八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

YouTube「豪雨 動き出したダム ~決断の裏側で~」(熊本朝日放送)

 熊本朝日放送が昨日放映した番組「豪雨 動き出したダム ~決断の裏側で~」が放送局のYouTubeチャンネルでご覧いただけます。公開は来年3月31日までです。
 記事を読むだけではなかなかわからない球磨川流域の状況や「流水型ダム」の実態などについて、地元のテレビ局が丹念に取材して仕上げた映像が雄弁に語っています。是非、ご覧になってみてください。

 視聴はこちら▼
 https://youtu.be/kRu2N8xzxYE

 番組の概略を伝えたツイートを転載します。

 球磨川流域の市町村長達が川辺川ダム建設を要請した背景には、のっぴきならない事情があった。
 橋が流失するなど甚大な被害が出たJR肥薩線。
 被災地の視察後に国交省の会議に出た石井啓一前国交大臣は、肥薩線の復旧は治水対策もセットでなければ難しいと強調。肥薩線は毎年6~9億負債の赤字路線。

 潮谷義子・前知事が川辺川ダムに後ろ向きの姿勢を示して以降、「国交省の地図から熊本県は消えた」と言われたが、熊本地震のインフラ復旧などを通じて、熊本県と国交省の関係は改善。
 国交省は久しぶりの新たなダム構想に前のめりで、清流をも守るダムという高いハードルをも越えられると、県に訴え。

 しかし、環境配慮型とされる流水型ダムで完成しているのは全国で5基。建設中を含めると14基。
 最初にできたのは、2006年3月に完成した島根県の益田川ダム。島根県の調査では、アユが苔を食べた「はみあと」はダム上流側が下流側とくらべ少ない。擁壁やダムの穴の付近には土砂が堆積。

 益田川ダムが建設されてから、益田川の河口周辺では、ハマグリが十分に成長できないことが増えた。
 益田川ダムが満水になったのは試験湛水の時だけで、その機能や効果の検証はこれから。

 五木村の水没予定地ではダム中止後の地域振興策が見通せなくなった。
 ほぼすべての住宅が被災した八代市坂本町。ダムの話は聞きたくないという被災者。
 球磨川と支流の氾濫で被災し、土石流に呑まれた球磨村神瀬地区。8割の住民が元の土地に住みたいが、生活再建策が提示されず、戻れずにいる。

 市街地が広範囲に被害を受けた人吉市。
 7月豪雨で約4.5㍍浸水した人吉旅館、築90年近い建物は国の有形文化財。過去にも浸水被害があり、2㍍かさ上げ。今回の被害総額は少なくとも5億円。泥を除去し、5か月ぶりに浴槽に温泉。復旧工事が来月始まる。
 「なぜこんなに早くダムの話が進んだのだろう」

 島谷幸宏・九州大教授
 「川辺川ダムのような巨大な流水型ダムは、わが国は経験がありませんので、慎重な検討が必要なのは間違いない。とにかく治水優先で設計してしまうと、環境にある程度影響が出るダムになる可能性がある。それはこれからの検討にかかっている。」