「ダムに期待しすぎてはダメ」大野ダム管理事務所マンガで「緊急放流」解説

 京都府が府営の大野ダムについて、「ダムの力に期待しすぎてはだめ」と戒める冊子をつくりました。
 2018年の西日本豪雨では、愛媛県を流れる肱川上流のダム二基が緊急放流を行い、下流で8人が逃げ遅れて犠牲になったことから、遺族がダム事業者(国土交通省)などの責任を追及する裁判を起こしています。

 ダム建設時には、ダムの治水効果が過大にPRされ、緊急放流のリスクなどは住民に知らされることがありません。このため、ダムがあれば安全という意識が一般にいきわたってきたのですが、豪雨が頻発する時代を迎え、流域住民の過度な信頼がダム管理者にとっては問題となりつつあります。

◆2020年9月5日 京都新聞
https://this.kiji.is/674721077558690913?c=39546741839462401
ー「ダムに期待しすぎてはダメ」 管理事務所が漫画で「緊急放流」解説、避難重要性訴え ー

 京都府が、南丹市美山町の大野ダムが果たす役割を紹介する漫画の冊子を作った。耳にする機会が増えた「緊急放流」などについて分かりやすく解説。「ダムの力に期待しすぎてはだめ」と戒め、迅速な避難も促す内容だ。新型コロナウイルスの感染拡大が収束すれば、由良川流域の小学校などでの防災教室で活用したいという。

 大野ダムは、由良川下流域の洪水被害の軽減などを目的につくられている。冊子は、京都精華大(京都市左京区)の学生らが絵や物語を担当し、府大野ダム総合管理事務所(同町)が監修した。

 大雨でダムが緊急放流(異常洪水時防災操作)したニュースを見た小学生のマサトは、浸水した家の玄関を見て驚く。「ダムのせい」と憤ったところに、竜の姿をしたキャラクター「虹子(にじこ)ちゃん」が現れるという展開。貯水湖が上から見ると竜に似ており、「虹の湖」と呼ばれるのにちなんでいる。

 普段、ダムはできる限り水をため、安全な量を下流に流していると解説。予想を超える雨の際には、放流量の調節ができなくなる事態を避けるため、ダムに入ってくる水と同じ量を流す緊急放流をすると伝える。緊急放流時には川の水位が高まるため、素早い避難が大事とした上で「自分の命は自分で守ってね!」と言って消える。数年後の大雨時、率先して避難するマサトらの姿で物語は終わる。

 同事務所の井尻博之所長は「ダムについて知ってもらうとともに、ダムさえあれば大丈夫という誤解を解いて避難意識の向上につながればうれしい」と話す。

 A5判、約20ページ。3千部を作成した。府ホームページからも閲覧できる。冊子の利用に関する問い合わせは同事務所0771(75)0143。