八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

八ッ場生活再建事業 大柏木川原湯トンネル18日開通

 八ッ場ダムの事業費の大半は、「生活再建事業」と呼ばれる様々なメニューに投入されました。
 ダムが完成した今春以降も、周辺では様々な工事が続いてきましたが、今月18日に大柏木川原湯トンネルが開通するとのことです。
写真右=大柏木川原湯トンネル(川原湯地区の入口)。2020年5月1日撮影。

 大柏木トンネルは、川原湯地区の背後の金鶏山を貫く3000メートル余りのトンネルで、ダム本体工事に使う原石を金鶏山の背後の東吾妻町大柏木地区から運搬するためにつくられました。本体工事終了後は、一般道として利用できるようにするための工事が群馬県によって行われてきました。
 大柏木地区周辺は鉄道が通っていないため、トンネルが貫通すると高校生の通学等にJR川原湯温泉駅を利用しやすくなると言われてきました。

 大柏木川原湯トンネルは県道川原畑大戸線の一部区間です。トンネルの川原湯川の出口は、やはり八ッ場ダム事業で建設された県道林岩下線に接しており、この県道の橋を利用して対岸に渡ると、国道145号線と交差します。
右図=群馬県ホームページより「大柏木川原湯トンネル」

 群馬県のホームページに掲載されている事業説明によれば、これまで2時間かかっていた高崎駅から川原湯温泉駅へのアクセス時間が1時間半に短縮されるとのことですが、はたして利便性がどの程度、地域振興につながるでしょうか。
写真右=大柏木川原湯トンネル(大柏木地区の出口) 

 八ッ場ダム事業において群馬県が実施してきた事業では、トンネルの開通によって道路建設や砂防施設整備などが全て完了するとのことですが、他にダム直下の発電所の建設やダム湖畔の水没文化財保存センターの整備がまだ残されています。

◆2020年12月12日 上毛新聞
ー八ッ場生活再建事業 県道トンネル18日開通 大柏木川原湯 高崎とのアクセス短縮ー

 八ッ場ダム(長野原町)の生活再建事業で、県は11日、ダム周辺と高崎方面を結ぶ県道川原畑大戸線の大柏木川原湯トンネル(同町川原湯ー東吾妻町大柏木、全長3005㍍)の供用を18日に開始すると発表した。移動時間を短縮でき、観光誘客やダム周辺からの通勤エリア拡大といった効果が期待できるとしている。

 県特定ダム対策課によると、トンネルはダム建設に伴う工事用道路の一部として国が整備。2017年度からは、一般供用できる県道トンネルとして県が整備を続けてきた。事業費は約42億円。

 これまで首都圏とダム周辺の往来は、国道145号が主要な路線だったが、トンネルの開通でアクセスの選択肢が広がることになる。

 開通は18日午後2時を予定しており、同日午前に近くの施設で記念式典を開く。

 トンネルの開通により、県が進めてきた道路建設や砂防施設整備などが全て完了するという。

◆2020年12月30日 朝日新聞
https://digital.asahi.com/articles/ASNDY6QWBNDKUHNB00W.html
ー八ツ場と高崎方面がより近く 待望のトンネル開通ー

 【群馬】今年3月に完成した八ツ場(やんば)ダム(長野原町)の地元で、水没地区から移転した住民らの再出発を支える生活再建事業が大詰めを迎えている。18日には、ダム周辺と高崎方面を結ぶ新たな幹線道路として期待される「大柏木川原湯(おおかしわぎかわらゆ)トンネル」が開通した。今回の開通で、県による道路建設や砂防施設の整備がすべて完了した。

 開通したトンネルは長野原町川原湯地区と東吾妻町大柏木地区を結ぶ片側1車線の約3キロ。県によると、国道406号を経由して高崎方面に向かう場合と比較して、移動時間を約30分短縮できるという。

 ダム建設で高台に移転した川原湯温泉などへの観光振興や、地元住民の利便性向上などを目的に建設された。7・6キロあった406号の雨量通行規制区間を通らずに行き来できるようになる。一般車の通行用の事業費は約42億円という。

 トンネルは、ダム本体工事に使う石材などを運ぶため国が2008年に貫通させた。翌年誕生した民主党政権のダム建設見直しに伴って工事は凍結され、貫通したまま使われずにいた。

 ダム建設の再開後、14~19年に工事用道路として利用され、東吾妻町から約10キロのベルトコンベヤーで石材を運んだ。役目を終えたベルトコンベヤーの撤去などが遅れ、19年4月から一般車が通行できるように県の整備が始まったが、ダム完成には間に合わなかった。

 18日にあった開通記念式典で長野原町の萩原睦男町長は「町にとって希望が持てるトンネルだ。紆余(うよ)曲折があってこの日を迎えられた」とあいさつ。ダムや整備されたインフラの活用については「本当の意味での勝負、スタートはこれからだ」と述べた。

 旧温泉街で旅館を営み、現在は移転先でカフェなどを経営する豊田幹雄・川原湯地区ダム対策委員長(54)も「コロナ禍の苦しい中にあって明るい話題。買い物や通勤などでも便利になる」と歓迎する。

 この1年で、キャンプ場を備えたJR川原湯駅前の「川原湯温泉あそびの基地NOA」や、「八ツ場湖(みず)の駅 丸岩」などの地域振興施設も相次いで完成。ダム湖を遊覧する水陸両用バスやJR吾妻線の廃線跡を走る自転車型トロッコなどの営業も始まった。豊田さんは「完成した施設や道路をどう活用していくかが重要になる」と話した。(森岡航平)

◆2020年12月7日 上毛新聞
https://www.jomo-news.co.jp/news/gunma/society/259412
ー吾妻の大柏木川原湯トンネル 銘板揮毫の児童生徒が除幕ー

 群馬県の八ツ場ダム水源地域対策事務所(富沢正市所長)は6日、東吾妻町大柏木と長野原町川原湯をつなぐ県道川原畑大戸線「大柏木川原湯トンネル」の入り口に設置した銘板に揮毫きごうした地元の小中学生に感謝状などを贈った。生徒たちによる除幕も行った。

 ともに東吾妻中1年の成瀬ルナさんと渡辺歩紀さんが記した銘板は大柏木側、長野原第一小6年の金子蓮矢君が書いた銘板が川原湯側のトンネル上部に、それぞれ設置された。

 同トンネルは、18日午後2時に開通予定。

◆2020年12月19日 上毛新聞
https://www.jomo-news.co.jp/news/gunma/society/262133
ー高崎―八ツ場 快適に 大柏木川原湯トンネル 長野原で開通式ー

 群馬県の八ツ場ダム(長野原町)の生活再建事業で、県が整備を進めていたダム周辺と高崎方面を結ぶ県道川原畑大戸線の大柏木川原湯トンネルの開通式が18日、同町の「川原湯温泉あそびの基地NOA(ノア)」で開かれた。高崎方面との往来の利便性が大幅に向上する。

 開通式で県県土整備部の岩下勝則部長は「トンネルの開通によって、八ツ場地域と高崎方面を結ぶ安全で快適なルートができた。通勤エリアや観光誘客の拡大で、八ツ場ダム周辺地域の生活再建がより一層進むことを期待したい」とあいさつ。萩原睦男長野原町長や中沢恒喜東吾妻町長らと共にテープカットし、くす玉を割り、通り初めをした。

 県によると、これまで県南部とダム周辺の往来は、国道145号が主要な路線だったが、トンネルの開通により川原湯温泉―高崎市内の移動時間は30分ほど短縮され、アクセスの選択肢が広がる。

 トンネルはダム建設に伴う工事用道路の一部として国が整備。2017年度からは、一般供用のための県道トンネルとして県が整備してきた。
 トンネルの全長は3005㍍で、県管理のトンネルとしては、南牧村と上野村をつなぐ湯ノ沢トンネル(3323.2㍍)に次ぐ2番目の長さとなる。

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群馬県ホームページより 県道川原畑大戸線(大柏木川原湯トンネル)