今朝の上毛新聞の記事を紹介します。
八ッ場ダムは2020年3月に完成し、4月に運用を開始しましたので、昨年3月29日に完成式典が開催される予定でした。4月1日にはダム湖に架かる湖面橋を東京オリンピックの聖火リレーが走ることになっていましたが、コロナ禍によりいずれも延期されました。その完成式典を地元の長野原町が要望しており、新年度の開催を目指して町の来年度予算案に開催経費を盛り込んだとのことです。
*コロナ禍により、2021年も結局八ッ場ダム完成式典は開催されませんでした。(2021年11月9日追記)
八ッ場ダムを建設し、管理している国土交通省は、ダム完成後、コロナ感染拡大防止のために閉鎖していたダム堤を昨年7月に開放しました。昨年11月にはダム堤脇の資料館もオープンしましたので、昨年の夏から秋にかけて完成式典を行う機会はありましたが、これまで開催されなかったのは、本来ダムの完成時期に開催する式典を何カ月もたってからするのは不自然ということだったのでしょうか。
長野原町では、八ッ場ダムによって名勝・吾妻峡の上流部と川原湯温泉という重要な観光地が沈められ、その代替としてダム観光を目指してきました。ダム完成直後は最も注目され、集客が望める時期だっただけに、コロナ禍による外出自粛は大きな打撃でした。菅政権が進めた「Go Toトラベル」が一時的に誘客に繋がったものの、その後再び今年1月7日、首都圏で緊急事態宣言が発出され、自粛期間が3月7日までと長期に及んでいます。
以下の記事によれば、水没地区住民からは「けじめの式典」を望む声もあるとのことですが、ダム計画が発表された1952年当時に大人だった住民の多くは亡くなっています。長野原町としては、「ダム観光による新たな町づくりをアピールする」考えがあるとのことですが、ダム完成式典がダム事業者ではなく、ダムと共に生きていかなければならない町主導で開催されるというのは異例です。
紙面記事より転載します。
◆2021年2月18日 上毛新聞
ー八ッ場ダム完成記念式典 新年度開催へ 周辺観光施設そろい節目ー
新型コロナウイルス感染拡大のため開催が見送られていた八ッ場ダム(長野原町)の完成記念式典について、町は17日、新年度中に開催する意向を明らかにした。国土交通省が昨年3月のダム完成に合わせて開く予定だったが延期となり、開催の見通しが立っていなかった。ダム周辺の観光施設が本年度で出そろうことを踏まえ、町は「節目の式典」と位置付けて開催を目指す。
ダム計画発表から約70年かかって運用にこぎ着けた。水没地区住民からは「けじめの式典をやってほしい」といった声が上がっていた。式典開催は国のも働き掛ける。国主導の式典ができない場合でも町が単独で行い、地域住民の要望に応じ、ダム観光による新たな町づくりをアピールする考えだ。
ダム本体の完成から遅れたが、昨年11月には横壁地区の「八ッ場湖(みず)の駅丸岩」が開業。町営の「やんば天明泥流ミュージアム」も3月に完成する。町は「本当の意味でのダム完成の年」とする。
17日に開かれた町議会全員協議会で、萩原睦男町長が2021年度一般会計当初予算案に約340万円の開催経費を盛り込み、3月定例会に提案することを説明した。新型コロナの感染状況を見ながら時期や式典内容を決める。萩原町長は「町全体が一つになれるような催しにしたい」と話す。
—転載終わり—
写真=水没地にあった川原湯温泉街が移転した打越代替地。ダム堤の右岸側にある。
写真=打越代替地の川原湯温泉街。電線を地中化し、せせらぎの流路を作るなど温泉街の風情を出す工夫が凝らされているが、観光客は対岸の国道を通過してしまう。空き地が目立ち、工事も続いている。
このページの写真はいずれも2月10日撮影。