八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

エジプト、ナイル川の巨大ダム協議で安保理に介入要請

 ナイル川に建設中のエチオピアの大エチオピア・ルネサンスダムをめぐって、エチオピアとエジプトの対立が深まっていることをAFP通信が報道しています。
 このダムの計画貯水容量は740億㎥です。ナイル川のエジプト側にあるアスワン・ハイ・ダム(1970年竣工)は貯水容量が1320憶㎥です。
 八ッ場ダムの総貯水容量は日本国内でさえ50番目と、それほど巨大ではありませんが、問題のエチオピアのダムは約1億㎥の八ッ場ダムの700倍以上、日本で一番貯水容量の大きい徳山ダム(6.6億㎥)ですら、100分の1以下ですから、ナイル川のダムは日本のダムとは規模が桁違いであることがわかります。それだけ、ナイル川ではダムがもたらす影響が甚大なのではないでしょうか。

 右の大エチオピア・ルネサンスダムの位置図は、2017年8月付の毎日新聞記事から。

◆2020年6月20日 AFP通信
https://www.afpbb.com/articles/-/3289390
ーエジプト、ナイル川の巨大ダム協議で安保理に介入要請ー

 エジプトは19日、ナイル川(Nile River)の巨大ダムをめぐりエチオピアと対立が深まっていることを受け、国連安全保障理事会(UN Security Council)に協議への介入を求めた。エジプト政府は、このダムによって同国に不可欠な水資源が減ることを懸念している。

 エジプト、エチオピア、スーダンは数年にわたり、大エチオピア・ルネサンスダム(Grand Ethiopian Renaissance Dam)への貯水量や運用をめぐって何度も協議を重ねてきた。しかし合意には至らず、3国の緊張関係は高まっていた。

 エチオピア政府は、合意の有無にかかわらず来月から貯水を始める方針を発表。エジプトは、水供給量が大幅に減る恐れがあるとして、このダムを国の存亡がかかる脅威とみなしている。ナイル川はエジプトの水需要の約97%をまかなっているだけでなく、流域10か国にとって水と電力を供給する生命線にもなっている。

 このダムはエチオピアが2011年に着工。完成すればアフリカ最大の水力発電用ダムとなる。

◆2020年6月22日 AFP=時事通信
https://news.yahoo.co.jp/articles/54aa8ba10514525c871d1347075c8317199dbc12
ーナイル川の巨大ダム問題、スーダンが対立激化に警鐘ー

 ナイル川(Nile River)の巨大ダムをめぐりエチオピアとエジプトの対立が深まっている問題で、スーダンは21日、対立の激化に警鐘を鳴らし、両国にさらなる交渉を促した。エジプト、エチオピア、スーダンは数年にわたり、大エチオピア・ルネサンスダム(Grand Ethiopian Renaissance Dam)の貯水量や運用をめぐって何度も協議を重ねてきた。しかし合意には至らず、3国の緊張関係は高まっていた。

 スーダンのヤセル・アッバス・ムハンマド・アリ(Yasser Abbas Mohamed Ali)かんがい・水資源相は21日、「わが国は対立の激化を望んでいない。交渉こそが唯一の解決策だ」「わが国にとって、合意文書への署名はダムへの注水の前提条件だ。スーダンはそれを要求する権利がある」と記者団に語った。

 エジプトは19日、国連安全保障理事会(UN Security Council)に協議への介入を求めた。同国は、水供給量が大幅に減る恐れがあるとして、このダムを国の存亡がかかる脅威とみなしている。ナイル川はエジプトの水需要の約97%をまかなっているだけでなく、流域10か国にとって水と電力を供給する生命線にもなっている。エジプトは、ダムはナイル川の流量を脅かし、同国の食料供給と経済に悪影響を及ぼすと主張している。

 一方エチオピアは、合意の有無にかかわらず、来月から注水を始める方針を発表。ダムは同国の発展に不可欠で、エジプトの水資源に影響を及ぼすことはないと主張している。【翻訳編集】 AFPBB News