石木ダムで水没する県道の付け替え道路の建設工事現場では、ダムに反対する住民と支援者の座り込みによって着工できずにいた区間にダム建設の強行をめざす長崎県が土囊や土砂を持ち込みました。現場の緊迫した状況が報道されています。
◆2021年2月23日 朝日新聞
https://digital.asahi.com/articles/photo/AS20210222002565.html?iref=pc_photo_gallery_2
ー石木ダム現場、緊迫 長崎県が未着工区間に土砂搬入ー
石木ダム(長崎県川棚町)で水没する県道の代替道路(3・1キロ)の建設工事で、住民の座り込みによって着工できずにいた140メートルの区間に、県が今月上旬から土囊(どのう)や土砂を持ち込んだ。代替道路の着工から11年、年度内に本体着工に道筋をつけたい県と、警戒を強める住民らとの対立が緊迫している。
土囊は家庭用の湯船以上の大きさで14、15個。未着工区間をほぼ中央で分断するように横一列で置かれていた。6日朝、現地を訪れた座りこみの住民や支援者が気づいた。座りこみ場所のすぐ背後だった。5日夕、住民らが引き上げた後の搬入だったとみられる。
県は未着工分も含め今年度予定する1・1キロについて、住民の反対でいったん打ち切った業者との契約を結び直し、「今年度中の工事完了をめざす」との方針を先月明らかにしていた。16、17日にも続けて土囊の後ろに土砂が運び込まれ、2重の山が築かれた。住民は「17日は業者がいったん帰ったと見せかけて搬入した」と口惜しげに話す。
1月28日にはダム堤体が築かれる左岸の山で木の伐採が始まった。崩落防止のため斜面を掘削する作業で、本体工事に直結する。住民が「知事が『住民との話し合いを模索している』と言っているのにおかしいじゃないか」と抗議すると止まった。
住民の石丸勇さん(71)は「本体着工までいけば反対運動をしても無意味ではないかという方向に、県民世論を持っていきたいのだろう。ここは踏ん張りどころだ」と話した。(原口晋也)
◆2021年2月16日 しんぶん赤旗
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik20/2021-02-16/2021021604_03_1.html
ー長崎・石木ダム 現場に巨大土のう 工事強行警戒 住民座り込みー
長崎県と佐世保市が川棚町に建設を進める石木ダム事業の工事現場に県が巨大な土のうを設置し、工事を強行するつもりではないかと抗議の座り込みを続ける地元住民や支援者は警戒を強めています。15日には約40人で座り込みました。
住民らの座り込みに県は昨年、この区間の県道付け替え道路工事の工期を3度延長。工事が進まないことに焦りを見せています。
土のうは6日(土)~7日(日)ごろ、住民らがいない間に搬入されたもようで、座り込みをしている付近の上方の柵の後ろに一列に並べられています。「土のうがある所から一気に埋め立てていくつもりではないか」と住民らは心配げに語ります。
水没予定地に暮らす女性は「私たちも警戒している。県はいつでも、こちらが気を抜いた途端に工事を強行してくるからホッとできない。緊張が続く生活が普通になってしまった」と悔しさをにじませました。
行われた座り込みに参加した日本共産党長崎県委員会の山下満昭委員長は「不要な工事は中止し、そのためのお金と人材はコロナ対策に回すべきだ」と県の姿勢を批判しました。