八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

利根川水系、八ッ場ダムの次は南摩ダム本体工事着手

 1969年の実施計画調査着手から半世紀たつ南摩ダムの本体工事が発注されると報道されています。

 南摩ダムは(独)水資源機構の思川開発の中核事業です。南摩ダムが建設される南摩川は、利根川支流の渡良瀬川の支流の思川のさらに支流で、巨大ダムを建設するとは信じられないような小さな川です。南摩川を流れる水を貯めるだけでは、とうてい総貯水容量5100万㎥のダムに水を満たすことができないので、思川の支流の大芦川や黒川の水を導水することになっています。導水路の工事は2019年11~12月に始まったことになっています。
 現時点では事業費の概算額は約1850億円、完成は2024年度の予定です。

 南摩ダムの主目的は水源開発です。栃木県では、これまで美味しい地下水を水道に利用してきた県南地域(栃木市、下野市、壬生町)に南摩ダムの水を供給するために、約200億円をかけて広域水道事業を行うことになっています。南摩ダムを巡っては、これまでダム予定地の住民、栃木県民などが反対してきましたが、今も栃木市、下野市らの市民が水道事業の地下水切り捨てとセットのダム建設に反対する運動に取り組んでいます。

〈参考ページ〉
思川開発建設所の公式サイト
「南摩ダム建設で水道事業が圧迫される栃木県三市町の住民、要望書提出」

◆2020年6月25日 建設通信新聞
https://www.kensetsunews.com/archives/465761
ー南摩ダム/調査着手から半世紀/水資源機構ー

 水資源機構は、1969年の実施計画調査着手から半世紀を経て、南摩ダム(栃木県鹿沼市)の本体建設工事に動き出す。ダム高さ86.5m、堤体積約240万m3のコンクリート表面遮水壁型ロックフィルダム(CFRD)となる。工期に52カ月を充て、2024年度の全体完成を目指す。

https://www.kensetsunews.com/archives/465874
ー南摩ダム本体 6月30日公告/国内初 CFRD型式採用/水機構ー

 水資源機構は、1969年の実施計画調査着手から半世紀を経て利根川水系の南摩ダムの本体建設工事に着手する。22日に発注予定を公表し、「南摩ダム本体建設工事(追加工事)」の一般競争入札を第1四半期に公告するとした。30日にも総合評価落札を採用して手続きを開始する見込みだ。ダム高さ86.5m、堤体積約240万m3のコンクリート表面遮水壁型ロックフィルダム(CFRD)となる。工期に52カ月を充て、2024年度の全体完成を目指す。

 南摩ダム建設は、思川開発事業の中心的な役割を担う。同事業は思川の支川南摩川に南摩ダムを建設し、洪水調節を行うとともに、思川支川の黒川、大芦川と南摩ダムを導水路で結び、水を融通しつつ効率的に水資源開発を行う。

 近年、思川では02年7月の台風6号、11年の台風15号、15年の関東・東北豪雨で家屋浸水などの被害が発生している。整備によってダム下流の思川流域や利根川流域における洪水被害の軽減などが期待されている。

 ダム型式は、近代的工法(薄層転圧工法)を用いた本格的なダムとしては国内で初めてのCFRD型式を採用する。総貯水容量5100万m3、有効貯水容量は5000万m3となる。黒川導水路(延長約3㎞、最大通水量毎秒8m3)や大芦川導水路(延長約6㎞、最大通水量毎秒20m3)などを含めた事業費は約1850億円。

 今回公告する工事はWTO対象として発注規模は「50億円以上」。工事場所は栃木県鹿沼市上南摩町地内。事業担当事務所は思川開発建設所。