防災・減災を前面に 群馬県が県土整備プラン見直し

 昨年10月の台風19号豪雨の際には、東日本各地で甚大な水害が発生し、群馬県でも利根川の支流が氾濫するなどの被害がありました。折しも、八ッ場ダムが10月1日から試験湛水を始めたばかりであったことから、ほぼ空であったダム湖が一昼夜にして満々と水をたたえたことから、八ッ場ダムの治水効果が大きくアピールされることにもなりました。

 しかし、ダムの治水効果はダムから離れるほど減衰していきます。八ッ場ダムによる治水対策の主な対象は、関東平野部ですが、八ッ場ダムに最も近い群馬県の平野部においても、その効果はきわめて限定的です。
 このため、これまで八ッ場ダム事業に多額の負担金を投じてきた群馬県では、これまでの治水計画を見直し、堤防の嵩上げや強化、内水氾濫対策が前倒しで実施されることになりました。

◆2020年10月6日 上毛新聞
ー防災・減災を前面に 群馬県が県土整備プラン見直しー

 群馬県の社会資本整備の最上位計画「県土整備プラン」の見直しを進めていた県は5日、本年度から10カ年の新たな計画の素案を明らかにした。頻発、激甚化する気象災害に対応するため、防災・減災対策を、現行プラン(2018~27年度)で軸に据えている道路網整備に代えて前面に押し出した。前半の5カ年では、利根川の堤防のかさ上げや避難行動の促進など、ハードとソフトの両面の対策に集中的に取り組む。

 県内にも甚大な被害をもたらした昨年10月の台風19号などに代表される気象災害の発生や、人口減少、情報技術の発展などを踏まえて現行プランを見直す。

 防災・減災は水害リスクを中心に対策を取る。最初の3カ年は、太田市の八瀬川や富岡市の鏑川など9河川で堤防をかさ上げし、伊勢崎市の広瀬川や太田市の石田川など17河川で堤防を強化する。台風19号で内水氾濫が起きた地域で対策計画も策定する。

 ソフト面では、水位計や河川監視カメラの増設を急ぎ、国土交通省の防災情報サイトで閲覧できるようにする。利便性を向上させ、住民が主体的に非難を判断できる情報を提供する。時系列に沿って避難行動を事前に決めておく「マイ・タイムライン」の普及も図る。本年度は浸水想定区域がある18市町村で取り組みを進める。

 利根川の玉村町から伊勢崎市にかけての区域は、5カ年で両岸の堤防をかさ上げする。台風19号では一時氾濫の恐れが生じるなど、対策が急務とされる。原稿プランで28年度以降としていた完成年度を24年度に前倒しする。

 水害だけでなく、土砂災害リスクを軽減させるインフラ整備や、避難行動の促進策なども継続する。

 一方、現行プランで「七つの交通軸」に位置付けている幹線道路は整備を継続するものの、上信自動車道は東吾妻町のバイパス3工区が2年、西毛広域幹線道路は高崎、安中、富岡3市の4工区が1~3年、それぞれ工期が延びる。西毛広域幹線道路の全線開通は2年ずれ込み29年となる。災害時にも機能する道路としての位置付けに変更はない。

 県建設企画課は「今まで以上に防災・減殺対策を加速させ、集中的、計画的に取り組む」とする。6日から意見募集(パブリックコメント)を行い、年末の策定、公表を目指している。