八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

埼玉県、八ツ場ダム完成により霞ヶ浦導水事業から撤退するも事業費負担継続 

 埼玉県は霞ヶ浦導水事業に参画していましたが、昨年(2020年)11月、同事業から撤退しました。
 共同通信が埼玉県へ情報公開請求を行ったところ、撤退の理由は八ッ場ダムが完成し、水需要が満たされたためであったことが判明したと報道されています。

◆2021年5月26日 共同通信
https://www.tokyo-np.co.jp/article/106734
ー八ツ場ダム完成が事業撤退の理由 埼玉県、導水への支出は無駄にー

 茨城県の霞ケ浦と那珂川、利根川を地下トンネルで結ぶ国土交通省の「霞ケ浦導水事業」から埼玉県が昨年秋に撤退した理由が群馬県の八ツ場ダム完成だったことが26日、埼玉県への情報公開請求で分かった。ダムで水需要が満たされ、導水事業に投じた費用が無駄になった格好で、識者は「必要性を見極めていれば、この結果は予想できたはずだ」と指摘する。
 同事業は埼玉など1都3県に水を安定供給する目的などで1984年に着工。埼玉県が開示した撤退検討時の資料によると、20年3月に八ツ場ダムが完成し、安定的に利用できる水量の割合が19年度の72%から20年度は100%に到達した。

—転載終わり—

 これは、先に当会の運営委員でもある嶋津暉之さんが情報公開請求で明らかにしたことを再確認したものです。
 ➡「霞ヶ浦導水事業からの埼玉県の撤退についての情報開示資料」

 昨年11月、霞ヶ浦導水事業は工期が2023年度から2030年度へと7年延長され、事業費が1900億円から2395億円へと495億円増額されました。人口が減少し、財政事情が厳しくなる中、霞ヶ浦導水事業は八ッ場ダム事業同様、ますます不要性が明らかになりながら迷走しているのですから、埼玉県が事業からの撤退を決めたのは遅すぎるくらいでした。
 しかし、問題はこれだけでありません。埼玉県は、霞ヶ浦導水事業から撤退したものの、事業費の負担は継続しており、しかも、2020年11月の事業計画の変更で事業費の増額分も今後、負担していくことになっています。

 嶋津暉之さんによる以下の解説が参考になります。

 「埼玉の川と水を考える会の会報 №2」の9~11ページ
 「埼玉県は撤退するが、費用負担は継続、増額分も負担」
 http://www.yamba.jpn.org/shiryo/saitama/news_002.pdf/

グラフ=「埼玉県の一日最大給水量と保有水源」(嶋津暉之さん作成)
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