霞ヶ浦導水事業は霞ケ浦と那賀川、利根川を結ぶ日本の導水路を建設する事業です。目的は首都圏の水源開発と霞ケ浦の浄化等ということになっていますが、首都圏は水あまりが年々顕著となっており、事業の必要性は失われています。
右図=国土交通省霞ヶ浦導水工事事務所ホームページより
霞ヶ浦導水事業は昨年11月、国交省関東地方整備局が開催した事業評価監視委員会において、工期が2023年度から2030年度へと7年延長され、事業費が1900億円から2395億円へと495億円も増額されました。
➡【参考記事】https://yamba-net.org/53751/
茨城県を流れる那珂川では、霞ヶ浦導水事業によって漁業が大きな打撃を受けるため、那珂川の漁協が裁判で事業の中止を求めてきました。2018年4月末に東京高等裁判所で和解となり、事業継続となりましたが、和解の内容は漁業への影響がないようにすることが前提になっていますので、事業の先行きは不透明です。
霞ヶ浦導水事業に利水で参画しているのは以下の表の通りです。昨年の計画変更で、埼玉県水道、九十九里水道企業団は撤退し、千葉県工業用水道、印旛郡市水道組合は参画水量を減らしました。変更がないのは、地元の茨城県の水道、工業用水道と東京都水道です。
このほど、嶋津暉之さん(水源開発問題全国連絡会共同代表、当会運営委員)が埼玉県の撤退理由書を開示請求で入手しました。埼玉県の撤退理由書は以下の通りです。簡単なものですが、八ッ場ダムが完成したので、埼玉県は霞ヶ浦導水の水源が必要ではなくなったと書いてあります。
上記資料より
かつて東京都職員として都の節水を進めた嶋津さんは、この開示資料を踏まえ、「あり余る水源を抱えている東京都水道は下図の通り、八ッ場ダムの完成で保有水源が増え、279万㎥/日という超大量の余剰水源を抱えるようになりましたので、東京都こそ、霞ヶ浦導水事業から撤退すべきです。」と訴えています。