山梨県、富士川の水返還を要求 日軽金の巨大水利権一部取り消しの可能性

 静岡新聞は、駿河湾産サクラエビの不漁の問題を取り上げ、不漁の原因の一つとして、産卵場に注ぐ富士川水系の上流にある山梨県の雨畑ダムの堆砂問題を追及してきました。
 雨畑ダムは日本軽金属(株)の水力発電ダムです。富士川における日本軽金属㈱の更なる問題として、波木井(はきい)発電所の大量取水の問題があります。以下の記事によれば、地元の山梨県の意思表示により、「日軽金が戦時期からほぼ独占的に使用してきた巨大水利権の一部が取り消される可能性が出てきた」とのことです。

◆2021年5月4日 静岡新聞
https://www.at-s.com/news/article/shizuoka/896642.html?lbl=557
ー山梨県、富士川の水返還要求 日軽金水利権取り消しも 国聴取に文書で回答【サクラエビ異変】ー

 アルミ製錬を前提に富士川水系の水利権を許可された日本軽金属波木井発電所(山梨県身延町)が、国の水利権許可更新が認められないまま稼働している問題で、山梨県が国土交通省の意見聴取に対し、富士川水系早川や富士川本流に水を返還するよう文書で回答していたことが3日までに明らかになった。

 河川法では、国は地元からの意見聴取を踏まえて許可更新を判断するとしている。2月の衆院予算委分科会で、早川町などを地盤とする中島克仁議員(山梨1区)の質問に国交省水管理・国土保全局の井上智夫局長が「意見聴取を通じ、地元住民の意見は水利権許可の判断に適切に反映されると考えている」と答弁した。山梨県の今回の意思表示により、日軽金が戦時期からほぼ独占的に使用してきた巨大水利権の一部が取り消される可能性が出てきた。

 国交省関東地方整備局からの意見聴取を受けた同県は2020年11月、身延、早川、南部の3町に意見照会した。このうち同県内の富士川最下流に当たる南部町がアルミ製錬の目的を逸脱した売電前提の取水に反発。「かつては水量が多く釣り人にとっては有数な川であったが、近年はその面影もない」として流量増を県に求めた。早川町も発電所に導水する早川の榑坪(くれつぼ)えん堤の取水を減らし、おおむね毎秒1トン追加放流するよう要求した。

 国への山梨県の回答は今年3月25日付で、地元2町の意見を支持し「河川維持流量の増量がなされるよう配慮されたい」と求めている。同県治水課の担当者は「地元の意見を尊重した。国の判断に反映されるものと思っている」と述べた。

 波木井発電所は国の再生可能エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)の認定を受けながら、地域に説明を行っていない、ガイドライン違反の状態。20年3月末に水利権の更新期限を迎えた。専門家から目的外使用との指摘がある売電を前提に国交省に許可更新申請しているものの、住民の反発もあり1年以上、下りていない。 (「サクラエビ異変」取材班)

—転載終わり—

★静岡新聞「サクラエビ異変」取材班のツイートより 

【参考記事】
「国策」と富士川(3)強制連行(上)過酷工事、逃走絶えず 

(一部引用)
「終戦直前、今は人口も少ない「奥山梨」と呼ばれる富士川沿いの至る所に「飯場」と呼ばれる作業員宿舎が建ち並び、全長48キロ、直径6メートルの導水管トンネルや水力発電所工事のため、1万人の朝鮮人労働者がいた。
 75年後の今、駿河湾産サクラエビの不漁を契機に注目を集める日軽金蒲原製造所(静岡市清水区)の導水管と同社の巨大水利権。元をたどればルーツは全てが戦争に向かっていた時代にある。水枯れや水害の恐れなどから沿川住民も国策に一時は立ち上がった。しかし、戦闘機ゼロ戦の材料増産のためという時代の波に押され、ふるさとの川を明け渡さざるをえなかった。」