霞ケ浦導水事業、事業費1900億円から2395億円へ、工期2023年度から2030年度へ

 11月19日の国土交通省関東地方整備局の事業評価監視委員会において、霞ヶ浦導水事業の再評価が議題になり、工期の大幅延長と事業費の大幅増額が妥当とされ、計画変更が妥当と認められました。

★国土交通省関東地方整備局ホームページ>社会資本整備>関東地方整備局における公共事業の評価>事業評価監視委員会開催結果>令和2年度 第4回 配布資料一覧【PDF】
 https://www.ktr.mlit.go.jp/shihon/shihon00000036.html

霞ヶ浦導水事業の再評価は以下の二つの資料です。

 〇資料2-➀ https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000790058.pdf
 〇資料2-② https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000790059.pdf

 資料2-➀の14ページ(下の画像)を見ると、事業費が1900億円から2395億円へと495億円増額され、工期が2023年度から2030年度へと、7年延長されたことがわかります。

 霞ヶ浦導水事業は茨城県を流れる那珂川と霞ケ浦を結ぶ導水路、霞ケ浦と利根川を結ぶ導水路を建設する事業で、首都圏の水源開発と、霞ケ浦の浄化等を目的にしています。
 しかし、この事業によって那珂川の漁業が大きな打撃を受けるため、那珂川の漁協が裁判で、事業の中止を求めてきました。2018年4月末に東京高等裁判所で和解となり、事業継続となりましたが、和解の内容は漁業への影響がないようにすることが前提になっており、事業の先行きは不透明です。

霞ヶ浦導水事業の和解成立2018年4月のサムネイル 右の画像をクリックすると、嶋津暉之さん(水問題研究家、元東京都環境科学研究所研究員)が和解当時にまとめた報告「霞ケ浦導水裁判の和解成立」をお読みいただけます。

(右の資料より一部抜粋)
霞ケ浦導水事業について
〇 霞ヶ浦導水事業の仕組みと目的

 利根川と霞ケ浦、霞ヶ浦と那珂川を結ぶ導水路(地下トンネル)を建設し、導水路を使って水を行き来させることによって、次の三つの目的を担うことになっています。導水路のうち、利根川と霞ヶ浦を結ぶ利根導水路は 1994 年 3 月に完成しています。
① 茨城県・千葉県・東京都・埼玉県の都市用水を開発する。
② 渇水時に利根川、那珂川へ補給する。
③ 利根川、那珂川からの導水で霞ケ浦等の水質を改善する。

〇 目的の喪失
 しかし、導水事業の三つの目的は破綻しています。
 水道用水・工業用水の需要が減少の一途を辿っており、水あまりが一層顕著になっていく時代において①、②の必要性は失われています。
 ③の霞ケ浦の水質改善も国交省の机上の計算によるものに過ぎず、導水で霞ケ浦の水質が改善されることは期待できません。

〇 事業費と工期
 霞ヶ浦導水事業は 2016 年 3 月に事業計画の第 4 回変更が行われ、完成予定が 2023 年度末になりました。事業費は 1900 億円のままです。しかし、霞ヶ浦と那珂川を結ぶ那珂導水路の大半の工事が残されていますので、今後、工期が延長され、事業費が大幅に増額されることが予想されます。

★追記
 霞ヶ浦導水事業の関係都県は茨城県、千葉県・東京都・埼玉県です。
 国土交通省が事業の計画変更を行う場合は、関係都県の了承が必要です。国土交通省の事業評価監視委員会の資料2-➀の32ページには「関連自治体等の意見」という項目があり、茨城県と千葉県の意見が次のように掲載されています。資料資料2-②の63~66ページには、国土交通省の意見照会に対する茨城県知事と千葉県知事の回答文が掲載されています。

 しかし、東京都と埼玉県の意見は掲載されていません。
 このことについて国土交通省関東地方整備局に問い合わせたところ、河川部河川計画課の担当者から以下の説明がありました。

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 今回の手続きは再評価であって、事業計画変更の手続きも進めている。
 事業計画変更の手続きでは各都県の知事の意見を聞いている。
 再評価の方は、関東地方整備局が行うのは河川事業の分であって、上記の三つの目的のうち、②と③の分である。(②と③の関係自治体は茨城県と千葉県)
 ➀の分の再評価は各利水者の方で行ってきているので、関東地方整備局として意見照会を行わない。
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◆2020年11月27日 茨城新聞
https://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=16063880253779
 霞ヶ浦と那珂川、利根川を地下トンネルで結ぶ「霞ケ浦導水事業」について、国土交通省が、2023年度完成予定としていた工期を7年延長し、総事業費も495億円増の2395億円とする計画変更手続きに入ったことが26日、分かった。県は同日までに、コスト縮減と工期短縮に努めることを求めた上で、計画変更に同意した。県負担分はこれまでより187億円増え、1038億円となる見通し。

 1984年に建設事業に着手して以来、工期の延長は5回目、事業費の増額は2回目となる。トンネルエ事の進捗(しんちょく)は約4割にとどまるが、既に予算の約8割を消化していた。

 計画変更案によると、完成予定は2023年度から「30年度まで」に延びる。現行計画の事業費は1900億円で、県負担分は851億円だった。

 同省によると、事業費が増えた主な要因は、トンネル施工にかかる費用の見直し。強度を確保するためトンネル構造を変更したほか、詳細設計に基づく施工条件や、市場価格を前提とした単価設定などで必要額を算定した結果、費用が膨らんだ。

 また、他の事業で利用する計画だったトンネル掘削土砂の処理費用も追加。既存施設の保守点検や新たな水質調査費用なども影響したという。

 ほかに、都市用水を確保するため参画していた埼玉県と九十九里地域水道企業団(千葉県)が事業から撤退する。千葉県と印旛郡市広域市町村圈事務組合(同)は、最大取水量を減量する。本県と東京都の取水量に変更はない。

大井川和彦知事は、同省からの事業計画変更の意見照会に今月11日付で同意。同省は年内にも計画変更を正式決定する。

 霞ケ浦導水事業は、霞ケ浦と利根川、那珂川を総延長45・6キロの地下トンネルで結んで水を行き来させる事業。霞ヶ浦や千波湖の水質浄化▽那珂川・利根川の渇水対策▽本県や東京都、千葉県への水道用水、工業用水の供給を目的としている。

 民主党政権下の事業凍結や、那珂川流域の漁協が国を相手に建設差し止めを求めた訴訟の影響で、近年は本格的な工事はストップしていた。同省は本年度、那阿導水路のうち霞ヶ浦から取水する「高浜樋管」と、「石岡トンネル」の一部区間の工事の発注を予定している。

 同省関東地方整偏局は今月、有識者による事業評価監視委員会で計画変更案を説明。委員会は「事業継続が妥当」とする同省の方針を了承した。