スライド「八ッ場ダム 現地の状況」

 さる2月14日にzoom で総会議決の結果について報告をしました。
 報告後、この一年余りの間に変化してきたダム湖の様子を伝える写真をスライドで見ていただきました。

 zoom で映写したスライドと簡単な解説を以下に掲載します。

①八ッ場ダムは計画発表から68年目の2020年3月に完成し、4月から運用を開始しました。
 この間、ダムの操作によってダム湖の水位は変化してきました。2月13日現在の貯水率は50%を切っています。
 八ッ場ダムは国土交通省関東地方整備局利根川ダム統合管理事務所によって管理されています。同事務所のホームページに「八ッ場のライブ情報」が掲載されています。

②八ッ場ダムの貯水池(ダム湖)は、この一年余りの間に様々な色に変化してきました。
 この写真は一昨年10月、東日本台風が襲来し、試験湛水中だった八ッ場ダムが一昼夜にしてほぼ満水になった時の写真です。ダム湖の水は上流や周辺の沢から流れ込んだ泥で濁り、流木やゴミも大量に浮いていました。

③国土交通省によって流木やゴミは片づけられ、ダム湖の水の色は灰褐色から緑がかった色に変化していきました。
 台風通過後の10月15日に満水になったダム湖は、その後、放流によって次第に水位を下げていき、12月12日には最低水位(標高536.3㍍)まで下がりました。

④昨冬は試験湛水のため、2019年12月12日から2020年3月まで最低水位が維持されました。この水位は現在の水位より20㍍以上低く、ダム湖の中ほどから上流では湖のようには見えませんでした。
 右の写真は、ダム湖の中ほどに架かる不動大橋の上流側です。左の写真は、それより上流側に架かる丸岩大橋の上流側から水没した弁天橋にかけての風景です。かつて弁天橋は風光明媚なことから、観光客向けの絵葉書にも取り上げられましたが、周辺は台風時に運ばれた土砂で無残な光景に様変わりしていました。

⑤最低水位を維持していた昨年1月には、まだダム湖は緑灰色で、沈められた樹木が水面に見えましたが、3月10日、夏のオリンピックに備えた水資源の確保を掲げ、前倒しで貯水が開始されて以降、水の色は次第に青みを帯びていきました。

⑥2020年4月の運用開始後、ダム湖の色は青空に生えてさらに青く見え、5月12日には満水となりました。
(このほど国交省より八ッ場ダムの水質等のデータが情報開示されましたので、資料を分析しています。)

⑦この写真は、ダムの上流端のすぐ上流で草津白根山麓から流下する白砂川が吾妻川に合流する地点で撮影したものです。台風が10月に襲来した後、11月になっても吾妻川は濁ったままでしたが、白砂川は通常の青緑色をたたえていました。白砂川はもともと強酸性の川ですが、上流で中和事業を行っています。合流点の周辺には、台風時に運ばれた土砂が大量に堆積していました。

⑧川原湯温泉はダム堤右岸側の打越代替地へ移転しています。50㍍超の深さの谷を埋めた盛り土造成地であるため、地盤の動きを測定する計測器が設置されています。6軒の旅館と飲食店が営業しています。
 昨年3月29日にはダム完成式典が開催され、31日には湖面橋を東京オリンピックの聖火リレーが通ることになっていましたが、コロナ禍により中止になりました。

⑧洪水に備え夏期(7/1~10/5)に水位が下がると、水没した旧温泉街の旅館跡や樹木が姿を現します。
 昨夏は水位低下により、ダム湖観光の目玉である水陸両用バスが8/27~9/3運休となりました。

⑩川原湯温泉が移転した打越代替地は水没した大沢の上流側に位置しています。大沢の斜面にはアンカーボルトが大量に打たれており、旧温泉街の跡では土砂がダム湖に流れ込むのを土嚢で抑えています。
 2016年に八ッ場ダムの事業費が増額された際の国交省の資料は、旧温泉街における岩盤が当初想定より深い所にあることを示しています。

⑪川原湯温泉の元来の温泉(旧源泉)は、ダム湖の満水位より9㍍低い位置から湧き出ていたため、湛水前に井筒で保護されました。周辺は公園として公開される予定です。
 代替地の川原湯温泉は、当初はダム事業で掘り当てた新源泉のみを利用していましたが、昨春からは新旧源泉を混合してポンプアップして旅館や共同湯に配湯しています。

⑫水没した五地区では、八ッ場ダム事業に参画する利根川流域5都県の拠出金により、代替地や非水没地に「地域振興施設」が整備されてきました。川原湯地区の施設「川原湯温泉あそびの基地NOA」は昨年8月1日にオープン。100人利用可能なグランピング(豪華なキャンプ場)やカフェ、温泉施設を備えています。旅館主が出資した株式会社が維持管理を行い、東京の(有)イノーバー・ジャパンに運営を委託しています。

⑬「川原湯温泉あそびの基地NOA」のある上湯原代替地は、JR川原湯温泉駅や民家も立ち並んでおり、安全確保が重要な場所ですが、当初予定されていた安全対策がダム事業の最終段階で「不要」とされました。ダム湖周辺の各所に設置されている地盤の変動を計測する機器も設置されていません。

⑭川原湯地区と堂岩山を挟んで上流側にある横壁地区では、地域振興施設「八ッ場湖(みず)の駅丸岩」が11月にオープンしました。この施設は水陸両用バスの発着所のほか、解体した長野原町役場の資材を利用した建物で食事や土産物を提供しています。

⑮ダム天端の開放はコロナ禍で遅れていましたが、昨年7月1日に開放され、多くの観光客が訪れるようになりました。ダム堤脇のかつての左岸作業ヤードには、ダムの管理棟と並んで資料館が11月にオープン。
 ダム直下では、群馬県が八ッ場ダムの放流水を利用した「従属発電」を行う水力発電所を建設中です(2021年3月完成予定)。そのほか、川原湯温泉の代替地とダム堤を結ぶ道路やダム下流の名勝・吾妻峡に新たに橋を建設中です。工事が完了すると川原湯温泉とダム堤と吾妻峡の周遊が可能になります。

⑯2002年に代替地への移転第一号として建設された長野原第一小学校は、児童数の減少(2020年4月現在:15名)により今年度で廃校となります。小学校建設の際、裏手の山の切土面に大量のアンカーボルトが打たれましたが、現在も校舎の裏手では法面を治す工事が行われています。林地区のこの小学校建設地の周辺は、地すべり地として知られてきたところです。