熊本・川辺川ダム、流水型建設 国交相了承

 川辺川ダムは2009年に民意を受けて中止の決定がなされ、国土交通省と熊本県は「ダムによらない治水」を追求する方針を決めましたが、この11年、球磨川の治水対策は一向に進まず、今年7月の大水害となりました。
 今月19日に熊本県の蒲島郁夫知事は川辺川ダムの中止方針を撤回し、流水型ダムの建設を国に求めると表明。翌20日にさっそく赤羽一嘉国交大臣に直接要請したところ、赤羽大臣はただちに要請を了承し、「しっかりとスピード感を持って検討に入る」と述べたと報道されています。
 水害発生後4カ月にして、巨大ダム計画復活へ道筋をつけた手際の良さに、熊本県と国交省は水害発生後の早い時点で川辺川ダムを復活させることを決めていたのだろうと考えざるを得ません。しかし、ダム建設が決まっても、完成させるには10年以上かかると言われています。たとえダムが完成しても、ダムの治水には限界があり、今回の水害犠牲者の中で救えたかもしれない命は一部にすぎません。球磨川流域の防災対策は何も進んでいません。

 関連記事を転載します。

◆2020年11月20日 毎日新聞
https://news.yahoo.co.jp/articles/d7adee578f6a35bfe37df73cf13b48a003344ada
ー川辺川に「流水型ダム」建設へ 国交相「検討に入る」 熊本県知事から要請受けー

 熊本県の蒲島郁夫知事は20日、7月の九州豪雨で氾濫した球磨川の治水対策として、支流の川辺川に「流水型ダム」を建設するよう赤羽一嘉国土交通相に要請した。赤羽氏は「しっかりとスピード感を持って検討に入る」と述べ、要請を了承。2008年に蒲島知事が「白紙撤回」し、翌年、旧民主党政権により中止が決まったダムが流水型で建設されることが確実になった。

 県内だけで65人が亡くなった7月の豪雨を受け、蒲島知事は19日、川辺川でのダム建設容認を表明。貯水型の現行ダム計画を廃止し、環境への影響が貯水型より小さいとされる流水型での建設を国に求める考えを示していた。

 20日に国交省を訪れた蒲島知事は「命と環境の両方が大事だという民意を踏まえ、流水型ダムをお願いしたい」と求め、現行計画の廃止と流水型ダムの環境影響評価(アセスメント)の実施も要請した。これに対し、赤羽氏は「国として全面的にしっかりと受け止めたい。法に基づくアセスメントも考えたい」と応じ、「地元の皆さんの声が反映できるよう流域治水対策に取り組む」と答えた。

 会談後の取材に蒲島知事は「100%の回答をもらった。国と合意形成ができてうれしく思う」と語った。国などは今後、特定多目的ダム法に基づく現行計画を廃止したうえで、河川法に基づき流水型での計画を新たに策定する見込みだ。知事は取材に「川辺川ダム」の名称変更を希望する考えも示した。多目的ダムだった現行計画と、治水専用で環境に配慮した流水型ダムとの違いを明確にする意図とみられる。

 ダム予定地では用地取得や水没予定地の移転がほぼ終わっている。ただ、国交省は08年の時点で着工から完成まで貯水型で10年、流水型で9年かかると試算。計画変更や環境アセスなどの手続きも含めると、今後、完成まで10年以上かかる可能性が高い。

 一方、川辺川にダムが建設された場合に被害軽減効果が大きいとされる人吉市の松岡隼人(はやと)市長は20日、市議会全員協議会で「流水型ダムを中心とした抜本的治水対策を推進していく」と述べ、知事の方針を支持する考えを表明した。豪雨後、流域の市町村長が相次ぎダム建設を求める中、松岡市長は賛否を明らかにしていなかった。蒲島知事の白紙撤回理由には、当時の人吉市長らの反対があった。【城島勇人、山本佳孝、清水晃平】

◆2020年11月21日 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20201121/ddm/041/040/048000c?pid=14606
ー熊本・川辺川ダム、流水型建設 国交相了承ー

 熊本県の蒲島郁夫知事は20日、7月の九州豪雨で氾濫した球磨川の治水対策として、支流の川辺川に「流水型ダム」を建設するよう赤羽一嘉国土交通相に要請した。赤羽氏は「しっかりとスピード感を持って検討に入る」と述べ、要請を了承。2008年に蒲島知事が「白紙撤回」し、翌年、旧民主党政権により中止が決まったダムが流水型で建設されることが確実になった。

 20日に国交省を訪れた蒲島知事は「命と環境の両方が大事だという民意を踏まえ、流水型ダムをお願いしたい」と求め、現行計画の廃止と流水型ダムの環境影響評価(アセスメント)の実施も要請した。これに対し、赤羽氏は「国として全面的にしっかりと受け止めたい。法に基づくアセスメントも考えたい」と応じ、「地元の皆さんの声が反映できるよう流域治水対策に取り組む」と答えた。【城島勇人】

◆2020年11月21日 熊本日日新聞
https://news.yahoo.co.jp/articles/161921998d8ae8b274ee1b9db281b1573862d3d8
ー川辺川に流水型ダム、国と合意 蒲島知事、赤羽国交相と会談ー

 赤羽一嘉国土交通相は20日、7月豪雨で氾濫した球磨川の治水対策に関し、蒲島郁夫・熊本県知事と国交省で会談し、支流の川辺川に新たに流水型(穴あき)ダム建設を求めた知事の要請について「スピード感を持って検討に入る」と表明した。2009年に当時の民主党政権が現行計画の中止を決めた大型公共事業が再開する。

 赤羽氏は、知事が求めた流水型ダムの建設に伴う環境影響評価(アセスメント)の実施についても「全面的にその方向で考えたい」と回答。ダム整備の方向性や進捗[しんちょく]を流域市町村、住民と確認する仕組みも構築すると述べた。

 国交省や県は、特定多目的ダム法に基づく貯留型による現行の川辺川ダム計画を廃止し、河川法に基づく流水型の計画を新たに策定することを想定している。同省は流水型ダムを柱としてハード、ソフト両面の対策を総動員した球磨川の治水対策の具体像について、本年度中に県や流域市町村とまとめる「流域治水プロジェクト」に反映させる。

 蒲島知事はこの日の会談後、「方向性についてしっかりと(国と)合意形成できた。時間的な緊迫性も共有できたと思う」と強調。「(ダムの)名前を募集するのも良い」と述べ、川辺川ダムからの名称変更も示唆した。

 一方、県は20日、蒲島知事が23日に水没予定地を抱える五木村を訪問すると発表した。木下丈二村長にダム容認に至った経緯と、県が10億円を投じ創設した村の振興基金の増額を含めた地域振興への取り組みを説明する。

 川辺川ダム計画については、蒲島知事が2008年に流域首長らの反対意見を踏まえて「白紙撤回」した。球磨川流域で50人の犠牲者が出た7月豪雨を受け、球磨川の治水対策を検討してきた知事は19日、「命と環境の両立が現在の民意」として川辺川に流水型ダムの建設を求める考えを県議会で表明。それまでの「ダムによらない治水」から方針転換した。(嶋田昇平、野方信助)

◆2020年11月21日 読売新聞社会面
https://www.yomiuri.co.jp/national/20201120-OYT1T50308/
ー川辺川ダム建設、環境アセス実施へ…熊本知事要請に国交相「スピード感持って検討」ー

 7月の九州豪雨で氾濫した熊本県・球磨川の治水対策について、赤羽国土交通相は20日、球磨川最大の支流・川辺川での流水型ダム(穴あきダム)の建設に向けた検討に入ることを明らかにした。国交省内で会談した同県の蒲島郁夫知事からの建設要請に応じた。蒲島知事が求めた環境影響評価(環境アセスメント)を実施する方針も示した。

 流水型ダムは堤体の下部に穴が開き、大雨時だけ水をためる。平時は水を流すため、環境への負荷が小さいとされる。蒲島知事は19日、流水型ダム建設を国に求めると表明していた。

 蒲島知事が会談で「球磨川流域の命と環境を守るため、流水型ダムを造っていただきたい」と要請したのに対し、赤羽国交相は「しっかりとスピード感を持って検討に入りたい」と応じた。環境影響評価を実施するほか、河道掘削や堤防強化などに取り組む考えも示した。蒲島知事は会談後、「大臣と合意形成ができた」と述べた。

 旧建設省は1966年、川辺川ダム計画を発表。蒲島知事が2008年に計画の白紙撤回を表明し、「コンクリートから人へ」を掲げた民主党政権が翌年、建設を中止した。

 九州豪雨では、球磨川流域の4市町村で60人が犠牲になった。うち50人は球磨川とその支流の氾濫により亡くなったとみられる。