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熊本県、「令和2年7月豪雨からの復旧・復興プラン」発表

 熊本県がさる11月24日に、「令和2年7月豪雨からの復旧・復興プラン」を発表しました。
 プランの内容は、熊本県公式サイトの下記のURLで見ることができます。
 https://www.pref.kumamoto.jp/common/UploadFileOutput.ashx?c_id=3&id=37648&sub_id=1&flid=259115
下画像=上記の「復旧・復興プラン」の最終ページにある、「プランの目指す姿(将来ビジョン)

熊本復興プランのサムネイル★令和2年7月豪雨からの復旧・復興プラン【参考資料】https://www.pref.kumamoto.jp/common/UploadFileOutput.ashx?c_id=3&id=37648&sub_id=1&flid=259116
(右画像をクリックすると、復旧・復興プランのうち、「3 新たな治水の方向性を踏まえた治水・防災対策及び被災者・被災地域の1日も早い復旧・復興に向けた取組み」について、具体的な内容を整理した参考資料が表示されます。

 復旧・復興プランを見ると、蒲島知事が開催した「くまもと復旧・復興有識者会議」の提言(10月26日、五百旗頭真座長)で使われていた「グリーンニューディ―ル」を基本理念とし、抽象的な文言が並んでいた有識者会議の提言に川辺川ダムを流水型ダムとして復活させる案を軸とした治水対策を織り込んだ計画であることがわかります。

 7月の球磨川水害を巡る動きは、トントン拍子で進められてきました。
 8月と9月に一回ずつ、国土交通省と熊本県による検証委員会が開かれましたが、水害の検証とは名ばかりの川辺川ダムの治水効果の報告が行われました。熊本県知事は10月15日から11月13日まで13市町村の住民や団体・企業の意見を聴取し、専門家の意見も聴き、今月19日、川辺川ダム「容認」を表明、そして24日には復旧・復興プランの発表と、行政のスケジュールがまるであらかじめ決められていたように進んでいきます。

 関連記事をまとめました。

◆2020年11月25日 熊本日日新聞
https://news.yahoo.co.jp/articles/94d5ac1f479835fd8a38a23be4a4a6fcf49d8f82
ー住民の安全、環境保全を両立 熊本県、県南地域の復旧・復興プラン発表ー

 熊本県は24日、7月豪雨で甚大な被害を受けた県南地域の復旧・復興プランを発表した。住民の安全確保と環境保全を基本理念に、新たな流水型ダムの推進を軸とした「緑の流域治水」を掲げた。短期的に取り組む事業に宅地の高台移転促進を盛り込むほか、産業創出を将来ビジョンで示すなど持続可能な地域の実現を目標としている。

 対象地域は、球磨川流域12市町村と津奈木町で、5年以内の事業完了・着手を目指す取り組みと、10年以内の将来ビジョンに分けて示した。

 5年以内の取り組みでは、河床掘削など緊急治水対策や、災害情報無線の戸別受信機の設置、要配慮利用施設での避難確保計画の100%作成など地域防災力の強化を盛り込んだ。

 安全な住まいの確保では、宅地のかさ上げや高台移転を促進、住居部分を3階以上に設定した中層型の公営住宅整備など、今後の水害の発生に対応した対策を強化した。球磨村の特別養護老人ホーム「千寿園」で14人が犠牲になったことを受け、介護施設でのエレベーター導入も支援する。

 当面の被災者の住まい再建支援では、高齢者世帯の利用を想定した住宅ローンへの利子助成を入れた。なりわい再建支援補助金による事業再建や、国道219号をはじめとする県南地域道路の全面通行止めの解消、JR肥薩線やくま川鉄道の早期復旧にも取り組む。

 将来ビジョンでは球磨川流域大学構想を提示。球磨焼酎といった地域課題ごとの研究室を遊休施設などに設け、知の拠点化を進める。ほかに、木質バイオマス発電をはじめとした再生可能エネルギーの導入推進や生産性向上に向けた農地の大区画化などもプランに入れた。

 県は、5年以内に取り組む対策を中心に各事業の具体的な工程表を本年度内に示す方針。記者会見した蒲島郁夫知事は「喫緊の取り組みを迅速に進めながら、住民や市町村と将来ビジョンを共有し、持続可能な地域の実現につなげたい」と語った。

 7月豪雨では65人が死亡、2人が行方不明となった。住宅の全壊は1476棟に上り、県は被害総額を5330億円(24日時点)と見積もっている。(内田裕之)

◆2020年11月25日 朝日新聞
https://news.yahoo.co.jp/articles/a7f4808d8e4c807c3dc4d5b2d344564468466bc3
ー熊本豪雨復興へ県がプラン発表 流水型ダム推進を明記ー

 熊本県は24日、7月の記録的豪雨で甚大な被害が出た球磨(くま)川流域市町村の「復旧・復興プラン」を発表した。蒲島郁夫知事が治水方針を転換し、国に求めている「流水型」ダム建設などの治水対策を挙げたほか、一部不通が続くJR肥薩線などの交通インフラの早期復旧を掲げた。

 この日は、5年以内に完了・着手する取り組みと、5~10年後を見据えた取り組み(将来ビジョン)を提示。一方で、具体的な工程表は示さなかった。

 プランは「生命・財産を守り安全・安心を確保」「球磨川流域の豊かな恵みを享受」を基本理念に据えた。「愛する地域で誰もが安全・安心に住み続けられ、若者が残り、集う持続可能な地域の実現」を目指す。治水対策を土台に、住まいの確保やなりわい創出、災害に強い社会インフラ整備、地域の魅力づくりに取り組むとしている。

 治水対策では、「住民の命と清流をともに守る」手立てとして「新たな流水型のダム」の推進を明記。緊急対策として球磨川支流を含む河道掘削や堤防整備などを盛り込んだ。雨水を一時的に水田にためて河川への流入量を抑える「田んぼダム」も農家の協力を得て実験し、普及をめざす。

 住まいの確保のため、かさ上げによる宅地の再生を支援。土石流で堆積(たいせき)した土砂の活用も検討するという。住民の意向を踏まえ、高台への集団移転も支援する。浸水で14人が犠牲になった球磨村の特別養護老人ホーム「千寿園」の被害を念頭に、介護施設などで垂直避難用エレベーターやスロープ、避難スペースの設置なども進める。

◆2020年11月25日 西日本新聞
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/667259/
ー熊本知事「持続可能な地域実現に…」球磨川復興プラン発表ー

 熊本県は24日、7月の熊本豪雨で被災した球磨川流域の総合的な「復旧・復興プラン」を発表した。治水力の強化で安心して住み続けられる地域の実現、産業の再生と創出を図る。記者会見した蒲島郁夫知事は「住民や市町村と共有し、持続可能な地域の実現につなげたい」と述べた。

 治水面では流水型ダム(穴あきダム)を中心に、洪水時に一時的に水をためることで被害を軽減する「田んぼダム」などを組み合わせる考え。まずは来年の梅雨期に向けて、河川に堆積した土砂の撤去や堤防整備を速やかに実施する。

 被災した農地や水路の復旧を支援するほか、仮設商店街を開く際には経費の一部をサポート。介護施設などに避難用エレベーターを確保するための改修も後押しする。プランには、治水の先端的な研究を行う球磨川流域大学構想など「夢がある内容」(蒲島氏)も盛り込まれた。 (古川努)

◆2020年11月25日 毎日新聞熊本版
https://mainichi.jp/articles/20201125/ddl/k43/040/256000c
ー九州豪雨 熊本県、復旧・復興プラン公表 年度内に具体策など協議ー

 熊本県は24日、7月の豪雨被害からの「復旧・復興プラン」を公表した。球磨川の治水対策は支流の川辺川に洪水時だけ貯水する「流水型」ダムを整備し、河川改修を組み合わせ流域全体で計画的に進めるとした。宅地かさ上げや高台移転も盛り込んだ。国や自治体と協議し2020年度末までに具体策や工程表をまとめる方針。

 治水対策は遊水地として水田も活用し「緑の流域治水」を進めるとしている。逃げ遅れや孤立集落が目立ったことから、早期避難を呼びかける戸別受信機の配備や通信回線の多重化などソフト対策も盛り込んだ。

 宅地のかさ上げや高台移転は「5年以内の着手・完了」を予定。浸水した高齢者施設で14人が犠牲になったことから介護施設のエレベーター設置を支援し、中高層の災害公営住宅も整備する。球磨川沿い道路のかさ上げも進める。最先端の情報技術を活用し高齢者の見守りや防災情報の共有をする「スマートビレッジ」の実現や、球磨川を生かした観光・産業振興も目指す。

 蒲島郁夫知事は記者会見で「未曽有の災害で危機的な状況にある被災地の復旧復興の喫緊の取り組みと将来ビジョンを描いた。皆さんの期待以上の速さで進めたい」と話した。【城島勇人】