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球磨川治水に関する熊本県知事の意見聴取(相良村、山江村、球磨村)

 熊本県知事による、球磨川の治水に関する意見聴取は23日、相良村、山江村、球磨村で開催されました。
 相良村は国交省が球磨川の治水対策の切り札として推進しようとしている川辺川ダムの建設予定地、山江村は球磨川には面していないものの支流の氾濫によって大きな被害を受けた被災地、球磨村は渡地区の特養ホームで14人の死者が出るなど、球磨川水害における最大の被災地の一つです。

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◆2020年10月24日 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20201024/ddl/k43/040/234000c
ー九州豪雨 「ダムより川掘削」 相良村住民が意見 熊本知事聴取ー

 7月の九州豪雨で氾濫した球磨川の治水対策について、熊本県の蒲島郁夫知事が流域住民から意見を聴く会が23日、相良、球磨、山江各村で開かれた。

 豪雨後に蒲島知事が「選択肢の一つ」との考えを示した川辺川ダムの建設予定地である相良村では、区長や漁業者ら22人が出席。住民からは「ダム論議の前に、河道掘削や堤防のかさ上げをお願いしたい」といった声が出た他、漁師の男性は「ダムは反対。川が死ぬ時は漁師が死ぬ時だ」と訴えた。

 球磨村の会場では「ダムがあるかないかの議論が先行しているのは疑問。住民の意見を丁寧にくみ取って」といった意見や、住宅・学校の高台移転などを求める声が出た。【城島勇人】

◆2020年10月24日 熊本日日新聞
https://kumanichi.com/feature/kawabegawa/1653347/
ー「ダムより河床掘削を」 球磨川治水、相良村などで意見聴取会 高台移転など要望もー

 7月豪雨で氾濫[はんらん]した球磨川の治水対策などについて、熊本県の蒲島郁夫知事は23日、被害が出た相良、球磨、山江の3村で、住民らに意見を聴いた。
 川辺川ダムの建設予定地を抱える相良村では、ダム建設より河床掘削など早期に実施できる治水対策を求める声が相次いだ。
 相良村では村総合体育館を会場に区長ら22人が参加。水産業の生駒浩一さん(58)は「ダムは反対。アユの成育に大きな悪影響を与える」と述べた。製茶業の渡邊和夫さん(74)は「今すぐできる治水対策をするべきだが、ダムを検討するのであれば、穴あきダムはどうか」と提案した。川辺川ダム建設の是非に言及する参加者は半数に満たず、「川底の土砂を撤去して」などの意
見が多数出た。
 22日に続き開かれた球磨村でも、「球磨川の川底が高くなっている」として、早急に河床掘削を実施するよう求める声が相次いだ。
 村総合運動公園であった会合には、区長やPTA関係者ら16人が参加。ダム建設について「川の恩恵を受けられなくなる」「建設しても球磨川があふれない保証はない」と複数の参加者が反対。
 一方、入所者14人が亡くなった特別養護老人ホーム「千寿園」を引き合いに、「二度と悲惨な思いはしたくない」とダムに賛成する意見や「宅地の高台移転など生活再建を優先してほしい」との要望も出た。
 流域12市町村の中で唯一、球磨川、川辺川とも接していない山江村では、村農村環境改善センターで区長や民生委員ら17人に意見を聴いた。農業の松本佳久さん(70)は「球磨川の支流も氾濫し、大きな被害が出ている。支流の防災対策も進めてほしい」と訴えた。
 終了後、蒲島知事は「住民の球磨川への誇りと愛着の強さを感じた」と述べた。(小山智史、高宗亮輔、吉田紳一)

◆2020年10月24日 西日本新聞
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/657448/
ーダムでの治水態度保留 熊本・相良村長「民意は千差万別」ー

 7月豪雨で氾濫した熊本県南部の球磨川流域の治水策を巡り、蒲島郁夫知事は23日、相良村で意見聴取会を開いた。村は、12年前に蒲島氏が「白紙撤回」した川辺川ダムの建設予定地。かつて「脱ダム」の先陣を切った村には強硬な反対論もあるが、吉松啓一村長は「民意は千差万別」として態度表明を保留している。
 約20人が集まった村役場横の体育館。「ダムができれば地域は死ぬ」と強く訴える漁業関係者はいたが、多数を占めたのはダムの是非論ではなく「河道掘削と堤防のかさ上げ」だった。
 聴取会後、吉松村長は「実現が何年も先のダムより、村民は緊急性が高い対策に関心がある」と説明。その上で「あえてダムに触れない村民も多い」と言う。
 村は12年前、川辺川ダム建設推進で「一枚岩」だったはずの流域12市町村で最初に「反旗」を掲げた。この後、ダム治水の最大の受益地とされる人吉市も反対を表明し、蒲島氏の「白紙撤回」につながった。
 村は長年、国や県にダム以外の治水策として河道掘削と堤防のかさ上げを要望。遅々として進まなかったが、蒲島氏はこの日「河道の掘削は、みなさんの希望に添ってちゅうちょなくやる」とあっさり明言した。
 3月の村長選でダムに反対した前村長を僅差で破り、脱退していた「川辺川ダム建設促進協議会」に復帰した吉松村長。蒲島氏の発言について、「村長のダムへの姿勢が影響しているのか」との質問には答えず、こう強調した。「私は中道を保つ。国、県と条件闘争はしても対立はしない。治水策は知事の判断を待つ」(古川努)

ー球磨村などで知事意見聴取会 高台移転訴え次々ー

  7月豪雨で氾濫した球磨川流域の治水策を巡り、蒲島郁夫知事が15日から続けている被災地住民や団体の意見聴取会。23日に開かれた球磨村渡地区の被災者との会合では、住民から住宅地の高台移転を要望する声が多く上がった。

 「この地域は球磨川の岩盤が固く、川幅を広げるのも川底を掘り下げるのも難しい。地区を危険区域に指定し、集団移転を促す必要がある」。球磨川沿いで壊滅的な被害を受けた茶屋集落の舟戸治生・村議会副議長はこう強調した。集落は28戸中25戸が被災。近くの特別養護老人ホーム「千寿園」で入所者14人が亡くなったことにも触れ「もうこんな悲しい経験はしたくない」と訴えた。

 会合には区長やラフティング事業者など16人が参加。約290戸が浸水した村は平地が少なく「山を切り開いて住宅や福祉施設、学校を整備するしかない」「仮設住宅は完成したが2年後どこに住めばいいのか。安心して家族と暮らせる代替地を高台に確保してほしい」などと、高台移転を求める意見が相次いだ。

 一方、山江村で同日あった会合では、県管理の球磨川支流や山林の整備など、球磨川本流や川辺川ダム以外の治水対策を求める声も。平瀬憲一郎区長会長は「植樹など山の保水力を高める取り組みを進め、林業活性化にもつなげてほしい」と要望。農業松本佳久さん(70)は「村を流れる球磨川支流でも大災害が起きた。支流の防災対策を強く進めてもらいたい」と訴えた。 (中村太郎)

◆2020年10月23日 NHK熊本放送局
https://www.nhk.or.jp/lnews/kumamoto/20201023/5000010366.html
ー治水対策で知事が住民の意見聞くー

 7月の豪雨で氾濫した球磨川の治水対策について、蒲島知事が流域の住民などから意見を聞く会が、22日球磨村などで開かれ、ダムの建設の是非をめぐってさまざまな意見が出されました。

 熊本県の蒲島知事は、球磨川で行う治水対策の検討材料にするため、流域の住民などから直接、意見を聞く会を順次開いていて、22日は球磨村などで開かれました。

 このうち球磨村神瀬地区での会合には住民ら11人が参加し、はじめに全員で犠牲者に黙とうを捧げました。
 会合では県が支流の川辺川でのダム建設を選択肢の1つとしていることについて、「ダムがあれば浸水しなかった家もあったのではないか」とか、「早く安心して住めるようにしてほしい」といった声が聞かれました。

 一方、球磨村役場で開かれた会合では、別の住民たちから「豪雨の被害の検証が拙速で不十分だ。鮎のいる球磨川を残してほしい」など、環境への影響を念頭にダム建設に慎重な意見も出されました。

 会合を終えた蒲島知事は「ダムについてさまざまな意見が出た。民意も変わるが、自分の判断も日々変わるので、最終的には全体を捉えて判断したい」と話していました。
 蒲島知事は今後、観光団体や流域の市町村長などからも意見を聞いたうえで、年内の早い時期に県としての方向性を示すとしています。

◆2020年10月23日 人吉新聞
https://hitoyoshi-sharepla.com/entrance_news.php?news=3987
ー安心して住める環境を 治水対策、検証で要望ー

 7月の豪雨で氾濫した球磨川流域の治水対策を巡り、蒲島郁夫県知事は22日、人吉球磨地域で甚大な被害を受けた球磨村の住民から復旧・復興へ向けた意見や提案を聴いた。
 午後1時半から同村役場3階小会議室、同3時半から神瀬地区多目的集会施設の2会場で「住民の皆様の御意見・御提案をお聴きする会」と題した聴取会を開催。各地区の村議や区長、教育委員、PTA会長、森林組合長、消防関係者、住民など計22人が出席した。
 蒲島知事は「球磨川流域の変わり果てた姿を目の当たりにし、地域の安全、安心を守り抜くことと、球磨川の恵みを共有しながら将来にわたって持続可能な地域の災害を減らすことが私の使命であると受け止めている。そのためには、早急に球磨川流域の治水の方向性を導き出し、一日も早い復旧・復興につなげていく必要がある。皆さま方の今後の復旧・復興に対する考えや治水の方向
性に対するご意見を伺いたい」とあいさつ。
 その後、出席者から意見や要望を聴いた。
 一勝地地区の村議からは「現況に戻す以上にこれまで進めてきた治水対策を抜本的に見直し、今後住みたい村という村づくりの中で新しいコミュニティーが生まれるような創造豊かな村を構築するために力添えが必要。また、支流で暮らす人たちの生活が困窮しているので対策を」。区長からは「雨が降るたびに大変不安な思いをしている。今の状況では安心して暮らせる状況下にい」。
教育委員は「子どもたちの心のケアがかなり必要。メンタル面でのケアをお願いしたい。治水対策は川辺川ダムだけに頼るのではなく、遊水地や河床掘削なども必要。まずは住民の方たちが安心して住めるよう、高台に代替地を一日も早く各地区につくってほしい」と要望。
 また、住民から治水対策について「球磨川豪雨検証委員会の災害検証は拙速で不十分。検証結果はほとんどが河川管理者である国土交通省が作成した。出されたデータを分析した方とは別の専門家たちの第三者の分析も必要。支流ごと被災地域によって災害原因も異なる。山の荒廃や無計画な植林による流木被害にはあまりふれられていない。検証が拙速であればあるほど復興計画もそれ
なりのものしかできない」と述べた。
 その他、被災した道路や橋梁、農地の早期復旧を望む意見や要望が出された。

「二度と起きないよう」
 神瀬地域の住民でつくる「こうのせ再生委員会」の住民からは「ダムによる治水、ダムによらない治水の論議の前に、まず住む所を考えていただきたい」「今回の災害は球磨川本流だけで起きたものではない。支流の山腹崩壊、土石流の検証を」と、集落ごとの被災状況を踏まえて要望書を提出した。
 議員からは「多くの意見を聴き、地域や地形など広い視野を持った取り組み、対応を」「宅地の嵩上げをお願いしたい。ダムがあってもなくても二度とこのような被害が起きないように対策を」。
 区長らは「球磨川の支流や瀬戸石ダムの検証を」「住民アンケートで9割が村に戻りたいと答えている。ダムで全ての被害を防ぐことはできないが、安全性を高めるためにできることは全てやってほしい」「災害に強い国道整備をしてほしい」。
 各種団体や住民からは「支流はいまだ置き去りになっている地域がある」「荒瀬ダム撤去の検証があれば参考になるのでは」「今回の豪雨では指定緊急避難所の神瀬地区多目的集会施設が浸水した。指定緊急避難所や防災広場の見直しと避難経路の確保を復興計画に取り入れてほしい」などと意見や要望が相次いだ。
 蒲島知事は実際に被災した施設、地域を見て、「かなり土砂は撤去されているが、多くがまだそのままの状態で胸が痛んだ。球磨村はアンケートで90%が帰ってきたいと言っている。早く帰れるように村と一緒に頑張りたい」。
 支流の災害の検証を望む声が多かったことについては「球磨川支流の問題と今回の豪雨災害を踏まえて研究しなければならない」とし、「さまざまな意見を丁寧に受け止めたい」と話していた。

◆2020年10月24日 人吉新聞
https://hitoyoshi-sharepla.com/entrance_news.php?news=3988
ー河床掘削など早期に 堤防嵩上げも要望ー

 蒲島郁夫県知事が7月豪雨で被災した川辺川および球磨川流域の住民から意見、提案を聴く場は23日、相良村、山江村、球磨村でそれぞれ開かれ、川底に堆積した土砂の撤去や堤防の嵩上げといった対策の早期実施を求める声が相次いだ。

●「ダム議論より…」
 相良村での会合には、区長会や農業委員会、消防団、仮設住宅入居者、水産業などの代表者ら22人が出席。仮に川辺川ダムが存在した場合、今回の豪雨による村の浸水は解消されたとの調査結果も示されたが、多くの出席者は「昔に比べて川が浅く、少しの雨でも氾濫しかねない」「ダム議論よりも前に生活の安定のために堤防の嵩上げと川底の掘削をしてほしい」と要望した。
 アユの養殖を営む生駒浩一さんは「ダム建設には反対。流水式ダムが自然に優しいとは思えない。水害は起きたが守るべき宝に変わりはない」、川辺川の恵みを受けて生計を立てている田副雄一さんも「清流・川辺川がなくなるとき、私たち川漁師と人吉球磨が死ぬとき」と訴えた。
 その他にも「川底に土砂がたまって泳ぐこともできない状況。ダムよりも川辺川の復旧が先」「子どもたちに引き継ぐためにもダムは造ってほしくない」という意見が出された。

●「山の公的管理を」
 山江村では、区長や民生委員、PTA連絡協議会、消防団ら19人が参加。
 球磨川や川辺川に面しておらず、球磨川支流の特に万江川に対し、公的な山の手入れ、河床掘削等を要望する声が上がった。
 区長会の平瀬憲一郎会長らは「山が荒れ、大量の土砂、大木が流入した。個人で管理できない山は公的に守れないか」「河川にたまった大量の土砂を撤去してほしい」。

 山田盛輝団長ら消防団幹部は「高速道路を活用した救助、支援ができる体制強化を」「川にライブカメラを設置し、ケーブルテレビで中継を」「消防資機材の充実」「復興支援班の設立を」。元村議の松本佳久さんは「山田川、万江川の支流の治水対策、被災した農地の復旧」などを求めた。

●「まずは生活再建」
 球磨村では、村議会議員、商工会長、PTA、消防団、区長会、被災住民や村内事業所に勤める人など16人が出席。
 昭和40年、同57年の水害を経験した出席者は、日ごろから避難に対する意識や備えがあったとする一方で「茶屋地区では28戸のうち25戸が被災し14戸は流された。浸水域を遊水地と考えた場合、これだけの面積をもってしても防げないということ。危険地域の指定や集団移転を促すのも必要」「渡地域では球磨川より内水の氾濫が先だった。ダムの議論ばかり先行するのに疑問を感じる。瀬戸石ダムの影響や山腹崩壊、環境など、いろいろな方向から検討し総合的に判断してほしい」と求めた。
 住民からは「まずは被災者の生活再建と道路、橋梁の復旧、インフラ整備を」といった要望、ラフティング業者からは「川底に土砂がたまっており、河床の掘削を。弱った堤防にまず着手してほしい」。その他、「50年に1回を想定したダムより365日を過ごせる場所を検討してほしい」との声もあった。
 3会場を終え、蒲島知事は「回を重ねるごとにさまざまな意見があり、場所によっても違うことを実感している。球磨村では道路や仮橋を望む声が多く、川底の形の変化、ダムの緊急放流が怖いといった意見、相良村では日本一の清流に対する誇り、球磨川と川辺川に接していない山江村は支川対策をより強調されていたと思う」と話していた。

◆2020年10月23日 テレビ熊本
https://www.tku.co.jp/news/20201023%EF%BD%854/
ー相良村などで住民の意見を聴く会ー

 球磨川の治水について蒲島知事が住民に直接意見を聴く会が23日、相良村などで行われました。相良村は、川辺川の上流で、焦点となっている川辺川ダムの建設予定地がある場所です。県は、川辺川ダムが建設されていたら相良村永江地区で2メートル程度水位が低下し川辺川流域で浸水被害は起きなかった、とする検証結果を説明。
 これに対して住民側からは「平素は通常通り流して大雨の時だけ流量調整する治水だけに特化したダムを(建設してほしい)」「清流・川辺川なくなるときは川漁師が死ぬとき、人吉・球磨が死ぬとき」などダム建設に賛成、反対双方の意見が出されましたが、ダムの賛否に言及しなかった人たちからも「愛着ある清流・川辺川の水質を守ってほしい」といった声が多く上がりました。
 山江村と球磨村でも開かれ、川辺川ダム建設については「ダムによらない治水対策を最大限やるべきだ」や「ダムを含めた治水対策を行うべきだ」といった賛否の声が上がる一方、「まず生活再建やインフラ整備を最優先にしてほしい」などの意見も出されました。

◆2020年10月23日 熊本朝日放送
https://www.kab.co.jp/news/
ー球磨川治水 ダム建設予定地の相良村民はー

 球磨川の治水について住民の意見を聞く会、23日は川辺川ダムの建設予定地だった相良村で開かれました。住民の意見は分かれています。各区長や川漁師仮設住宅の入居者代表など22人が参加しました。ダム建設予定地だった相良村は2008年に当時の徳田正臣村長が自然環境への悪影響などを理由にダム建設は容認できないとの立場を表明し蒲島知事のダム計画白紙撤回にも影響を与えました。相良村は豪雨で178戸の住宅が被害を受けています。将来の被害を少しでも減らすためダムが必要との意見も出た一方で清流を残したいとダムに反対する意見もありました。
 また多くの参加者からダム問題の前に川底にたまった土砂を撤去してほしいなど近い将来への対策を求める声もあがりました。清流を残したいけど同じような被害は避けたい。ダム問題への言及をあえて避ける住民も多く問題の複雑さを感じる会となりました。