが、その翌年、2001年12月から熊本県で川辺川ダム住民討論集会が始まり、そこで耐越水堤防を整備すれば川辺川ダムが不要になるのではないかという問題提起がなされました。その提起を受けて、国交省はこのままで、耐越水堤防工法の存在が川辺川ダムはじめ、各地のダム事業推進の妨げになると考え、2002年7月に先に通知した「河川堤防設計指針(第3稿)」を廃止しました。それ以来、国交省は耐越水堤防工法の導入を頑なに拒否してきました。
 しかし、昨年の台風19号による洪水では国管理河川の12箇所・県管理河川の128箇所で堤防決壊が発生したことから、国交省は封印してきた耐越水堤防工法の導入を考えざるを得なくなりました。

 すでに、台風19号で決壊した千曲川の穗保地区560メートルは耐越水堤防工法の工事が進行中です。ただし、千曲川の越水4カ所の方は耐越水堤防工法ではありません。
 国交省の姿勢は耐越水堤防工法の全面採用ではありませんが、耐越水堤防工法導入の道が開かれたことを喜びたいと思います。
 耐越水堤防工法の導入は石崎勝義・元建設省土木研究所次長、今本博健京大名誉教授、大熊孝新潟大名誉教授らが提言し、私たちも国交省に働きかけてきました。
 今月中にこの技術検討会が報告書をまとめることになっています。

◆2020年6月16日 建設通信新聞
https://www.kensetsunews.com/archives/462855
ー粘り強い堤防整備/水位低下が困難個所に/国交省河川堤防検討会ー

 国土交通省は12日、「令和元年台風第19号の被災を踏まえた河川堤防に関する技術検討会」(座長・山田正中央大理工学部教授)の第3回会合を開き、報告書の案を示した。洪水時に河川水位を下げる対策の実施が困難な個所を候補に、危機管理として緊急的・短期的に河川堤防を強化し、越流した場合に決壊しにくい「粘り強い堤防」を整備する。月内に報告書をまとめる。
 緊急的・短期的に堤防を強化する個所は、狭さく部や橋梁の上流部・合流部・湾曲部などの影響を受けて水位が上昇しやすい区間のうち、水位上昇が当面解消されない区間を候補とする。越流しても堤防が決壊するまでの時間を引き延ばして、避難に必要な時間を確保できる堤防を整備する。
 越水に対して一定の効果を有すると考えられる資材・工法は存在するものの、それぞれに課題がある状況。加えて、越水に対する実証的な検証や、河川堤防に求められる基本的な性能に関して、さらなる検証が必要なものが多い。
 そのため、国交省、国土技術総合研究所、土木研究所、都道府県が連携し、堤防が決壊した個所や越水しても決壊に至らなかった個所のデータを収集・分析するとともに、大型実験の実施などによって対策工法の効果を検証し、技術開発につなげる。